↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
82/94

*第80章~“サイレンス・グレイヴ”~

 



 はるか上空に浮かぶ黒い島。その中央にそびえ立つ居城の中、漆黒の闇に包まれたその部屋の奥の壇上に、禍々しいくらいの赫い椅子がある。その椅子の上に、突如、1人の男が現れた。

 「守備はどうだ?“サイレンス・グレイヴ”。」

 低く、響くような声で問うと、その男が見下ろす場所に7人のフードを被った人間が現れる。

 「上々ですわ。少し邪魔が入りましたが、侵入は容易でした。あの国の神獣が戻ってきて、あるいはこの計画にも支障をきたすかと思いましたが・・・いらぬ心配だったようですね、サフィール様。」

 フードを被った7人の中でも最も小さな者が、フードを脱ぎ、そのあどけない少女の顔に、大人びた笑みを浮かべながら、頭上の人物に話しかけた。

 「あぁ、あの神獣の使い手はむしろ我らに近しいからな。いずれは俺に(かしず)かせてやる。」

 クックと笑いながら話す姿を見た少女はむっとした。

 「サフィール様、何故あのような者にそんなに執着されるのです?力をつけないうちにさっさと始末してしまった方がよろしいのではないですか?」

 明らかに不機嫌になった少女は、イライラと組んだ腕の上を指でトントンと叩く。

 「女の嫉妬は見苦しいぞ、ノーレディ。それだけ、あの神獣の使い手に価値があるって事だろ。それよりお前、傀儡を壊されたそーじゃねぇか。嫉妬なんかする前にもっと精進したらどうだ?」

 「ヒッ、全く持って、リーガルの言うとおりだな、ヒヒッ。指令もろくにこなせんとは、ヒッ。」

 「レムレス、そのひき笑いどうにかならんのか。気持ち悪くてしようがない。」

 「エムラにどうかーん。ホント気持ち悪いよね、レムレスって。」

 「同じく。それにしてもノーレディさー、自分から光の国を志願しておいて、みっともない様だよね。」

 フードを被った者たちが次々に言葉を交わす。

 「うるさいわね、リーガルにレムレスにナイン。ちょっと気を抜きすぎていただけよ。次はもっとうまくやるから。そんなことより、お前たちこそちゃんと指令をこなしたんでしょうね。」

 「もちろん。僕とエイトはちゃーんと大地の国のナントカって町を破壊してきたから。時間も余ってたからついでに王族を1人殺してきたし♪」

 「俺も、サフィール様の指令通り、生命の国の国境にある町を潰してきた。」

 「ヒヒッ、吾輩も花の国の町の人間すべてミイラにしてきた、ヒッヒヒッ。」

 「お前が欲を出して手柄を上げようと、王都を狙うから失敗するんだ、ノーレディ。」

 「何よ。エムラなんて、風の国担当じゃない。あんな国なんて、既に闇に侵されているんだから、町1つ潰すくらい、わけないじゃない。」

 「だったら、お前が風の国を選べばよかったではないか。お前が自分で決めたことだ、責任を持て。」

 痛いところを疲れたのか、ノーレディと呼ばれた少女が押し黙った。


 「その辺で、止めておけ。お前たちは言い合いをするために集まったのか?」

 7人の頭上から声がかかり、フードの人間たちは合わって口を閉じた。

 「ところでエムラ。風の国に今、アイツが来ているだろう?」

 サフィールから尋ねられたエムラは自分の記憶をたどったが、思い当たることがなかったのか、「いいえ、存じてませんでした。」と答えた。

 「そうか。アイツの気配を感じていたのだが、まだお前たち程度では感じ取れないのだな。」

 そう言うと、サフィールは少し考えるそぶりを見せ、再び視線を7人に戻した。

 「これより、風の国を除く4つの国に引き続き侵攻しろ。一気にではなく徐々に、力を削いでいくのだ。ノーレディ。光の国がお前の手に余るのであれば、もう1人連れて行ってもいいぞ?」

 聞かれたノーレディが慌てて顔を上げた。

 「い、いいえ。私だけで十分です、サフィール様。きっとご期待に添えて見せます。」

 「そうか、それならばいい。さぁ、”サイレンス・グレイヴ”よ。復讐の時が来た。この世界の人間どもに我らが恨みを晴らすのだ。」

 7人は頭を垂れて、姿を消していった。


 残されたサフィールの後ろから、少年が姿を現す。

 「ゼダか。どうかしたか?」

 「・・・何故、風の国に手を出さなくしたんだ?」

 納得がいかないと言わんばかりに、ゼダがサフィールを睨んだ。

 「あれはメインディッシュのようなものだ。最期に取っておくのさ。あの女が逃げ場をなくし、追い詰められた時に、俺に跪くしかできないと思うだろう。」

 「けッ、相変わらず性根が腐ってやがるな。まぁ、いいさ。俺は俺で好きにやるから。」

 そう言うと、ゼダも姿を消した。

 「あぁ、楽しみだな。早くここまで来い、サラ。」

 深い深い闇の中、サフィールの笑い声だけが響いていた。



         ◆             ◆             ◆



 「事態は深刻だ。一刻も早くアイツに王になってもらわなくちゃいけねぇぜ。まさか、影の王国の侵攻がここまで早いとはな。」

 「大地の国では、王子が殺されたそうよ。何も知らない民もだけど、王族たちは脅えきっているわね。事情を知っているだけに・・・。どうすんのよ、ダラスちゃん。」

 光の国の王座の間にある玉座の裏の隠し部屋で、ダラスとジュダス、ジュリアの3人が集まっていた。

 「まだ、サラちゃんと仲直りしていないんでしょ?それどころか行方をくらましたままじゃない。仲たがいをしている場合じゃないのに。」

 「分かってるよ。だが、今のままのあいつに出来ることは何もねぇし、俺から言うことも何もねぇよ。とりあえず、結界を強めて、各国の守りを強固にするんだ。」

 「俺はとりあえず、ジュリアと一緒にダメージのでかい大地の国に行ってくるから。あ、そう言えば、我が国を襲った奴を追っ払ったのって、紗羅の学友のルイってやつだぜ?あいつ等にも事情を話して手伝ってもらうか?」

 これより半刻前、ジュダスが騒ぎを聞きつけ、慌ててダラスの元へ向かおうとしたところにルイが現れ、事と次第を話したのだ。

 「いや、アイツらにはまだ話せない。巻き込んだら駄目だ。それより闇払い専門の魔法使いたちを集めて、侵攻された町を浄化するんだ。急ぎ、指令を出せ、ジュダス。」

 「あぁ。行く前にやっておく。それにしてもサラは一体どこへ行ったんだ・・・。」

 ジュダスは「アイツの魔法があれば一発で闇を払えるのに」とブツブツ呟きながら、その部屋を出ていき、ジュリアも後に続いた。

 ダラスはため息をつき、少し間を開けてその部屋を後にした。

来ました、80章!!続々と出てくる敵キャラ達!名前が決まらないために全員セリフを作ることが出来なかった(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。