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帝都攻略戦1

プランのおさらい

 プランA

 ・外壁の塔にあると思われる魔素吸収装置を飛行船のゴンドラからバリスタと俺の圧縮魔法で撃ち崩す。

 ・敵が空飛ぶ兵器を持っていた場合は、風の精霊である俺が空を飛んで対処する。


 プランB

 ・プランA後、相手に対空戦力がなかった場合、軍事拠点をバリスタと俺の圧縮魔法で攻撃をする。

 ・蠍の兵器が出てきた場合、数によっては殲滅、若しくは戦力の低下を狙う。


 プランC

 ・プランB後、相手にこちらに反撃する手立てがないと判断した場合、飛行船を軍事拠点に向けて移動させ、気球を大爆発させて軍事拠点と周りにいるであろう蠍の兵器を吹き飛ばす。確実に破壊出来なくてもかなりの時間が稼げるはずだ。

 ・実行前には、ピクシー達が作ってくれたパラシュートで乗組員は事前に脱出させる。空が飛べ、ガスを操作することが出来る俺が後まで最後まで残れば気球の爆発も簡単だ。

 街に近づくにつれ、カンカンカンと鳴り響く鐘の音がどんどんと大きくなってくる。お互いが敵を認識しているので戦いはもう始まっているのだ。


 城壁の上に兵士達が弓やボウガンを持って、集まっているのが見える。まさか、あれしか対空装備がないのだろうか?正直、予想していた装備より遥かに劣っている。


 蠍の兵器を作る技術があるならバリスタや投石機くらいはあると思っていたのに…。


「ソラ。あちらさん、あの装備で迎え撃つつもりか?てっきり蠍が出てくると思っていたんだが、拍子抜けもいいところだ」


「多分、様子見じゃないかな?流石にあれだけじゃないと思う。こっちは魔素を吸収している塔を遠巻きに壊していこうか。ガイアス、十分な距離を取りながら右回りに街を迂回してくれ。俺もバリスタと一緒に矢を撃ちこんでくる」


 城下町には、中心にある軍事拠点を始点に、外周の城壁に等間隔で魔素を吸収する装置が設置されている塔が十基配置されていた。


 山の崖にある城や館の周りにも似たような塔が等間隔で設置されているのだが、その塔からは魔素を吸収している様子がない。別の用途があるのだろう。今は無視しておく。


 俺は地下一階に降り、右側の中央の部屋へ移動して、右手に矢を装填していく。あとは空気を圧縮して解き放てばいいだけだ。


「皆、バリスタに矢の装填は終わったか?合図したら一番近くにある塔に向かって一斉射撃を行う。狙うは塔の天辺にある魔素を吸収する装置だ!」


「準備完了!」


「よし、撃て!!」


 俺の合図と同時にバシュンという音が立て続けに響き渡り、塔の天辺に十一本の矢が襲い掛かる。


 ガンガンと金属と金属のぶつかり合う音が響く。しかし、塔の天辺はヒビだらけになったが、まだ壊しきれていない。あと何回必要になるか最初の塔で矢の消費量が分かりそうだ。


 こちらの目的が分かったのか、敵側からも弓矢の攻撃が飛んできた。でも悲しいかな。向かい風なのもあるだろうけど、五分の一の距離も届いていない。


 流石に相手も意味がないのが分かったのだろう。一目散に軍事拠点に戻っていく。次は何が出てくるのやら、この調子だと飛行能力のある兵器はなさそうだ。それはそれで助かる。


 今のうちに塔をどんどん攻めていこう!


「再装填急げ!もう一回同じ塔を総攻撃するぞ!」


「おう!準備完了!」


「よし、撃て!!」


 先ほどと同じ要領で塔の天辺を総攻撃する。


 すると、塔の天辺が折れ、ガラガラと大きな音を立てながら、魔素を吸収する装置と共に街中へ落ちていった。


 やった!塔一つに二十二発で壊せた。この感じなら片側の矢だけで塔は全部破壊できそうだ。


 右回りに街を迂回しながら、順番に次々と塔を攻略していく。矢が逸れて街に落ちることもあったが、相手の被害なんて考えていられない。キャーキャーと街中から叫び声が聞こえるが出来るだけ聞こえないふりをするしかなかった。


 塔を半分壊した頃、街の住人もこちらの目標に気づいたらしく、手に持てるだけの荷物を抱えた人達が街中に溢れてきた。


 山の方角を北とするなら、大きな門のある南門と西門に集中して逃げている。街道も整備されているのが目に見えて分かるのだから、その方角に大きな街があるのだろう。


 ちらほら馬車も見えるが、圧倒的に数が足りないし、重量オーバーだ。乗り込もうとしている住人を蹴落としているのが見える。


 俺達の来た東側は小さい門しかないし、通ってきたときには小さい村しか確認できなかった。誰も東門から逃げようとしていない。


 予想以上に人がいるな。この街では流行り病が発生しなかったのだろうか?そんな疑問が横切るが、今考えていても仕方ない。気持ちを切り替えて、引き続き、塔の攻略に専念する。


 残りの塔が僅かというところまで行ったというのに、敵の反撃どころか、反応すらない。防衛戦に慣れていないのか、はたまた指揮を執るものが無能なのか。


 正直、ここまで反撃されないとは思ってもみなかった。ガイアスや他のドワーフからも「物足りない、こちらの準備が整い過ぎたか?」とため息交じりに聞こえてくる。


 そして最後の塔を攻略し終わると、軍事拠点から蠍の兵器が出てき始めた。ざっと見ても五十体くらいいる。かなりの数だ。


 今度の蠍は鋏と盾の二種類だ。尻尾はなく、背中に砲台のような武器を背負っている。


 尻尾の蠍を含めると全部で三種類の蠍があるってことかな?尻尾付きのは出しても意味がないのだろう。一体も見かけない。


「やっと、蠍が出てきたな。ソラ、どうする?プランBにでも移行するか?」


「あぁ、プランBへ移行する。俺が蠍にどれだけダメージを与えるか試してみるから、他の人達は軍事拠点に向かって撃ちこんでくれ。狙いは出来るだけ広範囲で構わない」


「おう!任せとけ!」


 森での教訓からか、蠍達は鋏と盾でガッチリとコクピットを守っている。あれで狙いが定められるのだろうか…。


 俺はまず、鋏で守っている蠍から攻撃を仕掛けてみる。


 バシュンと音と共に矢が鋏に向かって飛んでいく。ガキーンっと音が響くと共に鋏と矢が砕け散った。


 相手は慌てふためいて、残った鋏でコクピットを守ろうと必死になっている。


 鋏と矢は同じくらいの強度か、そう思っていると、他の蠍からの砲撃が飛んできた。どうやら、弾は魔力の塊で実弾ではないみたいだ。


 放物線を描きながら、飛行船の遥か下を通過し、街の外へと着弾していった。


 俺は反対側の部屋から着弾地点を確認すると、地面に小さな凹みとヒビが出来ているのが見えた。投石器並みの飛距離と威力はあるみたいだが、飛行船に届かないんじゃ意味がない。


 これは一方的な攻撃になりそうだ。矢の消費に伴って飛行船が軽くなるにつれ、高度が上がっているのだ。角度を調整しても蠍の攻撃は届きそうにない。


 まあ、先に仕掛けてきたのはそっちだから、自業自得だ。自分達の正当性を心の中で訴えながら、攻撃を続行する。


 次は盾を持っている蠍だ。盾に向かって矢を放ってみる。


 ガンっと重厚感の音がして矢が盾に刺さった。硬っ、盾をバリスタや俺の圧縮魔法で攻略するには全然矢が足りない。


 これで蠍に攻撃するのはやめにしよう。矢が勿体無い。


 あと気になったのは城と館がある場所か、試しに矢を一発適当な場所に向けて撃ってみる。


 すると、カンっと乾いた音がして空中で矢が弾かれた。


 魔力感知で観察してみると、塔から魔力障壁のようなものが張られ、城と館を覆っていた。あちら側にある塔の役割は魔力の障壁だったようだ。


 いつ魔力が切れるか分からないし、魔力の結界があると分かっただけで良しとしよう。


「お~い。こちら側の矢が尽きたぞ!旋回して軍事拠点を左回りに迂回するぞ!」


「分かった!俺もそちら側に移動する。蠍は無視していい。残りは軍事拠点に全部撃ち込もう!」


 俺は旋回している間に、余っている矢を反対側に持っていく。途中で見えた軍事拠点の西側は矢がたくさん撃ち込まれていて、ハリネズミのようになっていた。

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