2章 9話 「被るのはまずいが、加えるならセーフだろうと言う話」
この小説はKEN ZENです。
どうもこんにちはキアーラ・カサッツァです。
前世では未成年の喫煙は法律で禁止されていましたが、禁止されているだけで法を破っても、罰則があるわけではありませんでした。
しかし、タバコを売った店にはペナリティがあるんですよね。
この場合はある意味で被害者側に罰則があって、加害者側には罰則がないことになります。
やっぱり未成年は自分の欲望を抑えられるわけがないんだから、大人が管理しろよと言う意味だったんでしょう。
ですから幼女の私が何をしてもセーフだと思うんですよ。
「おわったぁ……」
トントンさんが半裸で現れたあと、あれからあれよあれよと言う間に、担がれてトントンさんの仕事部屋に連れ込まれた。
売れっ子の娼婦には専用の部屋があるんだって。
なんでも各々の特殊な技に対応するためにそうしているらしい。
そして、そこでその特殊な技とやらを披露してもらったんだけどね?
『よかったじゃないか? 好きだろ? 女性の胸がさ?』
好きだけどさぁ。
なんというか、モヤモヤする。
まぁ結論から言うと、センシティブなサービスではなかった。
いや、どうかな?
トントンさんほぼ裸だったからな。
サービス内容はKENZENでもそう見られちゃうかもな。
勿論正規の客にはそう言うサービスをするんだろうけど、俺が幼女ということもあり、今回はマッサージバージョンだったのだ。
施術してもらった感じ、それはローションプレイと言うよりは、オイルマッサージだった。
トントンさんの豊満なボディを使ったマッサージで、確かな匠の技を感じた。
例えば背中。
うつ伏せになった俺の背中を、トントンさんのお腹が圧迫しながら移動する。
たまに振動したりする。
トントンさんのお腹のお肉が振動することでバイブレーターの様に筋肉をほぐしてくる。
なんというか、肉体を使ったマッサージチェア?
絶妙な体重の掛け方で重さや苦しさはない。
そのほかも、お肉に挟み込んで絞る様にしたり、逆に上に乗せられてストレッチの要領で筋を伸ばしたり。そのほかにも色々アクロバティックな変形を見せてくれた。
通常は変形合体するんだろうと思う。
どうやら、このバージョンは、ご年配の方に請われて作ったらしい、大変ご好評なバージョンらしい。
まぁ、途中で、きっとこの技はこういう時に使う技の応用なんだろうなってのが端々に見えたけど。後転させられた時とかに思ったよね。
「どうだった? 私のマッサージ♪」
施術後、エントランスまで戻った俺に声がかかる。
そう嬉しそうにいうのは勿論トントンさんだ。
技の披露が終わったということでお色直し(この場合服を着ること)をしていたのだが、どうやら終わった様だ。
またゴス服を着ている。
「まぁ、よかったですよ? でも……」
「でも?」
煮え切らない態度の俺に小首をかしげるトントンさん。
「実は俺まだ肩こりとかないからスッキリしたぁ!って感じじゃないんですよね……」
そうなのだ。幼女の俺は筋肉を酷使しても、次の日には回復しているくらいなのだ。
しかし、マッサージいらずのボディゆえにトントンさんの匠の技を堪能できなかったのだ。
これが節々が凝り固まっている前世であったなら、それはそれは気持ちよかっただろうなと、確信できただけにモヤモヤするのだ!
コリなんてない方がいいに決まっているのに!
「あぁ、子供だとそうかもね。そうだったわ、キキちゃんは子供だったわね♪」
てへコツンと、舌を出しながら自分の頭を軽く小突くトントンさん。
トントンさん以外がやったら、同性から批判待った無しだけど、きっと許されるだろうなという愛嬌がある。これが計算でできるっていうのは、やはりプロは凄いなぁと思う。
そしてもう一つ思ったことがある。
「トントンさん、あのマッサージでメチャメチャ体力使ってませんか?!」
「うん♪ すごく使ってる♪」
そうだろうね! 小さな俺を押しつぶさない様に、自重を腕で支えた状態でいるなんて、あんなの完全に長時間の腕立て伏せみたいなものだ。
そのほかの動きも、どこかしらの筋肉を酷使しながらの動作が多かった。
「あれを1日どれくらいしてるんです?」
「ん〜、大体6時間くらいかな?♪」
ハイパーヘビー。
いや、どうなんだ? アスリートはそれぐらいやるのか?
詳しくは知らんけど、とにかく凄い運動量だ。
シルクドソレイユだってあんなに運動しているかどうか。
今もうっすらと汗をかいている。
先程部屋にあったシャワーを浴びていたのに。
ってか、シャワーが備え付けられているのか、凄いよな。
そんなことを考えながら、俺がトントンさんの汗を見ていたら、それに気づいた彼女は、はにかみながら言った。
「一応、毎回シャワーを浴びているのよ? 1日の終わりには大浴場に行って湯船にもつかっているしね♪」
そんなものなんだろうな。
あれだけ運動すれば大量の汗も出るだろう。
色々シャワーで身体を流したくもなる。
でもなんでこれで痩せないのか……。
わからん。
「ちなみに、ほかの従業員の方もこれくらい運動を?」
まぁ、そんなことないだろうけど。
「同じくらいよ♪」
同じくらいなんだ!?
さもありなんといった顔でうなづくトントンさん。
いやマジか……。ここは娼館と言う名のサーカスだったのか?
「あ、でも他の娘全員じゃないわよ? こんなに激しいのは、専用部屋を持つ娘達だけ♪」
でも、専用部屋以外の子も大なり小なりアクロバティックらしい。
なぜかというと、ここは高級娼館だからお金持ちが来るわけで、この国でお金持ちといえば獣人が主流で、そして彼らは身体能力が高い。
身体能力の高い奴がアクロバティックになるのは世界が変わっても同じらしい。
「あ、そういえば専用部屋の人たちも獣人ですか?」
「そうよ♪ みんなそれぞれ種族は違うけど、獣人というのは一致してるわ♪」
やっぱりフィジカルがモノを言うんだなぁ、最後には。
一体どんなアクションを見せてくれるんだろう。
そう、俺がほかの娘達の妙技に想いを馳せていると、くぅっという音が我が腹から発せられた。
……腹が減った。あと喉乾いた。
マッサージ受けると汗がたくさん出るから、喉が乾くんだよね。
潤いって大事。
「あら、可愛らしい音♪ そういえばもうすぐお昼の時間ね♪ 」
もうそんな時間か。
じゃあ、そろそろお暇するかなと俺が言うと、
「いやん♪ まだ来たばかりじゃない♪ パピヨンはご飯をみんなで食べることになってるから、キキちゃんも食べていきなさいよ♪」
あぁ、昼休みがあるからエントランスに人がいなかったのか。
さっきまでの紳士達はどこにいったのかと思っていたんだ。
ちなみに後から聞いたんだが、かなりの上客ともなると、このお昼ご飯やディナーに招待されることもあるらしい。かなり名誉なことなんだなぁ。
つまりトントンさんは誘ってくれるが、そう言うのってほかの客に悪いし、それに厨房の人とか困っちゃうんじゃ……?
俺が心配していると、じゃあフレアさんに確認しようと言うことになった。
「あれ? フレアさんは?」
「あら? いないわね?」
あたりを確認しても、そう言えばいない。
確かトントンさんの仕事部屋までは一緒だったと思うんだよな。
そう思いトントンさんと一緒に仕事部屋に戻ってみる。
するとフレアさんが居た。
居たと言うか床に落ちてた。
いや、堕ちてた。
トントンさんの仕事部屋のベット近くに。
そしてその風体は、とても年頃の娘さんがしてはいけないものだった。
それを見て俺は記憶が甦る。
あぁ、そういえばマッサージ中に何か聞こえてきてたんだよな。
キアーラさんとトントン姐さんがヌルヌルにっ! とか、あぁ! あんな格好をしたら見えちゃう全部見えちゃうとか、そう言う類の声がハァハァと荒い息と、何やら断続的な水音とともに聞こえてた。
もうデフォルトでスルー安定だったので記憶から抹消されてたわ。
もうこの人、自分の性癖を隠すつもりないのかな?
なにやら葛藤しているみたいだったから触れずにいたけど……。
どうしたものかと入り口付近にいたトントンさんを見たら、すごく無表情だった。
お仕置き……報告……とか不穏な単語をブツブツ呟いている。
こりゃあかん。まがりなりにもフレアさんは友達。そのピンチだ。
たとえその友達が白眼を剥いていたとしても助けねば。
「とりあえず起こすか」
そう思ってフレアさんの肢体に手を触れた途端。
「おほぉっ!」
突然フレアさんが電気が体に流れたかの様に仰け反り痙攣した。
そしてしばらくするとグッタリする。
「……」
「おっう〜!」
「……」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
再度と言わず、数回繰り返してみたがなんだか楽しい。
それそれそれそれ!
『おまわりさん、こちらです』
「おっと、俺は何も喋らないぜ? そもそも同性だからセーフだ。
弁護士を呼べ! 令状を見せろ! 任意なら拒否だ!」
突然背後から声をかけられて驚いた俺は、つい肉声で答えてしまい、トントンさんに怪訝な顔をされてしまった。
だが、すぐにまた無表情に戻るとブツブツと言い始める。
そういえばルナ。おほぉだったね?
『今すぐその口を閉ざさないと、毎晩枕元で怪談話するよ?』
鋭くルナに睨まれてしまった。
仕方がない。ここはフレアさんをお起こしてサッサと飯に行くか。
それそれそれそれ!
その後様子を見にきたマダムに俺が叱られるまで、フレアさん連打ゲームは続いたのだった。
お読み頂きまして誠にありがとうございます!
これくらいなら大丈夫ですよね?




