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【完結】無自覚転生令嬢の物理魔法  作者: 深谷 汎
第7章 ランバート領 と 新たな謎

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第113話 地底湖に残された石

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誰もが地底湖の広さに目を奪われていた。


しかし、すぐにカイルが調査員へ指示を出す。


「湖へ近づく前に、空気と足場の安全を確認しろ」


調査員たちは器具を取り出し、温度、湿度、空気の流れを順番に調べていった。


有害な気体を検出するための試薬にも、異常な変化は現れない。


湖の周囲には常に空気が流れており、長時間滞在しても問題はないと判断された。


続いて、騎士たちが縄を付けながら岸辺へ近づき、足元を確認する。


濡れて滑りやすい場所はあるものの、すぐに崩れるような岩は見当たらなかった。


「現時点では、調査を続けても問題ありません」


報告を受け、カイルが頷いた。


「洞窟内を明るくできる者はいるか?」


数人の魔法研究員と騎士が前へ出た。


それぞれが光属性の魔法を発動する。


生み出された光の玉が、次々に洞窟の天井へ向かって昇っていった。


一つ。


二つ。


三つ。


光は高い天井付近で静止し、その場から周囲を照らし始める。


携帯灯だけでは見えなかった洞窟の全体が、少しずつ明らかになっていった。


地底湖は、想像していた以上に広かった。


対岸は辛うじて見えるものの、左右へ長く伸びている。


天井からは幾つもの岩が垂れ下がり、その先から落ちる水滴が湖面へ波紋を広げていた。


湖を囲む岩壁には、自然にできた亀裂と、人工的に削られたと思われる場所が混在している。


岸辺の一部には平らな石が並び、歩けるように整えられていた。


エレノアが周囲を見回す。


「人の手が入っています。古い時代の者たちは、この場所を継続的に利用していたのでしょう」


カイルは調査員たちを幾つかの班へ分けた。


湖岸の地形を記録する者。


水の流れを調べる者。


人工的に加工された痕跡を探す者。


魔力反応を確認する者。


全員が互いに見える範囲から離れないよう指示され、調査が始まった。


アリスとセドリックは、湖岸に並ぶ平らな石を調べていた。


石の表面には長い年月をかけて付着した堆積物があり、その下に細い溝が隠れている。


「水を流すための溝でしょうか」


セドリックが尋ねる。


「可能性はありますが、この幅では大量の水を運ぶことはできませんわ。何かを移動させるための案内溝かもしれません」


アリスが溝の先を目で追っていた時、少し離れた場所から声が上がった。


「こちらで、微弱な魔力反応があります!」


アリスたちは、すぐにその場所へ向かった。


反応があったのは、湖岸に転がっていた小さな石だった。


灰色に濁り、周囲の石とほとんど見分けがつかない。


魔法研究員が石を拾い上げ、慎重に魔力を調べる。


「確かに魔力が残っています。しかし、非常に弱いものです」


「属性は分かりますか?」


カイルが尋ねる。


研究員は別の器具を取り出した。


石へ魔力を流すと、器具の中央に淡い青色の光が浮かぶ。


「水属性です。これは、ほとんど力を失っていますが、水の魔石だと思われます」


周囲を調べると、同じような石が次々に見つかった。


完全に魔力を失ったもの。


僅かに水属性の反応を残しているもの。


途中で割れたもの。


どれも、大きさと形がよく似ていた。


「自然にできた魔石が、これほど同じ場所へ集まるとは考えにくいですわ」


アリスは石を一つ手に取った。


表面を清掃すると、一部に削られた痕跡が見える。


「同じ大きさになるよう加工されています。ここで使用されていたか、ここで作られたのでしょう」


「では、魔石を作る装置が近くにあるのか?」


マクシミリアンが周囲を見回した。


調査員たちは、石が多く転がっている方向をたどっていった。


その先には、岩壁から張り出した大きな岩がある。


初めは自然の岩に見えたが、付着した汚れや堆積物を取り除くと、その奥から金属と石を組み合わせた構造物が現れた。


「古代魔道具です!」


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