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無自覚転生令嬢の物理魔法  作者: 深谷 汎
第4章 国家を揺るがすレポート と 元婚約者の覚醒

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第51話 称賛を受け舞い上がるマクシミリアン

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「おおっ! さすがアリス嬢!! 生体感知にベクトル移動の組み合わせ……、面白い!!」

「ええ! ……ですが……」


完全復活を遂げ、目を輝かせ議論していた二人の会話が、ふと止まった。

セドリックが顎に手を当てて唸る。


「問題は……その軌道ベクトルをどう設定するかですよね……」

「そうですわね……。何の法則もなくただベクトルを移動させても、意味がないですもの……。どうしたら……」


アリスは腕を組み、過去の膨大な実験データを脳内で検索し始めた。

そして数秒後、ハッと顔を上げ、ポンと手を打った。


「!!! そうだわ。幼い頃、マクシミリアン様に手伝って頂いた、カウンター実験!」

「ひぃっ!?」


突然名前を呼ばれ、マクシミリアンの肩がビクッと跳ねた。

そんな元婚約者の怯えなど完全にスルーして、アリスは語り出す。


「あの時のカウンタ―実験……マクシミリアン様は、弾き返された攻撃魔法(火属性)を、すべて見事に避けてしまわれましたの! おかげで私の実験は失敗に終わりましたが……あの時の、マクシミリアン様の避け方をベクトルにして組み込めば……!」


(あの時の……あれは、カウンターの実験だったのか……!?)

マクシミリアンの顔から、さらにスッと血の気が引いた。


(もし、あの跳ね返ってきた炎の魔法が……一つでも直撃していたら……俺は……!!)

当時の真実と、自身がどれほど危険な状態に晒されていたかを知り、マクシミリアンは驚愕に目を見開いた。


そんなマクシミリアンを、無視して二人の議論は続いた。


「おお! なるほど! しかし、マクシミリアン殿の身体能力は以前から素晴らしいとは思っていましたが、アリス嬢の数式すら超えているとは!その回避能力……ぜひとも我々の検証に協力していただきたい!」

「確かに! あの時は、私がいくら再計算し直しても、すべて躱されてしまってデータが取れずダメで悔しい思いをしたのですが……この件には、マクシミリアン様の協力が必須ですわ!」


当時、マクシミリアンが必死の思いで生き延びていたことなど露知らず、「自分の計算が破られた悔しさ」を熱弁し協力を求めるアリス。

そして、その光景を見ていたリリィが、両手を頬に当ててうっとりとため息をついた。


「まあ! マクシミリアン様、素敵です!! あんなに難しいアリス様の計算を上回る身体能力だなんて……! 私、マクシミリアン様の婚約者になれて幸せですわ!」


「…………」


アリスの緻密な計算を躱した身体能力を絶賛し協力を求めるセドリック。

データが取れなかったことを未だに悔しがりながらも、協力が必須だと宣言するアリス。

命がけの回避を「素敵」と褒め称え、一人お花畑にいるリリィ。

そして、過去の真実を知るや否や、称賛を浴びてしまったマクシミリアン


「いいだろう!検証でもなんでも私が協力してさしあげましょう!」


あのセドリック様が絶賛し。あの悪魔が悔しがり。そして、最愛のリリィが素敵と褒めてくれた。

……この事実に、マクシミリアンは舞あがり、自ら検証の的になることに志願したのだった。


「マクシミリアン、あいつバカだ……称賛の言葉に乗せられて、自ら実験の標的に志願するとは……」

カイル殿下は、遠巻きにやり取りを眺めながら呆れ果ててつぶやいた。

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