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花咲く辺境の第六皇子  作者: じゃこー
第二章 辺境に芽吹く
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第三十三話 町の守り手

 自警団を作ることが決まってから、数日が経った。


 町の広場には、新しい立て札が置かれている。


 そこに書かれているのは、町の警備を担当する人員の募集についてだ。


 仕事内容は、町の見回りや夜間の警戒、魔物の目撃情報の確認など。


 もちろん、給金も出る。


 今までのように、住民の善意だけに頼るわけにはいかないからね。


 それに、毎日町を守ってくれるなら、それは立派な仕事だと思う。


「……結構集まったね」


 僕は広場に並んだ人たちを見ながら呟いた。


 目の前には、十二人の男女が集まっている。


 元傭兵らしい男性。


 弓を背負った狩人。


 普段は農作業をしているという若者。


 これまで町の夜番を手伝っていた人もいる。


 年齢も経歴も、随分とばらばらだった。


「最初は十人くらいのつもりだったんだけど」


「希望者はもう少しいましたよ」


 隣に立つグレンが答える。


「そうなの?」


「ええ。ただ、今回は人数を増やしすぎない方がいいと思いまして。本人たちと話をして、まずはこの人数にしました」


「なるほどね」


 グレンは、募集を始めてから何人もの希望者と話をしていた。


 経験者だからといって無条件に採用するわけではなく、仕事への考え方や、ほかの人と協力できるかどうかも確認したらしい。


「強ければいいって仕事じゃないですからね」


「うん。僕もそう思う」


 さっそくグレンらしい判断だった。


 集まった人たちをもう一度見る。


 装備も統一されていない。


 使い込まれた革鎧を着ている人もいれば、普段着に近い格好の人もいる。


 武器だって剣や弓、槍とさまざまだ。


 中には、まともな武器を持っていない人もいた。


「……騎士団って感じじゃないね」


「そりゃそうでしょう。まだ自警団ですから」


「あはは、確かに」


 グレンが小さく笑う。


「ですが、最初はこれで十分だと思いますよ」


「うん。まずはできることから始めよう」


 僕は集まった人たちの前に立った。


 すると、何人かが慌てて姿勢を正す。


「ああ、そんなに緊張しなくていいよ」


 そう言うと、少しだけ空気が和らいだ。


「えっと、今日は集まってくれてありがとう」


 全員の顔を見渡す。


「最近、この町は前よりずっと賑やかになってきたよね。商人も増えたし、新しい仕事もできた」


 何人かが頷く。


「それはすごく嬉しいことなんだけど、その分、今までになかった問題も増えてきてるんだよね」


 市場での盗難。


 夜間の騒ぎ。


 商人同士の揉め事。


 町の外に現れる魔物。


「だから、みんなには町を守る仕事をお願いしたいんだ」


 僕は少し笑った。


「ただ、何かあったらすぐ剣を抜くような人にはなってほしくないかな」


 集まった人たちが、少し真剣な表情になる。


「町の人たちが安心して暮らせるようにすること。それが一番大事だと思ってるからね」


 そこまで話したところで、グレンが一歩前に出た。


「ここからは俺が説明します」


 低く、よく通る声だった。


「まず、俺たちの仕事は喧嘩に勝つことじゃない。町を守ることだ」


 グレンが団員たちを見渡す。


「相手が盗賊だろうが、酔っ払った町の住民だろうが、必要以上に傷つけるな。まして、俺たちが勝手に誰かを罰することは許されない」


 何人かが頷いた。


「何かあれば状況を確認し、必要なら取り押さえて役所へ引き渡す。判断に迷ったら、必ず報告することだ」


「はい!」


「それから、覚えておいてほしいことがある」


 グレンは少しだけ声を落とした。


「一人で何でも解決しようとするな。町を守るのは、お前たち一人ひとりじゃない。ここにいる全員の仕事だ」


 ……なるほど。


 やっぱり、こういう説明は慣れてるなあ。


 僕が感心していると、グレンはこちらへ振り返った。


「殿下。ひとまず、こんなところでしょうか」


「うん。すごくいいと思う」


「ありがとうございます」


 そこで、僕は隣に立っていたフィオナを見る。


「じゃあ、フィオナにも紹介してもらおうかな」


「はい」


 フィオナが一歩前へ出た。


 銀色の髪が、風に揺れる。


「フィオナと申します。普段はカイル様の護衛を務めています」


 丁寧に頭を下げる。


「今後、皆さんの訓練を一部お手伝いすることになりました。よろしくお願いいたします」


 集まった人たちも頭を下げた。


 その中の一人が、少し不思議そうに手を上げる。


「あの、フィオナ様」


「はい」


「普段は弓を使われると聞いたんですが、剣の訓練も見ていただけるんですか?」


「剣については、グレンさんの方が詳しいと思います」


 フィオナは素直に答えた。


「私は主に、周囲の状況を確認する方法や、複数人での動き方、魔物への対処などをお伝えできればと思っています」


「なるほど……」


「ただ、近接戦闘の経験がないわけではありませんので、必要であればそちらもお手伝いします」


 すると、グレンが少し笑った。


「でしたら、一度お手合わせ願えませんか?」


「……私と、ですか?」


「ええ。これから一緒に訓練を見るわけですから、互いの動き方を知っておきたいと思いまして」


 フィオナが少し考える。


 それから、静かに頷いた。


「分かりました。よろしくお願いします」


「こちらこそ」


 ……お?


 これは、ちょっと面白そうだ。


「模擬戦するの?」


「ええ。よろしいでしょうか、殿下」


「もちろん!」


 僕は思わず笑った。


「グレンの戦い方も気になってたんだよね」


 そう言うと、グレンが肩をすくめた。


「期待されるほど大したものではありませんよ」


「またまた。あの時の動き、かなりすごかったじゃん」


「さて、どうでしょうな」


 グレンはそう言って、訓練用の木剣を手に取った。


 フィオナも、同じように木剣を受け取る。


 広場の端にある訓練用の空き地。


 そこで二人が向かい合った。


 周囲の団員たちも、興味深そうに集まってくる。


 僕は少し離れたところへ移動した。


 ……さて。


 どんな戦いになるんだろう。


     ◇


 グレンさんが木剣を構える。


 私はその姿を見て、少しだけ意識を引き締めた。


 特別な構えではない。


 剣先は自然にこちらを向き、膝はわずかに曲げられている。


 肩に力が入っている様子もなく、呼吸も落ち着いていた。


 けれど。


 ……隙がない。


 正面から踏み込めば、間違いなく迎撃される。


 かといって、横へ回り込もうとしても、それを簡単に許してくれそうにはなかった。


 試しに、右へ一歩動く。


 グレンさんも、わずかに足の位置を変えた。


 ただ、それだけ。


 こちらの動きを追いながらも、構えはほとんど崩れていない。


 ……なるほど。


 この方は、戦い慣れている。


 それも、単に多くの相手を倒してきたというだけではない。


 自分が不利にならない位置を、よく理解しているのだ。


「準備はよろしいですか?」


 グレンさんが尋ねる。


「はい」


 私は木剣を握り直した。


 普段使っているのは弓だ。


 近接戦闘では短剣を扱うことも多いため、こうした長さの武器はそれほど得意ではない。


 それでも、戦い方そのものが変わるわけではない。


 間合いを測り。


 相手の動きを読み。


 必要な時に動く。


 基本は同じだ。


「では、始めましょう」


 グレンさんの声に合わせて、互いに構えを取る。


 周囲のざわめきが、少し遠くなった。


 風が草を揺らす。


 足元の乾いた土が、わずかに舞い上がった。


 ……まずは、様子を見ましょう。


 私はゆっくりと距離を詰めた。


 一歩。


 もう一歩。


 木剣の先が届くか届かないか、その境目で足を止める。


 グレンさんは動かない。


 正確には、まったく動いていないわけではなかった。


 こちらの重心に合わせて、ほんの少しだけ体の向きを変えている。


 しかし、それ以上は動かない。


 ……誘いには乗りませんか。


 私は軽く剣先を動かした。


 右肩への牽制。


 反応があれば、その動きに合わせて踏み込むつもりだった。


 けれど。


 グレンさんの木剣は、必要な分だけ動いた。


 こちらの剣先を受けられる位置へ、わずかに傾けただけ。


 大きく払うことも、反撃に出ることもない。


 ……やはり。


 無駄がない。


 今度は、少しだけ踏み込む。


 右から左へ。


 肩を狙うように木剣を振った。


 カンッ!


 乾いた音が響く。


 グレンさんの剣が、こちらの剣を受け止めた。


 その瞬間。


 私は手首を返し、剣筋を変えた。


 今度は脇腹へ。


 しかし。


 カッ!


 再び木剣がぶつかる。


 ……速い。


 いや。


 ただ速いわけではない。


 最初から、次の攻撃を想定していたのだ。


 受け止める位置がいい。


 剣を大きく動かす必要がないから、次の防御にもすぐ移れる。


 私は一度距離を取った。


「……なるほど」


 思わず、小さく呟く。


「何か?」


 グレンさんが尋ねる。


「いえ。とても綺麗な剣の使い方をされると思いまして」


「それはどうも」


 グレンさんが少し笑った。


「ですが、まだ何もしておりませんよ」


「そうですね」


 ……だからこそ、厄介なのです。


 強引に踏み込まない。


 無理な攻撃をしない。


 こちらの動きを見てから、必要な分だけ対応する。


 戦い慣れていない相手なら、どこかで大きな動きをしてしまう。


 だが、この方にはそれがない。


 私は木剣を構え直した。


 ……では、こちらから少し変えてみましょう。


 再び距離を詰める。


 今度は、先ほどよりも速く。


 足を踏み込み、正面から剣を振る。


 カンッ!


 受け止められる。


 そのまま剣を引き、続けて反対側へ。


 カッ!


 また防がれた。


 だが、今度はそこで止めない。


 剣を戻す途中で、さらに一歩踏み込む。


 グレンさんの右側へ回り込むように体を動かし、斜め下から切り上げる。


 しかし。


「……っ」


 グレンさんが半歩、後ろへ下がった。


 こちらの剣先が、わずかに届かない。


 そのまま、今度はグレンさんの木剣が動く。


 上段からの一撃。


 私は剣を持ち上げて受けた。


 カァンッ!


 先ほどよりも強い音が響く。


 腕に、ずしりと衝撃が伝わった。


 ……重い。


 筋力だけではない。


 体重を乗せる位置が正確なのだ。


 無理に振り下ろしているわけではないのに、十分な威力がある。


 私は剣を斜めに傾け、力を逃がした。


 木剣同士が擦れ合う。


 そのまま横へ抜けようとする。


 けれど、グレンさんは追ってこなかった。


 こちらが距離を取ると、自然に構えへ戻る。


 ……深追いもしない。


 普通なら、相手が下がったところを追撃することもある。


 だが、追いかければ自分の間合いが崩れる。


 その危険を、よく理解しているのだろう。


 私はゆっくりと息を吐いた。


 ……これは、簡単にはいきませんね。


 もちろん、負けるつもりはない。


 ただ、正面から何度も攻撃を繰り返したところで、突破できる相手ではなさそうだった。


 少し離れたところから、カイル様の声が聞こえる。


「……すごいなあ」


 何に対しての感想なのかは分からない。


 けれど、今はそちらを見る余裕はなかった。


 グレンさんの剣先が、ゆっくりと動く。


 今度は、向こうから来る。


 私は重心を落とした。


 次の瞬間。


 グレンさんが踏み込んだ。


 速い。


 大きく振りかぶることなく、最短の動きで木剣が迫る。


 私は体をずらし、剣を受け流した。


 しかし、相手の動きは止まらない。


 流された剣を無理に戻すのではなく、そのまま一歩踏み込み、次の攻撃へ繋げてくる。


 カンッ!


 カッ!


 短い間隔で、木剣がぶつかる。


 私は一歩下がる。


 グレンさんが一歩進む。


 さらに攻撃。


 今度は左肩。


 防ぐ。


 続けて右側。


 受け流す。


 そして、正面からの突き。


 ……っ!


 私は体を半身にし、木剣の横を抜けた。


 頬のすぐ横を、木の先端が通り過ぎる。


 もちろん、相手も寸前で力を抑えている。


 だが、狙いは正確だった。


 私は反撃に移ろうとして――やめた。


 グレンさんの剣は、すでに戻り始めていた。


 ここで踏み込めば、迎撃される。


 ……本当に、隙を残しませんね。


 強い。


 そう思った。


 派手な技はない。


 目を見張るような速度でもない。


 それでも、一つひとつの動作が正確だった。


 剣を振る時も。


 防ぐ時も。


 距離を取る時も。


 必ず、次の動きへ繋がる位置に戻っている。


 ……長く生き残ってきた方の剣です。


 私は、かつて見てきた戦士たちを思い出した。


 力任せに武器を振るう者もいた。


 自分の腕に絶対の自信を持ち、危険な距離へ飛び込む者もいた。


 そうした戦い方が、通用することもある。


 けれど。


 長く戦場に立ち続けられるかどうかは、また別の話だった。


 グレンさんの剣には、無理がない。


 倒すことよりも、まず自分が崩れないことを大切にしている。


 ……なるほど。


 私は少しだけ口元を緩めた。


 こういう方と戦うのは、久しぶりかもしれない。


「……どうされました?」


 グレンさんが尋ねる。


「いえ」


 私は木剣を構え直した。


「とても勉強になります」


「それはこちらの台詞ですよ」


 グレンさんも構えを整える。


「弓が専門と聞いていましたが、ここまで動かれるとは思いませんでした」


「近づかれた時に、何もできないわけにはいきませんので」


「なるほど。ごもっともです」


 短いやり取り。


 その間も、互いの視線は外れない。


 ……さて。


 このままでは、決着がつかない。


 グレンさんは、こちらが大きな隙を見せない限り、無理に攻めてこないだろう。


 ならば。


 その隙を、こちらから作るしかない。


 私は一度、深く息を吸った。


 そして、ゆっくりと吐く。


 まずは右側へ踏み込む。


 剣を振る。


 カンッ!


 防がれる。


 そのまま一歩引く。


 グレンさんも、わずかに距離を調整した。


 もう一度。


 今度は左から。


 カッ!


 やはり防がれる。


 再び下がる。


 グレンさんは追ってこない。


 ……やはり、そうですね。


 私は同じような攻撃を、もう一度繰り返した。


 踏み込む。


 剣を合わせる。


 下がる。


 相手は無理に追わない。


 その動きが、少しずつ一定の形になっていく。


 グレンさんは警戒を緩めていない。


 むしろ、こちらが何を狙っているのか探っているのだろう。


 それでも。


 同じ動きが続けば、次に起こることを予測できる。


 そして、経験豊富な人ほど、その予測は正確になる。


 ……あと一度。


 私は再び踏み込んだ。


 今度も、右側から。


 グレンさんが剣を受ける。


 カンッ!


 その瞬間。


 私は、これまでより少しだけ深く後ろへ引いた。


 今までと同じように距離を取り直す動き。


 ただし、今回は半歩だけ大きい。


 グレンさんの目が、わずかに動いた。


 こちらが間合いを外したと判断したのだろう。


 ここまでの攻防で、私が何度も距離を取り直していることは分かっているはずだ。


 そして、今の位置で完全に下がられてしまえば、また最初から探り合いになる。


 だから。


 グレンさんは、一歩だけ踏み込んだ。


 追撃ではない。


 こちらに自由な間合いを与えないための、正確な一歩。


 その判断は、決して間違っていない。


 ……ですが。


 私は、その一歩を待っていた。


 後ろへ下げかけた足を止める。


 同時に、左足を斜め前へ滑らせた。


 グレンさんの正面ではなく、剣を持つ腕の外側へ。


 こちらが退くと思っていた位置へ、逆に踏み込む。


「……!」


 グレンさんが即座に反応した。


 剣先がこちらを追う。


 速い。


 だが、私はすでに木剣を動かしていた。


 相手の剣を、正面から受け止めるのではない。


 斜めに触れさせ、その向きをわずかに外へ逸らす。


 カッ!


 短い音。


 グレンさんの剣先が、ほんの少しだけ外側へ流れた。


 しかし、それだけでは終わらない。


 グレンさんはすぐに手首を返し、こちらの動きに合わせて剣を戻そうとした。


 ……さすがです。


 普通なら、これだけで大きく体勢を崩していただろう。


 だが、グレンさんは違う。


 足の位置も、重心も。


 まだ十分に立て直せる。


 それでも。


 ほんの一瞬だけ、剣を戻す時間が必要だった。


 その一瞬。


 私は体を低くし、さらに半歩踏み込んだ。


 相手の腕の内側へ、木剣を滑り込ませる。


 グレンさんも剣を引く。


 こちらの動きを止めようとする。


 だが。


 ……届く。


 私は剣先を止めた。


 木剣の先端が、グレンさんの左肩に軽く触れていた。


 同時に、相手の剣も私のすぐ横で止まっていた。


 あと少し動きが遅ければ、こちらも打たれていただろう。


 ほんのわずかな差だった。


「……参りました」


 グレンさんが、静かに息を吐く。


 私は木剣を下ろした。


「ありがとうございました」


 互いに一歩下がり、頭を下げる。


 その瞬間。


 周囲から大きな歓声が上がった。


「おおおっ!」


「すげえ……!」


「今の、どうなったんだ?」


「最後、一瞬で距離が詰まったぞ!」


 団員たちが口々に声を上げる。


 私は少し驚いてしまった。


 そういえば、周りで見られていたのだった。


「いやあ……見事ですな」


 グレンさんが、木剣を肩から下ろしながら言った。


「最後の動き、完全にしてやられました」


「いえ。こちらも簡単には踏み込めませんでした」


「そうでしょうか?」


「はい」


 私は素直に答えた。


「グレンさんは、ほとんど隙を見せてくださいませんでしたから」


 グレンさんが少し目を丸くする。


「……ほう」


「無理に攻めず、常に次の動きへ繋がる位置を保っていらっしゃいました。とても勉強になる戦い方でした」


 それは本心だった。


 特別な魔法を使わずとも。


 圧倒的な力を持たずとも。


 正しい判断を積み重ねることで、ここまで安定した戦いができる。


 町を守る人たちにとって、これほど良い手本はないだろう。


「……そう言っていただけるとは、ありがたいですな」


 グレンさんは少し照れたように笑った。


「ですが、最後は見事に崩されました」


「無理に崩しただけです。あの一歩がなければ、もう少し時間がかかっていたと思います」


「なるほど……」


 グレンさんが考え込む。


 それから、何かに気づいたように顔を上げた。


「……あの後退は、わざとですか?」


「はい」


「やはり」


 グレンさんが苦笑する。


「何度も同じように下がられたので、次も間合いを取り直すものだと思っていました」


「そう思っていただければと」


「いやはや。見事に誘われましたな」


 けれど、その表情に悔しさはあまり見えなかった。


 むしろ、どこか楽しそうだった。


「しかし……」


 グレンさんが、もう一度こちらを見る。


「殿下があなたに訓練を任せようとされた理由が、よく分かりました」


「……そうでしょうか」


「ええ。こちらも、色々教わることになりそうです」


 そう言って、手を差し出してくる。


 私は一瞬だけ、その手を見た。


 剣を握ってきた、硬い手。


 けれど、そこにあるのは命令でも、強制でもない。


 対等な立場で、互いの経験を認め合おうとする意思だった。


 ……不思議ですね。


 ほんの少しだけ、胸の奥が温かくなる。


「こちらこそ、よろしくお願いいたします」


 私は、その手を握り返した。


     ◇


「いやあ、すごかった!」


 模擬戦が終わると、カイル様が嬉しそうに近づいてきた。


「フィオナもグレンも、めちゃくちゃ強いじゃん!」


「ありがとうございます」


「特に最後! あれ、どうやったの?」


「相手の動きを誘ったんです」


「誘った?」


「はい。何度か同じ動きを繰り返して、次も同じように動くと思っていただきました」


「へえ……」


 カイル様が感心したように頷く。


「僕だったら、絶対引っかかるなあ」


「殿下の場合は、最初から別の戦い方をされるでしょう」


 グレンさんが言う。


「え、そう?」


「魔法がお得意だと伺っていますから」


「ああ、まあね。でも今日は二人とも魔法なしだったでしょ?」


「ええ」


「それであんなに動けるの、やっぱりすごいと思うよ」


 カイル様はそう言って、笑った。


 その言葉に、少しだけ嬉しくなる。


 けれど。


 今はまだ、これからだった。


「カイル様」


「うん?」


「そろそろ、皆さんの訓練を始めてもよろしいでしょうか」


「あ、そうだった!」


 カイル様が団員たちを見る。


「みんな、すっかり見入ってたもんね」


 確かに、団員たちはまだ先ほどの模擬戦について話していた。


 中には、木剣を持って動きを真似している人もいる。


 ……少しだけ、責任を感じますね。


 これから、あの方たちに教えるのだ。


 私はもう一度、気持ちを引き締めた。


     ◇


 最初に行ったのは、二人一組での移動だった。


 グレンさんが団員たちを二人ずつに分け、簡単な説明をする。


「まず、相手の位置を確認しながら動いてみろ」


 指示に従い、団員たちが歩き始める。


 しかし。


 すぐに問題が見つかった。


「おい、離れすぎだ!」


「あ、すみません!」


「前ばかり見るな。後ろも確認しろ!」


 前に進むことに集中しすぎて、相手との距離が開いてしまう。


 片方が止まっても、もう片方が気づかずに歩き続けてしまう。


 狩人や元傭兵の方は比較的落ち着いているけれど、経験のない方はなかなか難しそうだった。


「……なるほど」


 私は少し考える。


 こうして見ていると、普段は意識せずにやっていることも、言葉で説明するのは難しい。


「皆さん、一度止まっていただけますか」


 声を掛けると、団員たちがこちらを見る。


「今の動きで、一つ気になったことがあります」


 私は、前に立っていた若い男性に尋ねた。


「先ほど、隣の方が止まったことには気づいていましたか?」


「……いえ」


「そうですよね」


 私は頷いた。


「ですが、相手の方も前を見ていたので、声を掛けられませんでした」


「……あ」


「二人で動く時は、自分が何を見ているかだけでなく、相手が何を見ているかも考えてみてください」


 若者が少し考える。


「……じゃあ、片方が前を見て、もう片方が周りを見る感じですか?」


「はい。もちろん、状況によって変わりますが、その考え方で良いと思います」


「分かりました!」


 若者が頷く。


 私は少しだけ安心した。


 ……伝わったようですね。


 それから、もう一度同じ訓練を行う。


 今度は、少しだけ動きが良くなっていた。


     ◇


 次に行ったのは、町の中で騒ぎが起きた時の対応だった。


 訓練場に荷車や木箱を並べ、簡単な市場を再現する。


 数人には住民役をお願いし、別の一人には荷物を盗んで逃げる役をしてもらった。


 もちろん、本物の武器は使わない。


 グレンさんが説明する。


「状況は、商人の荷物を盗んだ男が逃げようとしているところだ。お前たちは、できるだけ安全に対応してみろ」


 団員たちが頷いた。


「では、始め!」


 合図とともに、犯人役の男性が走り出す。


「待て!」


 若い団員が追いかけた。


 もう一人も、それに続く。


 しかし。


「……そこまでです」


 私は声を掛けた。


 二人が足を止める。


「何か問題がありましたか?」


 一人が尋ねた。


「はい」


 私は、犯人役が向かっていた方向を指差した。


「あちらには、何がありましたか?」


「……荷車です」


「その隣には?」


 若者が振り返る。


 荷車の陰には、住民役の女性が立っていた。


「……人がいました」


「はい」


 私は頷く。


「皆さん、逃げる相手ばかり見ていました」


 団員たちが静かになる。


「もし、あの方が慌てて逃げようとしていたらどうなっていたでしょうか」


「……ぶつかったかもしれません」


「そうですね」


 私は少しだけ考えてから続けた。


「犯人を捕まえることは大切です。ですが、それだけが目的ではありません」


 全員の顔を見る。


「敵を倒すことと、町を守ることは同じではありません」


 静かな風が吹いた。


 団員たちは、真剣な表情で話を聞いている。


「皆さんが守ろうとしているのは、ここで暮らしている人たちです。ですから、相手を追いかける前に、周囲の安全も確認してください」


「……でも」


 若者が少し困ったように口を開いた。


「それだと、逃げられてしまいませんか?」


「そうかもしれません」


 私は答える。


「ですが、無理に追いかけて誰かが怪我をしてしまったら、どうでしょうか」


「……」


「必ず、その場で捕まえなければならないわけではありません。相手の特徴や逃げた方向を確認して、仲間へ知らせる方法もあります」


 グレンさんが頷いた。


「その通りだ。だからこそ、一人で動くなと言ったんだ」


 若者が、少し考え込む。


 そして。


「……分かりました」


 ゆっくりと頷いた。


「次は、周りの人の安全も確認してから動いてみます」


 その言葉を聞いた時。


 私は、少しだけ不思議な気持ちになった。


 ……そうですか。


 伝わったのですね。


 自分にとっては、当たり前に考えていたことだった。


 けれど、それを言葉にして伝えれば、誰かが理解してくれる。


 そして、その人が次に動く時の判断に繋がっていく。


 ……何だか、嬉しいですね。


 私は自然と、口元を緩めていた。


「では、もう一度やってみましょう」


「はい!」


 返事が揃う。


 今度は、最初から周囲を確認して動く人が増えていた。


 犯人役が走り出すと、一人が住民役の前へ移動する。


 別の団員は、逃げた方向を確認してグレンさんへ報告した。


 まだ動きはぎこちない。


 連携も、決して完璧ではない。


 それでも。


 最初より、確実に良くなっていた。


     ◇


 訓練は、それから何日か続いた。


 グレンさんは、剣や盾の扱い方と集団行動を中心に教えている。


 私は、森での警戒や、周囲の変化に気づくための訓練を担当した。


 森の中では、相手の姿が見えなくても、音や足跡から気づけることがある。


 ただし、それだけに頼ってはいけない。


 風向きが変われば音の届き方も変わるし、雨が降れば足跡も分かりにくくなる。


 そうしたことを、実際に森の近くを歩きながら説明した。


 最初は戸惑っていた団員たちも、少しずつ慣れていった。


「……あ、あそこに何かいます!」


 狩人の男性が、木々の間を指差す。


「よく気づきましたね」


「ありがとうございます!」


「ですが、まだ近づかないでください。何がいるか分かりませんから」


「はい!」


 別の日には、複数人で警戒する時の合図を考えた。


 大きな声を出すと相手に気づかれることもある。


 だから、手の動きや簡単な合図で意思を伝える練習もした。


 もちろん、すべてをすぐに覚えられるわけではない。


 間違えることもある。


 同じ説明を何度もしなければならないこともあった。


 それでも。


 不思議と、嫌ではなかった。


 むしろ。


 昨日できなかったことが、今日はできるようになっている。


 最初は何も分からなかった人が、自分で考えて動けるようになっている。


 その姿を見るたびに、少し嬉しくなる。


 ……人に教えるというのは、こういうことなのですね。


 自分にとっては当たり前だったことも、言葉にして伝えるのは難しい。


 相手が理解できなければ、別の説明を考えなければならない。


 時には、自分自身も考え直す必要がある。


 けれど。


 そうして伝えたことが、誰かの中に残っていく。


 それは、今まであまり感じたことのない喜びだった。


 私は自分の手を見る。


 長い間、戦うために使ってきた手。


 生き残るために弓を引き、武器を握ってきた。


 けれど、今は。


 その経験を、誰かに伝えている。


 命じられたからではない。


 ただ、自分がそうしたいと思ったから。


 ……少し、不思議ですね。


 私は静かに息を吐いた。


 そして、訓練を続ける団員たちへ視線を戻した。


「では、次は少し難しくしてみましょうか」


「はい!」


 元気な返事が返ってくる。


 その声を聞いて、私はまた少しだけ口元を緩めた。


     ◇


 自警団が最初の見回りを始めたのは、それから数日後のことだった。


 もっとも、まだ全員が十分に訓練を終えたわけではない。


 だから当面は、グレンが経験者を中心に組を作り、少しずつ巡回へ出ることになった。


 危険な場所へ無理に踏み込むことはしない。


 何か問題があれば、まず報告する。


 町の見回りも、今まで夜番を担当していた人たちと協力しながら進めていく。


 僕も、領地の予算から必要な給金や装備を用意することにした。


 といっても、最初から立派な鎧や武器を全員分揃えるのは難しい。


 だから、まずは最低限のものから。


 訓練用の木剣。


 簡単な防具。


 夜間の見回りに使う灯り。


 それから、何かあった時に連絡するための笛。


 詰所も、今は町の空き家を一つ借りただけだ。


 ……うん。


 まだまだ騎士団って感じじゃない。


「……なんか、思ってたより地味だね」


「そうでしょうか?」


 隣のフィオナが尋ねる。


「いや、悪い意味じゃないんだけどさ」


 僕は、通りの向こうを見る。


 グレンを先頭に、三人の団員が歩いていた。


 装備はまだ統一されていない。


 立派な鎧もないし、剣だって使い込まれたものだ。


 でも。


 彼らは周囲を確認しながら、落ち着いた足取りで歩いている。


「もっとこう、騎士団っていうと格好いい鎧とか、揃った隊列とかを想像してたんだよね」


「まだ始まったばかりですから」


「そうだね」


 その時。


 通りの先で、一台の荷馬車が立ち止まった。


 どうやら、荷物を降ろそうとしているらしい。


 しかし、その場所では通行の邪魔になってしまう。


「あ」


 僕が声を出すより早く、グレンたちが動いた。


 近くへ歩いていき、商人へ何かを説明している。


 商人は少し困ったような顔をしたけれど、すぐに頷いた。


 団員の一人が、荷車を止められる場所まで案内する。


 別の団員は、周囲の人たちが通れるように道を空けていた。


「……あれ」


「どうされました?」


「この前の荷馬車の騒ぎ、覚えてる?」


「はい」


「なんか、同じようなことになりそうだったのに」


 今回は、誰も怒鳴っていない。


 喧嘩にもなっていない。


 ただ、グレンたちが間に入って、荷馬車を移動させただけだ。


「……こういうのが仕事なんだね」


「そうですね」


 フィオナが頷く。


「大きな事件が起きる前に、問題を解決することも大切ですから」


「うん。確かにそうだ」


 少しして、グレンたちがこちらへ戻ってきた。


「殿下」


「お疲れさま、グレン」


「ありがとうございます」


「さっきの対応、よかったね」


「大したことではありませんよ」


 グレンが笑う。


「荷物を降ろす場所が分からなかっただけのようですから、案内しただけです」


「でも、前はああいうので喧嘩になってたんだよね」


「そうでしたな」


「だから、ちゃんと意味があると思うよ」


 グレンは少しだけ目を細めた。


「……そう言っていただけるなら、ありがたいです」


 その時、近くの店主が声を掛けてきた。


「おう、グレン! 今日から見回りか?」


「ああ。まだ始まったばかりだがな」


「頼りにしてるぞ!」


「何かあったら知らせてくれ」


「おう!」


 店主が笑って手を振る。


 グレンも軽く手を上げて応えた。


 その様子を見て、僕は少し嬉しくなった。


 ……いいなあ、こういうの。


 立派な騎士団じゃなくても。


 町の人たちが、安心して声を掛けられる相手がいる。


 それだけでも、随分と違う気がする。


     ◇


 夕方。


 僕とフィオナは、市場を抜けて屋敷へ戻る途中だった。


 空には薄い雲が広がり、その隙間から差し込む夕陽が町の屋根を柔らかく照らしていた。


 市場では店じまいを始める人もいるけれど、食堂の方からはまだ人の声が聞こえてくる。


 遠くでは、加工場から帰る人たちが連れ立って歩いていた。


「……なんか、少しずつ変わってきたね」


「そうですね」


「最初は茶を売りたいってだけだったのにさ」


 僕は通りを見渡す。


 茶を育てる畑ができて。


 加工場ができて。


 木工職人たちの仕事が増えて。


 食堂では、新しい茶や菓子を出すようになった。


 そして今度は。


 町を守る人たちまで生まれた。


「……本当に、色々増えたなあ」


「はい」


 フィオナが静かに頷く。


 その横顔は、どこか穏やかだった。


「そういえば、フィオナ」


「はい」


「訓練の方はどうだった?」


 フィオナがこちらを見る。


「どう、とは?」


「いや、教えるの初めてだったでしょ? 結構大変だったんじゃないかなって」


「ああ……」


 フィオナが少し考える。


「そうですね。人に教えるというのは、思っていたより難しいものでした」


「やっぱり?」


「はい。自分では自然にできることでも、言葉にして伝えようとすると、なかなかうまく説明できなくて」


「なるほどねえ」


「ですが、皆さん真剣に取り組んでくださいました」


「うん。見てても分かったよ」


 僕は笑う。


「最初より、みんなかなり動けるようになってたよね」


「そうですね」


「フィオナの教え方、分かりやすかったんじゃない?」


「……そうでしょうか」


「うん。少なくとも、僕は聞いてて結構勉強になったよ」


「ありがとうございます」


 フィオナが少しだけ口元を緩めた。


「それでさ」


「はい」


「フィオナ自身はどうだった? 教えるの」


 そう尋ねると、フィオナは少し驚いたような顔をした。


「……私、ですか?」


「うん」


 僕は頷く。


「みんなの役に立ったのは分かってるけど、フィオナがどう感じたのかなって」


 フィオナは、しばらく考えていた。


 少しだけ視線を落とし、それから通りの向こうを見る。


 仕事を終えた人たちが、笑いながら歩いている。


 その中には、今日訓練に参加していた若い団員の姿もあった。


 フィオナは、その姿を少しの間眺めていた。


 そして。


「……そうですね」


 ゆっくりと口を開く。


「思っていたより、楽しかったです」


「そっか」


「はい」


 その声は、少しだけ嬉しそうだった。


「最初は、うまく教えられるか不安だったのですが……」


「うん」


「皆さんが少しずつできるようになっていくのを見ると、私も嬉しくなりました」


「いいね、それ」


 僕がそう言うと、フィオナはこちらを見る。


「それに……」


「ん?」


 フィオナは少しだけ言葉を探すように間を置いた。


 そして、静かに続けた。


「また、教えてみたいと思います」


 ……あ。


 なんだか、嬉しくなった。


「うん!」


 僕は笑う。


「それなら、またお願いしようかな」


「はい」


「でも、無理はしないでね。グレンもいるんだし、全部フィオナがやらなくても大丈夫だから」


「分かっています」


 フィオナが頷く。


「私も、できる範囲で続けていきたいと思います」


「そっか。それならよかった」


 以前のフィオナなら、どう答えていただろう。


 きっと、頼まれたからには頑張らなければと思っていた気がする。


 でも、今は。


 自分が楽しかったから。


 またやってみたいと思ったから。


 そう言ってくれた。


 たぶん、それは小さな違いなんだろう。


 でも、僕にはとても大きなことのように感じられた。


「……ねえ、フィオナ」


「はい」


「こういうの、もっと増えるといいね」


「……こういうの、ですか?」


「うん。フィオナが自分からやってみたいって思えること」


 フィオナが少し目を見開く。


 それから、ゆっくりと表情を和らげた。


「……そうですね」


 その返事は、とても静かだった。


 でも。


 どこか、以前よりも柔らかく聞こえた。


     ◇


 屋敷へ続く坂道を上がりながら、僕はもう一度町を振り返った。


 夕暮れの通りには、まだ多くの人が行き交っている。


 市場からは商人たちの声。


 食堂からは、楽しそうな笑い声。


 工房からは、木材を叩く槌の音。


 そして。


 その中を、グレンたちが歩いていた。


 まだ制服もない。


 装備も揃っていない。


 人数だって、たった十二人だ。


 立派な騎士団には、ほど遠い。


 それでも。


 彼らは町の様子を確認しながら、ゆっくりと通りを進んでいる。


 近くの店主が声を掛け、団員の一人が笑って応えた。


 その光景を見ていると、何だか安心する。


 今までは、何か問題が起きた時に誰かが動いていた。


 でも、これからは。


 問題が起きる前に、町を見守る人たちがいる。


 誰かが安心して買い物をして。


 仕事を終えて、家へ帰って。


 家族と食事をして。


 また明日を迎える。


 そんな、当たり前の毎日を守るための仕事だ。


「……いい町になってきたね」


 思わず呟く。


 隣のフィオナが、町を見下ろした。


「はい」


 夕陽が、彼女の銀色の髪を淡く照らす。


「私も、そう思います」


 その声を聞きながら、僕はもう一度町を眺めた。


 新しい仕事が生まれれば、そこに人が集まる。


 人が集まれば、町は賑やかになる。


 そして、その賑わいを守るために、また新しい仕事が生まれる。


 ほんの少し前まで、静かだった辺境の町。


 今では、そこに色々な人たちの暮らしがある。


 それぞれが、自分の仕事を見つけて。


 自分の役割を持って。


 少しずつ、町を支えるようになっている。


 その中に。


 今日、新しい守り手たちが加わった。


 まだ小さな自警団。


 けれど、その一歩は。


 きっと、この町にとって大きな意味を持つものになるんだろう。

ここまで、2章の上編(とでも言うのかな)です。

ここら辺で1/3の想定です。

次話から2章の中編(勝手に呼んでるだけ)です。

長くなってしまいそうですが、お付き合いください。

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