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【完結】無自覚転生令嬢の物理魔法  作者: 深谷 汎
第6章 古代魔道具 と 代替品開発

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第93話 マクシミリアンも開発班へ

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その日の夕刻。


カイルとレオナルドは、王宮内の一室へアリスたちを集めた。


部屋には、アリスとセドリック、マクシミリアン、そしてリリィが揃っている。


「全員に、王太子殿下からの命令を伝える。」


カイルがそう切り出すと、アリスとセドリックは姿勢を正した。


一方、マクシミリアンは嫌な予感を覚えたのか、僅かに眉をひそめる。


「ベレニケ領で発見された古代魔道具の代替品を開発するため、王立研究所に専用の開発班が設けられた。アリス嬢とセドリックには、その中心となってもらう。」


アリスの目が、見る見る輝いていく。


「古代魔道具の代替品を、わたくしたちが作るのですか?」


「ああ。古代魔道具そのものは、ベレニケ領の火山活動を抑えている可能性がある。分解することも、動きを止めることもできない。王宮の宝物庫に保管されていた古代魔道具や、洞窟で得た調査記録を基に、仕組みを推定することになる。」


「それは、とても興味深いですわ!」


アリスは早くも、どの資料から確認するべきか考え始めていた。


その隣で、セドリックも静かに頷く。


「承知しました。必要となる数値や構造については、私が整理します。」


二人とも、断るという考えは最初からないらしい。


カイルは予想どおりの反応に頷いた後、マクシミリアンへ視線を向けた。


「それから、私とレオナルド、マクシミリアンも開発班へ加わることになった。」


「待ってください。」


マクシミリアンが即座に止めた。


「なぜ私まで加わることになっているのですか?」


「王太子殿下の決定だ。」


「理由を教えてください!」


カイルは王太子から渡された書類を開いた。


「マクシミリアンには、装置の安全性と、実際に使用する者の立場から意見を出してもらう。お前は騎士として革製の防具や馬具を扱ってきた。その経験が、温風送風装置を作る際にも役立った。」


「それは、革を直接火へ近づけると傷むと指摘しただけです。」


「その指摘がなければ、温めた空気を送るという案は生まれなかったかもしれない。」


「だからといって、なぜ代替魔道具の開発にまで参加しなければならないんですか!」


「お前は、アリス嬢たちが見落とした危険に、誰よりも早く気づくことが多いからだそうだ。」


マクシミリアンの表情が険しくなる。


「気づいているのではありません。誰よりも先に巻き込まれているだけです!」


揚水装置から噴き出した水を真正面から浴び、泥の中へ沈んだ記憶が蘇る。


あれを危険の発見と呼ぶのなら、あまりにも代償が大きい。


「だからこそ、危険を予測する側へ回ってもらうと、兄上は言っていた。」


「それでも納得できません!」


「まあ! 素晴らしいではありませんか!」


それまで黙って話を聞いていたリリィが、嬉しそうに声を上げた。


「マクシミリアン様が、王国を守るための大切な開発へ参加なさるのですね!」


「リリィ、これは決して安全な仕事ではない。」


「ですが、マクシミリアン様なら、皆様が安心して使える装置を作れますわ!」


リリィは、期待に満ちた目でマクシミリアンを見上げている。


その眼差しを向けられ、マクシミリアンの勢いが急速に失われていった。


「いや、私は装置を作れるわけでは……。」


「わたくし、マクシミリアン様が作った装置を使ってみたいですわ!」


「うっ、君が使う可能性があるなら、なおさら安全性を確認しなければならないではないか。」


「はい。ですから、開発を頑張ってくださいませ!」


「……。」


どう答えても、開発へ参加する方向にしか進まない。


マクシミリアンは助けを求めるようにカイルを見た。


だが、カイルは静かに首を横へ振る。


「諦めろ。私とレオナルドも、同じように加えられた。」


「既に決定事項です。」


レオナルドも淡々と付け加える。


マクシミリアンは、深く息を吐いた。


「……分かりました。できる範囲で協力いたします。」


「ありがとうございます、マクシミリアン様!」


リリィが満面の笑みを浮かべる。


その笑顔を見たマクシミリアンは、少しだけ頬を緩めた。


だが、そこでアリスが首を傾げた。


「ところで、マクシミリアン様。」

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