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*第77章~紗羅の不在~

 翌朝、いつまでたっても部屋から出てこない紗羅を心配し、シーラとアレクが紗羅の部屋へ向かった。


 コンコンと、ノックをするが、返事がない。特に部屋に鍵がかかっているわけでもなかったため、そーっと扉を開ける。

 「っっ?!」

 そこには紗羅の姿はなく、窓が開いていた。

 「主、どこへおいでですか?!」

 「おにいちゃん、どこへ行ったの?」

 バタバタと邸を探し回るが、一向に見つからない。

 『主、主!聞こえているのであれば、返事をしてくださいっ!!』

 アレクが紗羅へ呼びかけるも、応えはなかった。

 「仕方ない、こうなれば、おい、風たちよ!主は一体どこへ行ってしまわれたのだ!!答えよ!」

 アレクが周りの風たちへ呼びかけると、突風が吹き、風がアレクを包んだ。

 『申し訳ございませんが、神獣様。それは陛下に口止めされているのです。居場所を申し上げることは出来ません。あの少女にも、今魔法で陛下に呼びかけてもきっと返事はないだろうとお伝えくださいませ。』

 そう話すと、風はすーっとアレクの元を離れた。

 「ちょ、ちょっとまてッ!」

 アレクが止めるもむなしく、既にそこに風の気配はなかった。

 (一体、どこへおいでなのですか・・・。)

 アレクはそれ以上成す術なく、その場に立ち尽くした。




 時間が立つと、紗羅の不在はあっという間に知れ渡り、ジュダスもジュリアも手を尽くして紗羅を探し回り、ルイやイアン、ヴィンセントも手伝っていたが、一向に手がかりはつかめなかった。ただ1人、ダラスだけは動かず、黙々と自分の仕事に取り組んでいた。




 

 紗羅と連絡が取れなくなり、1週間がすぎた。学院の授業は主席の不在のまま、授業が進み、紗羅のクラスでは替わらない日常が続いていた。イアン、ルイ、ヴィンセントそれぞれが思い思いに空いた席を見つめる。教室は教師の声以外の音がなく、静まり返っていた。


 ガラッっ


 突如、教室の扉が開き、空気が震えた。

 「すみません、遅れました。」

 そこに現れた人物を見て、皆が驚いた。特に、イアン、ルイ、ヴィンセントは信じられないようなモノを見る目でその人物を見つめる。

 「な、な、なんでお前、ここにいるんだよ。」

 震える声でルイが尋ねる。

 「なんでって、自分のクラスだし、当たり前では?」

 飄々と答えるその人物に、イアンと、ルイの欠陥がブチッと切れる音がした。

 「「そうじゃないッ!!何で今まで行方をくらましていたお前が誰にも知らせずここにいるんだと言っているんだ、サイルッ!!!」」

 声を揃えて2人はその人物、紗羅に怒鳴った。当の本人は怒鳴られる意味が理解できないとばかりにキョトンと真顔で首を傾げた。




 教師によって、イアンとルイは取り押さえられ、大人しく席に着かされた。紗羅は声もかけず自分の席に着く。そこでクラスの人間は紗羅の後ろにいたもう1人の人物に気が付いた。

 「あ、アイザ?!何で、アイツも一緒なんだ?はッ!!」

 ルイが大声でアイザックの登場に驚いていると、あることに気づいた。

 「そういえば、アイツもずっと顔見てなかったな・・・。」

 ルイの気持ちを代弁するかのように、イアンが呟く。困惑顔のイアンとルイを見て、アイザックが目を細めてにーっこりと笑みを浮かべた。

 「なんでって、僕ずーっとこの人と秘め事をしていたんだから、当たり前だよね?」

 ニヤニヤと小馬鹿にしながら話すアイザックに再びルイが暴れ出しそうになる。

 「っんだとぅッ?!」

 「落ち着け、奴の挑発に乗るな。」

 「うるせぇッ!!そんなことは分かっている。俺が切れてんのはサイル、お前に対してだッ!!」

 ルイが紗羅を睨みつける。

 「・・・。」

 それでも目を合わせようとしない紗羅にルイが掴みかかった。

 「離せよ。授業中だろ?静かにしてくれないか。」

 「いやだね。俺はお前の口から全部聞き出さないと収まりそうもない。一体、今まで、どこで、何をしていた?何故誰にも何も言わなかった!そんで、何でよりにもよってコイツと行動しているッ?!」

 ルイの怒号に教室が静まり返った。紗羅はふぅーっとため息をつき、キッとルイを睨み返す。

 「何故僕がそんなことをいちいちお前に説明しなければならないんだ?お前たちだって、僕に隠し事をしていたではないか。こそこそと僕を見張って、間諜(スパイ)みたいなことまでして。」

 「ぅッ・・・。」

 紗羅の言葉にみるみるひるんでいく。

 「大体、僕が、どこで、何をしようがお前たちに知らせる義務はない。それとも何か?僕は逐一自分の行動をお前たちに明かさなければいけないのか?お前自身、僕にすべてを明かしているって言えるのか?!」

 グッと唇を噛みしめ、ルイはしぶしぶ紗羅から手を放した。紗羅はパッパッと衿を払い、ストンと席に着く。

 「お騒がせして申し訳ございませんでした。授業を続けてください。」

 紗羅の一言で、気まずい空気のまま、教師は授業を続ける羽目になった。



 

いじけた紗羅さんは一体どこで何をしていたのか?!

次回、その内容があきらかに・・・なる予定です。

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