第47話 カオスな状況に後悔する第二王子
※毎日 朝5時に予約投稿で更新中
そんな、終わりの見えない鬼ごっこが続いていたある日のこと。
――バァーンッ!! と、演習場の扉が勢いよく開いた。
「王太子殿下! カイル殿下! その悪魔から離れてください!!今日こそ、私が皆様をお守りいたします!!」
息を切らし、必死の形相で飛び込んできたのは、私の元婚約者であるマクシミリアンだった。 彼は私が王宮に滞在し、演習場に入り浸っていることを聞きつけ、王族たちが私の「実験」の犠牲になっていると思い込み、慌てて演習場に乗り込んできたのだった。
「マクシミリアン、静かにしろ! 邪魔をするな! 今は大事な検証中だ!」
「なっ……、殿下! まさか……洗脳されているのですか?! 目を覚ましてくださいっ!!」
「アリス!お前……殿下たちに何を――!」
叫びながら、マクシミリアンは私の元へ走り寄り手を伸ばした。
が、その手が私に触れることはなかった。
――バチンッ!!
「痛っ!?」
マクシミリアンの手を、目に見えない何かが鋭く弾いた。
「アリス嬢! 大丈夫ですか!?」
瞬時に私の前に駆けつけ、庇うように立っていたのはセドリック様だった。 彼は乱入者を冷たく睨みつけた……かと思えば私の方を向き、
「アリス嬢、今の見てくれましたか!? 昨日のあなたの『静電気の反発力』の理論を応用して、対象者の悪意や急激な運動エネルギーを感知し、自動で迎撃する局所防壁を組んでみたのです! これなら常時展開しても魔力消費はわずか一割で済みます。どうです、素晴らしい効率化だと思いませんか!?」
セドリック様は、期待を込めた目で私を見つめてきたが、その見事なプレゼンを聞いたとたん、私の心は、マクシミリアン様乱入の驚きから一転、一気に氷点下まで冷え込んだ。
(ああ、まただ……。私の考えたただの静電気の理論が、一瞬で魔改造された……生体感知の自動迎撃? 消費魔力一割? なにそれチートすぎる……)
「……ええ、とても、素晴らしいですわ……私なんて、ただ静電気でバチッてさせるのが精一杯でしたのに……ぐすんっ」
「えっ!? ア、アリス嬢!? なぜまた泣きそうな顔を!?」
たまらず、いつものように演習場の隅っこへ逃亡しようと踵を返した――その時だった。
「待ってください! お願いですから、逃げないでください――!」
「ひゃっ!?」
一瞬逃げ遅れた隙を突かれ、私はセドリック様に捕まってしまった。
(マクシミリアン様のバカ……! 貴方が変なタイミングで乗り込んでくるから、私がセドリック様から逃げ損ねたじゃないですか……っ!)
私は涙目で元婚約者をジロリと睨みつけながら、捕まった腕をブンブンと振ってみた。 しかし、そんな私のささやかな抵抗など全く無意味であった。 一方、弾き飛ばされたマクシミリアンは、手をさすりながらへたり込み、目の前の信じられない光景に釘付けになっていた。
幼い頃、自分を完膚なきまでに叩き潰したあのアリス(悪魔)が、 セドリックに腕を掴まれ、どんどん顔色を失い、涙目で震えているではないか。
「す、すごい……」
マクシミリアンは、目をキラキラと輝かせながら、セドリック様に羨望の眼差しを向けていた。
(あの恐ろしい悪魔を、こうもあっさりと精神的に追い詰めるなんて! さすがはセドリック様だ!!)
マクシミリアンの脳内では、『悪魔を追い詰める英雄セドリック』という謎の構図が完全に出来上がってしまった。
「おいおい、マクシミリアン、何か勘違いしてないか?セドリックは今、アリス嬢に必死に自分をアピールしている最中であって、決して彼女を追い詰めているのではなく――」
見かねたカイル殿下は駆け寄りマクシミリアンの肩をポンと叩いたが、セドリックへ羨望のまなざしを向けている彼の耳には、その声は届いていなかった。
(こんな収拾のつかない事態になるのなら、面白がって傍観などせずに、さっさとセドリックをフォローしておくべきだった……)
こうして、誰一人として会話が噛み合っていない見事なまでのカオスな状態を前に、カイル殿下は深くため息をつき後悔するのであった。
そして、自身の悪趣味な傍観を今更ながらに後悔する弟を見て、王太子殿下だけが腹を抱えて笑い転げているのだった。
「キャラクター紹介動画(AI動画)」をYouTubeにアップしました!
AI生成歴約2ヵ月の未熟者がつくった動画のため、不自然、お見苦しい所も多々あるかと思いますが、小説の合間の息抜きに、映像の方でも世界観を楽しんでいただけると幸いです!
(※一部キャラクターの瞳の色などが小説の設定と異なった仕上がりになっている部分があります。未熟者のAI生成ということでご容赦ください。)
▼YouTubeリンクはこちら
https://youtu.be/ikbtPCBunl8




