↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】無自覚転生令嬢の物理魔法  作者: 深谷 汎
第7章 ランバート領 と 新たな謎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
114/143

第110話 調査は明日へ

※毎日 朝5時に予約投稿で更新中

カイルの決定に、張り詰めていた空気が僅かに緩んだ。


「入口と四本の柱の状態を記録し、仕掛けを閉じる。明日の朝、必要な装備を整えて戻る」


「承知いたしました」


レオナルドが答える。


「明日は地下で長時間行動することを想定しろ。縄、目印、予備の食料と水、携帯灯を用意する。油と燃料も持ってくるが、内部の空気を確認するまでは火を使うな」


「空気の流れや状態を調べる器具も必要ですね」


セドリックが付け加えた。


その声は、いつもと変わらず落ち着いている。


「内部の空気に異常があれば、明かりの魔法が使えたとしても、人が入れるとは限りません」


「階段や床の状態を確かめる道具も必要ですわ」


アリスは残念そうに階段を見つめながらも、既に明日の調査へ気持ちを切り替えていた。


「石を叩いて音を確かめる棒と、傾斜を測る器具。それから温度と湿度の計測器も――」


「アリス」


マクシミリアンが低い声で呼んだ。


「何ですの?」


「今日は戻るという話だ。今から道具を持って階段へ降りようとするなよ」


「必要な装備を考えているだけですわ」


「階段から目を離してから言え!」


カイルは二人のやり取りを聞き流し、レオナルドへ指示を続けた。


「明日、内部へ入る者は最小限にする。地上にも護衛と連絡役を残せ。戻る時刻をあらかじめ決め、それを過ぎても連絡がなければ、領主館へ知らせる手順も整えておくんだ」


「直ちに準備いたします」


調査員たちは手分けをし、入口と階段の寸法を記録した。


四本の柱がどの位置にあるのか。


それぞれをどの方向へ動かしたのか。


最後にどの柱へ力を加えたことで、石畳が開いたのか。


明日、同じ状態を再現できるよう、図面と文章の両方へ残していく。


入口の下へ紙片を落とし、風が吹いてくる方向も記録した。


全ての記録が終わると、仕掛けを閉じる作業へ移った。


まず、最後の留め具を動かした柱を元の状態へ戻す。


続いて、四本の柱を記録に従い、入口を開いた時とは逆の順番で動かしていった。


最後の柱が元の位置へ収まる。


石畳の下から重い音が響き、左右へ分かれていた石がゆっくりと動き始めた。


暗い階段が少しずつ隠れていく。


やがて二枚の石が中央で噛み合い、低い音とともに動きを止めた。


地下から吹き上がっていた冷たい風も、水を思わせる匂いも、そこで途切れた。


一見しただけでは、その下に階段があるとは分からない。


柱の位置と石畳の継ぎ目には、動かされた場合に分かるよう印が付けられた。


カイルは護衛騎士の中から数名を選んだ。


「お前たちはここに残り、遺跡を見張れ。領主館へ戻り次第、交代要員と夜営の道具を送る。誰かが近づいても、柱には触れさせるな」


「はっ!」


騎士たちが声をそろえる。


「明日こそ、この先を調べられますわね」


閉じた石畳を見つめながら、アリスが呟いた。


「明日まで待てればな」


マクシミリアンが疑うような目を向ける。


「夜中に一人で戻ってきたりしませんわ」


「本当だろうな?」


「ここまでの道を一人では覚えていませんもの」


「覚えていたら来るつもりだったのか!?」


マクシミリアンの声が、夕暮れの遺跡へ響いた。


「冗談ですわ」


「お前の場合、冗談に聞こえない!」


森へ戻る準備を始めた者たちの間から、小さな笑いが起きた。


日が沈む前に森を抜けるため、一行は来た道を引き返した。


アリスは森へ入る直前に一度だけ振り返った。


四本の柱に囲まれた石畳は、何事もなかったかのように、静まりかえっていた。


本日午前11時に、セドリック視点の閑話

『セドリック~婚約者は私なのだが~』を投稿します。

次の地下調査へ進む前に、普段は冷静なセドリックの胸の内を、少しだけ覗いてみませんか?

※本編の進行には影響しない閑話です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。