*第76章~それぞれの思い~
「ちょっと、ダラスちゃん。」
ダラスがジュダスの邸を出て行った後からジュリアが追いかけてきた。
「なんであんな言い方したの?」
責めるようにダラスに詰め寄る。
「あんなって?―――――いてててッ」
とぼけたように答えるダラスの頬をジュリアは思いっきりつねた。
「はぐらかさないで。なんでちゃんとした理由をあの子に言わないの。」
ジュリアにつねられた頬をさすりながら、ダラスは再び歩き始めた。
「ちゃんとした理由なんて、さっき言ったじゃねぇか。それ以上でも以下でもねぇよ。」
「そうゆうことじゃないでしょ。」
慌ててダラスの後を追うジュリア。
「あなたが本当は弟ちゃんのために、神の器から解放する方法を探しているって、なんで言わなかったの?あの子をそのことに巻き込みたくなかったから、黙っていたんじゃないの。」
歩調が合わず、駆け足でダラスの隣を歩くが、ダラスは足を止める気配はない。
「こうなったら、きちんと説明して、協力を仰ぐべきなんじゃないの?」
その言葉にダラスの足がピタリと止まる。
「そいつは出来ねえ相談だな、ジュリア。」
「どうしてよ。」
ジュリアも足を止め、ダラスの顔を見る。
「このことをアイツに話しちまったら、俺が考えている1つの方法に気づかれちまう。そのことを知られた時の方が、アイツのショックは大きいだろうし・・・いずれにせよ、俺は既にアイツの事を裏切ってしまっているんだ。これ以上、アイツに今、伝えることは何もねぇよ。」
そう言ったダラスの顔は暗かった。
すっかり様が変わってしまった紗羅の部屋には、俯いたままの紗羅と、そんな紗羅の様子を伺うアレク、何か考え事をしているジュダスが残されていた。
「あ、あるじ・・・・。」
アレクが何か言おうとして声を掛けるが、紗羅はピクリとも動かない。重たい沈黙がその場を包んだ。
「・・・悪いが、2人とも出て行ってくれないか。」
小さくぽつりと、紗羅が言う。
「ですがッ!!」
アレクが声を荒げて紗羅に駆け寄るが、紗羅の顔に覇気がないことに気づき、足を止める。
「1人になりたいんだ。頼む。」
紗羅の命令とあらば、聞くしかないアレクはしぶしぶ扉の方へ向かうが、ジュダスは動かなかった。
「お前、何をしている?早く主の部屋から出るんだ。」
アレクが声を掛けるが、ジュダスは紗羅を見つめたまま。
「・・・お前さ、何か変なことを考えていないか?」
その場で初めてジュダスが口をきいた。
「どういう意味だ?」
静かに聞き返す紗羅。
「どうもこうも、お前は俺たちがサフィールの事を黙っていたことを気にしすぎなんじゃねぇのか?こっちにだって事情はあるんだし、何より、ダラスが言ったようにお前が今一番考えなければいけないのは風の国の事だろ?ダラスも俺たちもお前に早く風の国の王になって欲しくて、お前を手助けしてきたんだ。何よりもお前は自分の国の民たちを一刻も早く守ることを考えなければいけないんじゃないのか?!」
その言葉に紗羅がひるんだ。
「自分の問題も片付いていないやつが、他の国の事を気にしている場合か?!ダラスだって、お前がちゃんと風の国の王になって、自分の国の事が落ち着いたら話そうとしていたんだ。それを分かっているのかって、言ってんだよ!」
ジュダスが息を切らせながら、紗羅を睨む。
「・・・そんなことくらい、分かっているさ。以前、学院の試験を受ける前にカイルから影の王国の話を聞いて、何かお前たちが僕に隠していることも知っていたしな。だが、分かっているが、それでもッ!!」
紗羅は顔を上げ、ダラスを見る。その頬には涙が伝っていた。
「僕は、お前たちにやましいことがないのであれば、打ち明けて欲しかった。何よりも、この国で、信用できるのはお前たちだけと思っていたから・・・。お前たちの口から話してほしかったんだ。こんな大事なことは・・・。話してくれると信じていたんだ。」
今度はジュダスがひるみ、何も言い返せなくなった。
「他に何も言うことがないのであれば、早く出て行ってくれ。」
その言葉に、ジュダスは何か言いたげな顔をし、だが何も言わずアレクと共に部屋を去った。
残された部屋で、紗羅は蹲り、こみ上げてくる悲しみを抑えようとしていた。
「暁羅・・・。やっぱり僕は、誰からも信用されない人間なのか?」
ポツリとつぶやき、自嘲の笑みを浮かべた。
ん~、ダラス達にもまだまだ秘密がある感じですね。そして最近紗羅さんがうじうじしすぎている気が・・・。最初はこんな風にするつもりはなかったんですけどね。前回の更新から時間が経ちすぎたせいで、キャラ設定があやふやに・・・なりかけてました。ヤバイっすね。




