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無自覚転生令嬢の物理魔法  作者: 深谷 汎
第4章 国家を揺るがすレポート と 元婚約者の覚醒

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第37話 アンチマジックとの違いは??(※結果は同じです)

※毎日 朝5時に予約投稿で更新中

「波の性質……逆位相、だと……?」

王太子とカイルは顔を見合わせた。彼らはアリスの地獄のような「物理学特別講義」で脳を焼き切られながらも、波の性質や干渉といった基礎的な概念は嫌というほど叩き込まれていた。だからこそ、彼女の言わんとしている理屈自体は、すんなりと理解できてしまったのだ。


「なるほど……。向かってくる魔力波の頂点に対し、全く逆の谷となる波を正確にぶつけることで、エネルギーを相殺したということか」

「その通りですわ、王太子殿下! もう、物理的概念はバッチリですね」

私がにっこりと微笑むと、王太子は

「ふむ、理屈が分かれば確かに……」

と少しだけ安堵したように頷きかけた。 だが、その安堵は一瞬で吹き飛んだ。


「――いや、待て待て待て!!!」

バンッ!とカイル殿下が机を叩き、身を乗り出した。


「理屈はどうあれ、結果的に『相手の魔法を完全に無効化できる』なら、それはアンチマジックと全く同じじゃないか!!」

「……あっ!」

カイル殿下の絶叫に、王太子もハッと我に返った。 そうだ。理屈が物理学であろうと神の奇跡であろうと、国家間における軍事的な脅威度は何一つ変わらない。むしろ「誰でも計算と魔力操作さえできれば、どんな魔法も打ち消せる」という事実の方が、伝説の魔法よりも再現性が高くて、よっぽどタチが悪いではないか。


「そ、そうだぞアリス嬢! これが他国の軍に知れ渡り、部隊単位で運用されたら、我が国の誇る魔法騎士団の攻撃がすべて無効化されてしまう! これは国家の根幹を揺るがす重大事項だ!!」


「はあ……。ですが、波長の観測と瞬時の計算が必要なので、処理能力(計算速度)を上げないと難しいと思いますけれど……」

私は大げさに騒ぐ二人を不思議に思いながら、ふと思いついて提案した。


「もしご不安でしたら、以前この『物理的干渉による魔力相殺アンチマジックもどき』について検証したレポートがありますので取ってきましょうか? 数式と実地データのログがまとめてありますから、それを元に必要な計算速度の測定検証をしていただければ、そう簡単に真似できるものではないとご安心いただけるかと」

その言葉に、部屋の隅で控えていたセドリック様が、ふと顎に手を当てて呟いた。


「そういえば……アリス嬢はあの研究室で、いつも分厚いレポートを書き留めていましたね。私が空間浮遊の実技を学んでいた時も、横でたくさんの紙の束を積み上げていましたが……」

ピタリ、と。 王太子とカイル殿下の動きが、まるで時を止められたかのように凍りついた。


「!! 魔力視認もレポート化されてたな……」

カイル殿下がつぶやいた。


「…………アリス嬢」

王太子が、地を這うような、かつてなく低く震える声で尋ねた。


「その……『以前検証したレポート』や、セドリックが言っている『紙の束』には……まさかとは思うが、今回のアンチマジックや前回の魔力視認のような、国家をひっくり返すレベルの『検証結果』が、他にも書かれているんじゃないだろうな?」


「他の検証結果、ですか?」

私は記憶のフォルダ(脳内)を検索しながら、指折り数え始めた。


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