EPISODE20. どうしよう。
2025年12月29日。大邱。
冬の真昼は眩しいほど明るく、寒くもありながらどこか温かみがあった。
大邱での公演も、いつも通り楽しく幕を閉じた。
友人たちは互いを見つめ合い、笑いながら演奏し、歌い、観客たちは歓声で彼らを迎えた。
セジン、そして合流したセリンは、そんな観客たちの間に座り、どうしようもない4人のバカたちと、ますますバカになっていく一人の妹を見つめながら楽しんでいた。
イウムはヨハンの姿を記録するために、ステージが一番よく見える場所にカメラを設置し、カメラの後ろに隠れてこっそりと涙を流した。
太陽を背にして立つヨハンの黒いシルエットを見つめながら、そうしてただひたすらに。
***
公演を終えた一行は、素早く大邱を抜け出し、密陽に予約しておいた宿へと移動した。
二階建て構造で、1階にリビングとプールがあり、二階に4つの部屋がある天井の高いパーティールームだった。
部屋に入った女性仲間たちの感嘆の声と歓声。
興奮して服を着たまま水のないプールに飛び込み、まず水を流し始めるハミン、そして無言で疲れた表情で荷物を下ろす三人の友人たちだった。
「とりあえず少し休んで、後で夕食を頼もう。」
ハンギョルの言葉に恋人たちは互いに腕を組んで、ハミンは捕まえられるように二階の部屋を一つずつ確保して入っていった。
その姿を見たハンギョルは顔をしかめ、呟いた。
「くそったれなゴキブリども。」
ソファに座ってテレビをつけたウンビが、本能的に口を開いた。
「キャッ…!」
ベッドに腰掛けたヨハンに、小さな冷蔵庫を漁っていたイウムが声をかけた。
「何か飲む? 缶コーヒー? ヘッゲ茶?」
「甘いもの。」
「はあ、いつも甘いものばかり。」
「好きなことだけして生きていても、人生は短いんだから。」
「……」
ふっと笑って言ったその言葉に、イウムの体がぎくっと止まった。
「え? イウム?」
小さな冷蔵庫の前にへたり込み、肩を震わせているイウムの姿を見て、戸惑ったヨハンはイウムのもとへ歩み寄り、身をかがめてイウムを抱きしめた。
「ごめん。」
「一人にして行ってごめん。」
ヨハンは腕の中のイウムのすすり泣きを全身で感じながら、そう言い続け、謝り続けた。
しばらく時間が経ち、各部屋でだらだらしていたカップルたちが、一人、また一人とリビングに降りてきた。
少し疲れた表情のヨハンとイウム。
なぜか顔に化粧をしているヘジンとセジン。
黒くあるべき顔が真っ白になったハミンとセリン。
「このゴキブリみたいな小僧ども。捕まえても捕まえても、際限なく出てくる。」
ハンギョルが唸った。
「ちょうどいいタイミングで降りてきたね。プールの水も溜まったし、チョギチキンもピザもあるし、ビールもある。今日、私たちも映画で見たみたいにパーティーをしてみよう!」
いつ準備したのか、水着に着替えたウンビがプールに身を沈め、嬉しそうに叫んだ。
「私、疲れた…」
ハミンは、そばにべったりと離れようとしないセリンを押しのけようとしたが、押しのけられないセリンを引きずりながらソファまで歩き、どさりと座り込んだ。
「腹の満たされた奴め。この詐欺師!」
ハンギョルは怒りに満ちてハミンを指差しながら唸った。
「おい、お前も呼べよ。誰にでも電話すれば来るんじゃないか?」
ヨハンは怒りに満ちたハンギョルの脇腹をツンツンと突いた。
「この…」
華やかに飾り付けられ、美味しい匂いが満ちた温かいパーティールームの中に、ハンギョルの怒りが降り注いだ。
大騒ぎだった夕食が終わり、一行が皆自分の部屋に戻った後、ヨハンとイウムは明かりの消えた1階のソファに座り、テレビに映る燃え盛る焚き火の映像を眺めていた。
しばらく画面を見つめていたヨハンが、隣に座るイウムを見た。
テレビから漏れ出る赤い光が、イウムの顔を赤く染めていた。
「イウム。」
ヨハンの呼びかけに、イウムは顔を向け、ヨハンを見つめた。
「うん?」
「昔のことを覚えてる?」
「何のこと?」
「僕がリハビリ治療を受けてた時、君が一緒にいてくれたじゃないか。」
「……」
「まだありがとうって言ってなかった気がするから。」
「……」
「ありがとう。」
「感謝するなら行かないで。」
「ハハ…」
「このクソ野郎。いつも苦労ばかりさせて。」
「……」
「お前がいなくなったら、俺はすぐに別の男、めちゃくちゃタフな男と付き合うつもりだ。お前みたいにいつも怪我してふらふらしてる男じゃなくて。」
イウムは泣きながらヨハンの肩を叩いた。
「何言ってるの。」
二階の廊下からヘジンの声が聞こえてきた。
ヘジンがヨハンの襟首をつかんでソファから引き起こした。
そばに立っていたイウムがヘジンの手を離そうとしたが、ヘジンの手は微動だにせず、そのままヨハンの襟首を掴んでいた。
「何の話だ。答えろよ。コヨハン。」
「……」
「イウム、お前が答えろ。どういうことだ?」
答えのないヨハンから目を離し、そばにいるイウムを見つめた。
「やめて。」
イウムが言った。
「何の話だ。どこへ行くんだ?」
イウムの言葉など意に介さず、ヘジンはヨハンを問い詰めた。
「俺……」
顔を背けていたヨハンが口を開いた。
「俺、死ぬ。もう長くはない。」
「何言ってるんだ?」
「ああ。さっき言った通り、俺、死ぬんだ。」
ヘジンの手から力が抜けた。
「膠芽腫か何かで、俺の頭の中に何かがあるんだ。それが血管や神経を圧迫して、パッと消えちゃうんだって。」
「それって何……?」
「パッと消えるまでの時間が長ければ長いほど、体は徐々に死んでいって、そして結局パッと眠りについたまま、二度と起きられないんだって。」
「……」
「すごくロマンチックじゃない? 海岸の眠れる王子様。」
ヨハンはヘジンを見つめて笑った。
「おい、このクレイジー野郎。病気なら治療を受けなきゃだろ、なんでここにいるんだ?」
「ああ。どうせ治療を受けても死ぬんだ。こういうことさ。俺はベッドに横たわっている代わりに、ここでこうして君たちと遊ぶことを選んだだけさ。」
「このクソ…」
「ごめん、あと少しだけ手伝ってくれ。俺、これすごく楽しいんだ。それに俺たち約束しただろ。三十歳になってまた来るって。」
「おい、このクソ野郎!」
ヘジンがヨハンを乱暴に突き飛ばした。
バランスを崩して倒れそうになるヨハンを、イウムが素早く支えた。
「ヘジン!」
イウムの叫びを意に介さず、ヘジンはヨハンの顔めがけて拳を放った。
ヨハンは拳を見て本能的に頭をそらし、拳をかわすと、足を軽く伸ばしてヘジンの足を引っ掛けた。
足に引っかかったヘジンはバランスを崩して倒れた。
ヘジンの体がソファテーブルにぶつかり、ガラス製のソファテーブルが割れる音が轟音となって広がった。
突然の物音に驚いたのか、二階のドアが一つずつ開き、友人たちが外に出てきた。
「何の音だ?」
ハンギョルは寝ぼけた顔で下を見下ろした。
ソファの横にヨハンが頭を手で支えながら立っており、その前に壊れたソファテーブルと、その傍らに倒れているヘジン、そしてヘジンの様子を気遣うイウムが見えた。
「おい? どうした?」
ハンギョルの問いに、ヨハンが顔を上げ、口を開いた。
「119番に電話してくれ。ヘジンが怪我をした。」
***
2025年12月30日。午前1時。
ヨハンは馴染みのある救急室の空気を肌で感じながら、周囲を見回した。
白と赤ばかりが目に入る室内。
慌ただしく動き回る白衣を着た人々。
あちこちに転がり、へたり込んでいる人。
ベッドに横たわり、血を流しながら叫んでいる人。
ベッドのそばで泣いている人。
アルコールの臭い、血の臭い、そして死の臭い。
ヘジンが横たわっていたベッドのカーテンが開き、眼鏡をかけた若い医師が現れた。
「第6肋骨の微小骨折のようです。入院して経過を見ていく必要があります。」
医者の言葉が終わるやいなや、ヘジンの声が聞こえてきた。
「入院しません。我慢できますから。」
ベッドから体を起こそうとしたヘジンは、脇腹から走る痛みに顔をしかめた。
「あ。本当に痛いね。」
医師が再びヘジンに近づき、口を開いた。
「レントゲン上では特異な所見はありませんが、圧痛部位を見る限り、微小骨折の可能性が高いです。無理をして折れてしまうと、内臓を突き刺す恐れがあります。絶対安静が必要です。」
ヘジンは体を起こし、傍らに置かれたシャツを着てボタンを留めた。
「大丈夫です。」
痛みが激しいのか、顔をしかめていたヘジンが表情をほぐし、体を起こした。
「見送りに向かう途中だから。足が折れても行かなきゃね。」
ヘジンは無理に笑みを浮かべ、心配そうな表情で自分を見つめる友人たちのところへ歩み寄った。
午前6時。モーテルのパーティールーム。
明かりが消え、まだ暗い冬の明け方のリビング。
ソファに座り、窓から差し込むかすかな光に照らされた割れたガラスの破片を見つめていたヘジンのそばに、ハンギョルが近づいてきた。
「おい、本当に大丈夫か? 無理に意地を張ってるだけじゃないのか?」
ハンギョルの問いに、ヘジンはハンギョルをしばらく見つめたが、すぐに顔を背けて割れたガラスの破片を見つめた。
「おい!」
「ヨハン、あの野郎、死ぬらしいぞ。」
「何て馬鹿なことを?」
「あの野郎。」
感情が込み上げてきたヘジンは右手を上げて頬をぐいぐい押さえつけ、言葉を続けた。
「あの野郎、脳腫瘍だってさ。死ぬんだって。」
「何の話だ?」
ハンギョルの質問に対する答えが背後から聞こえてきた。
「そうだ。ヨハンが死ぬんだ。ある種の脳腫瘍。膠芽腫だったかな?」
ハミンがウンビと一緒に後ろに立っていた。
「でも、死ぬ前に思う存分歌いたいって言ってたよ。」
ハミンの言葉にヘジンは顔を上げ、ハミンを睨みつけた。
「お前ら、知ってたのか?」
「うん。」
「知ってたのに、俺たちには言わなかったのか?」
「うん。」
「一体俺たちを何だと思ってるんだ!」
「君たちまで辛い思いをする必要はないだろ。」
「……」
「最初はそうだったけど、今はただ、ヨハンの死について口に出すのが難しかったんだ。」
「……」
「急に倒れて病院に入院したのも、全部そのせい?」
「そうだ。」
ハミンが声を詰まらせ始めた。
「また歌いたかったんだって。」
「……」
「自分が一番幸せだった時だったって。」
声を詰まらせ、鼻をすすると、ぐっと息を吸い込んだ。
ウンビは何も言わずにハミンにティッシュを差し出した。
「ヘジンお兄ちゃん、ハンギョルお兄ちゃん。言わなかったこと、ごめんね……」
「……」
「でも、私にとっては実の兄が死ぬってことじゃない。私が目を覚ましてからずっと見てきた人がいなくなるってことじゃない。」
ウンビはその場にへたり込み、すすり泣いた。
「私もどうすればいいか分からなかった。」
ヘジンは何も言わずにウンビを見つめた。
「お兄ちゃんはただ、死ぬ前に歌が歌いたかったんだって。思う存分。」
すすり泣きながら漏らすウンビの声に、ハンギョルはソファにどさりと座り込んだ。
「ああ…くそ。あの時、俺が路上で喧嘩さえしていなければ…。」
ハンギョルはすすり泣きながら言った。
ヘジンが顔を向け、ハンギョルを見つめた。
「それはまたどういうこと?」
「ヨハンが喉を傷めたこと。あのヨハンを襲った連中……」
「……」
「あれ、あの時大邱で喧嘩してた奴らだったんだ。」
ヘジンの表情が崩れた。
「ヨハン、あの野郎。声を奪ったのは俺だったんだ!」
「……」
「私はそれさえ知らずに、ただ自分の楽器が壊れただけだと思ってた!」
「大丈夫だよ、バカ。それがどうして君のせいなんだ?」
すすり泣きながら絶叫するハンギョルの声の背後から、ヨハンの荒々しい声が聞こえてきた。
ヨハンが後ろに立って笑っていた。
「バカども。大丈夫だ。だから思いっきり楽しもう。」




