〈9−2〉あまねの昔ばなし
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白い部屋、白い家具、唯一色がついているものは生きているものだけ。
「かぁさん〜」
「なぁ〜に〜?」
僕の呼びかけに母は返事をし、しゃがんで僕を待っている。かあさんの頭には黄色に光るものが浮かんでいる。
母はとても美人で薄ピンク色の髪に金色のような黄色の瞳をしていた。
「あーちゃんはやっぱり天使だよ!!こんなにかわいいんだよ?かぁさんの呼びかけにも笑顔だし。」
姉は母の隣で顔をニコニコしている。
姉は母の容姿を色濃く受け継いでおり、同じ薄ピンクの髪に金のような黄色の瞳をしていた。
姉は僕にぞっこんらしくいつも優しくしてくれる。なので、姉には僕も甘えてしまう。
「ねぇ〜ねは、かわいい!」
満面の笑顔だった。
すると、母は僕を抱きしめる体がかたまり、姉は床に倒れ込んでしまった。
「あまちゃんの笑顔は破壊力えぐいわね」
「同感……」
「ただいま〜」
という声に合わせて玄関のほうから音が聞こえてきた。
「とうさん帰ってきた!」
玄関のほうから声が少し聞こえる。
「とうさん!とうさん!あーちゃんがね!…………」
父と母も仲がよく、姉も弟を愛していた。
家族の色も匂いも僕の安心できる居場所だ。
のに……
僕はすべて裏切られた。僕のせいですべて奪われた。もう戻ってこない。
幸せだったのに。
……
――――何もかもアルバス(白の星)が悪いんだ。――――
あまねはなにもない真っ黒な空間にいた。うずくまって耳も塞いで何も受け入れないような。
もう何も作らないって決めてたのに……。友達も家族も。
(あまね)
あまねの真っ黒な世界に声がした。
(あまね。また失ってしまうのかい?)
うん。僕はそれしか道がない。
(僕はそんなことないと思うよ。)
…………
声はあまねの背中側から聞こえる。背中合わせで寄り添ってくれているのか。背中の感覚だけ感じる。
(前見てご覧よ)
あまねは少しだけうずくまる体を起こしひかりを受け入れた。
そこにはうりむが巨大うさぎと戦っている姿があった。
あぁうりむくん戦ってる。顔めっちゃ焦ってる……。僕が浮遊解除しちゃったから苦戦してるのかな……。見た目は僕が浮遊かけてた時と変わらないような気がするけど……。僕はやっぱだめなんだな。
そう思ってると声が聞こえてきた。
「あまね!!!」
あまねはその声量に体がびくっと震えた。
「あまね!聞こえてるかはわからねぇが!!」
喋りながら戦えてるなんてすごいな……。
「俺は信用してるって言ったよな?!本当だよ!」
うさぎが暴れ衝撃音がひどくなってきた。
「あまねが抱えてるものが何なのか俺はわかんない。だが!お前の様子からトラウマがあるのはわかってた!」
じゃあなんで、一緒に戦うなんて言ったんだよ……。腕を強く握りしめた。
「じゃあなんで戦うなんて言ったかなんて思ってるだろうが……簡単だよ。一緒に戦いたいって思ったから!!こんな俺でも友達ができるかもって思えたから!」
うりむは突っかかりながら精一杯に叫んだ。それがあまねに届いているかもわからないのに。
しかし、あまねにはしっかり届いていた。
ぼくと同じ思いだった?どうして……
(ぼくはね、あまね。あまねが嫌ならこの学園だって辞めたらいいよ。だけどこんなにあまねを求めてくれる人がいるじゃないか。 今度こそチャレンジしてもいいんじゃないかなって思うんだ。)
『あまねを変えてくれる人がいるかもしれないじゃないか』




