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無自覚転生令嬢の物理魔法  作者: 深谷 汎
第2章 側近の秘密 と 王太子暗殺未遂事件

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第25話 特定の波長が導く先

※毎日 朝5時に予約投稿で更新中

真犯人の波長を完全に記憶した私たちは、すぐさま保管室を後にし、次なる現場――

毒の瓶が隠されていたという、カイル殿下の私室へと向かった。


部屋の入り口に立つと、中は凄まじい状態だった。近衛兵たちが家捜しをした影響で、部屋中が彼らの魔力残滓ノイズで溢れかえっている。だが、波長観測フィルターをマスターした私たちには、まったく関係のないことだった。


「セドリック様。先ほど記憶した真犯人の波長『だけ』を透過するように、視界のフィルターを調整チューニングしてください」

「……指定した周波数のみを抽出するのだな。分かった」

セドリック様が瞬きを一つした直後、彼の息を呑む音が聞こえた。


ノイズだらけだった視界から、近衛兵やカイル殿下の波長がスッと消え去り――代わりに、ベッドの裏側(瓶が隠されていた場所)から入り口に向かって、点々と続く『一つの足跡(波長)』だけが、暗闇に浮かび上がるように鮮明に発光し始めたのだ。


「……信じられない。何十という足跡の中から、真犯人の痕跡だけが、まるで光る絵の具をこぼしたように浮かび上がって見える……!」

「特定波長のみの可視化。科学捜査の基本ですわ。さあ、エントロピーが増大して痕跡が拡散フェードアウトしてしまう前に、その波長の『発生源』を辿りましょう」


私たちは、床に残されたその淀んだ波長を追って、王宮の廊下を歩き始めた。 右へ、左へ。時には人目を避けるように階段の裏を通り、王宮の奥深くへと痕跡は続いている。


(ふふっ、まるで不可視の放射性同位体を追跡トラッキングしているみたいで、実地調査としては最高にドキドキしますわ!)


私が純粋なフィールドワークを楽しんでいる横で、セドリック様の横顔は、一歩進むごとに氷のように冷たく、そして鋭い怒りに満ちていった。 無理もない。この痕跡の先にいるのは、主君であるカイル殿下を陥れ、王太子殿下を暗殺しようとした大罪人なのだ。


やがて、その発光する痕跡は、王宮の西塔にあるひとつの扉の前でピタリと止まり、その隙間へと吸い込まれていた。 扉の隙間からは、私たちが追跡してきたものと全く同じ、濃厚な真犯人の波長が漏れ出している。


「……着きましたね」

私がフラットな声で告げると、セドリック様は剣の柄に手をかけ、地を這うような低い声で応えた。

「ああ。この部屋の中にいる者が……カイル殿下を陥れた、真犯人だ」


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