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*第2章~もう一つの世界【出会い】~

-その村は貧しかった。

獣の守護が消えた王の統治するこの国の、はずれの森のそばにある小さな村。ボロボロの衣を身に纏い、痩せ細った土地を耕す村人たち。その村の一人の少女、シーラは、今朝も村のそばの森へ、水を汲みに出かけた。

いつも通る森だが、何度行ってもその不気味さになれない。森の中には朝日が届かず、動物たちは見当たらない。代わりにたまに見かけるのが、小さな魔物。小さければ害はないが、いつ巨大な魔物に襲われてもおかしくなかった。

 森の中の井戸の水をくみ、帰ろうとしたとき、森の奥のほうに光が差し込んでいるのが見えた。この森の中で光の差し込むところ等ないはずなのに・・・。恐怖と好奇心が頭の中を巡り、好奇心のほうが勝った。おそるおそる、その光が差し込むほうへ向かう。

「うわぁぁっ」

感嘆の息が漏れるシーラ。光が差し込むところに、人が倒れていた。その人の髪が差し込んだ朝日に照らされ、キラキラと輝いていた。

 そっと近づき、倒れている人の顔を覗き込む。白い肌、薄く透き通っているがきれいに伸びたまつ毛、スッとした鼻、整った唇。眠っていても分かるくらい、綺麗な顔をしていた。

(すごい、こんなキレイなひと、見たことない・・・)

 まじまじと見つめていたシーラは自分が息をしていなかったことに気づき、大きな息を吐いた後、後方に一歩下がった。

 モフっ

「??!」

 ありえない背中の感触に驚き、後ろを恐る恐る振り返ると、そこには白い、大きな虎がいた。

「ぁっっ。」

 その場にへたりと腰を抜かして座り込み、恐怖に脅えた目でその白い虎を見つめる。


 そう、この森には動物はいない。いるのは魔物だけ。それにこんなに大きな魔物をシーラはみたことがなかった。

 のそりと白い虎がシーラのほうへ動き出した。

(もうだめだっっ。)

 ギュッと目をつむり、その覚悟を決めたシーラのそばをスッと白い虎が過ぎ去る。

来るべき攻撃が来ないことに気づいたシーラはそっと目を開け、キョロキョロとあたりを見渡す。

「あ・・・。」

 彼女を攻撃するだろうと思っていた白い虎はあの綺麗な人のそばに寄り添い心配そうにその綺麗な人を見つめていた。

(あの人を食べるわけでもないのかな?)

 白い虎の行動が気になり、じっと見つめていると、気づいた。彼女は小さい魔物しか見たことがないが、そのどれもが怒りの感情しかなく、体中から黒いもやのようなものを放っていて、近づいただけで自分も暗い感情が芽生えていたけど、あの白い虎は見事な毛並みに深緑の瞳で怒りではなく、慈しみの感情であの人を見ていた。

 そして、小さなシーラにも分かるほどその周りの空気は澄んでいて、暗く、花など咲かせたことがなかった森に彼らの周りだけいつのまにか無数の花が咲き誇っていた。


(もしかして、あの白い虎は・・・)

 彼女は古い伝承の中の伝説とも言える生き物を思い出した。




今回の章は異世界に入り込んだところで、視点がかわるので話を分けました。

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