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ゴンドラと気球を合体させよう

 臭くなくなったマリンとノアをどうしようか迷っていたところ、ガイアスが「少しの間、貸してくれないか?」とお願いをしてきた。


 そういえば、周りの職人達を見ると、鬼気迫る形相で黙々とゴンドラ造りに勤しんでいる。何かあったのだろうか?


「別にマリンとノアが良いならいいけど、何かあったのか?職人達のやる気が凄い気がするんだが…」


「ん?あぁ、そろそろ酒場の出禁が解除されてもいいんだが、ミカにな…。ついでだから飛行船が完成するまでお預けにして、完成祝いに解禁してやると言われてしまったんだ。それを聞いた男達が忙しなく働いているところだ」


 顎を撫でながら遠目で酒場の方へ視線を向けている。


 いや、ミカの言う通りだと俺は思う。今酒場を解禁にすると反動で酒が進み、飛行船の完成が遠のく気がする。ミカはそれを見越しているのだろう。


 年は分からないが何十年、下手をすれば数百年の付き合いだろうからな。


「そういうことか…。マリン、ノア、ガイアス達のお手伝い頼めるかな?」


「パパー、良いよ~、お手伝いも面白そ~」


「パパ?ガッハッハ!ソラがパパ呼ばわりか、精霊にも親代わりがいるとは驚いた。悪いようにはしない。ソラ、そろそろ女性陣達にこき使われる時間だろう?さっさと行ってこい」


 ガイアスの高笑いは止まらない。相当ツボに入ったらしい。同じ属性ならともかく、別の属性の精霊だから親子や兄弟関係みたいなものは変なんだろうけど、それでも笑い過ぎだと思う。


 もやもやした気持ちを抱きながら、俺は洗濯場へと向かった。


 洗濯場には既に俺待ちの行列が出来ていた。女性陣に必要とされているのは嬉しいのだが、洗濯係である。どうせなら少しくらいはちやほやされたいものだ。


 日課の洗濯に励み、終わったら酒場へ向かう。リンの様子が気になるのだ。


 酒場に着くと、ミカとマシロの姿は見えるが、リンの姿はどこにもなかった…。


「ソラ、おかえり。リンお姉ちゃんなら元気になったから滑走路のところに向かったよ?朝にはもう元気で昼食まで休ませるの本当に大変だったんだから…」


 マシロは食器の片付けをしながら、はぁ~と盛大な溜息を吐いている。どうやら、一晩で回復したようでなによりだ。マシロは大変だったみたいだけど、お疲れ様です。


「あぁ、ミカ。男性陣の酒場解禁を伸ばしてくれてありがとう。予想より早く飛行船が出来そうだよ!」


「なに、良いってことさ。解禁したときの反動は十分理解しているからね。次の日は使い物にならないし、その後も毎日のように酒場に入り浸るし、数日は女性達が大変な思いをするんだ。だから解禁したらどうなるか事前に知っておいてもらった方がいいと思ったんだ。」


 どうやら、酒場が解禁されるとどうなるか、俺達に事前に知ってもらうために解禁を伸ばしたらしい。確かに、既に解禁されていたら職人達が使い物にならなくて飛行船造りどころではない。


「ありがとう、ミカ。っていうことは飛行船が完成したら数日は男性陣は使い物にならないってことだね。事前に把握できて助かったよ」


 俺はミカにお礼を述べると、リンを探しに滑走路へ向かうことにした。


 滑走路へ近づくにつれ、リンのはしゃいでいる声が段々と大きくなってくるのが聞こえてくる。何をしているのだろうか?不安が心の底から込み上げてくる。


「あははは~、面白い~。マリンとノアってこういうことも出来るのね~♪」


 そこには木材を運んでいるマリンとノアの背中を滑り台の様にして滑るリンがいた。運んでいる時のマリンとノアの背中は確かにスロープの様になっているけど、それを使って遊ぶか普通?お手伝いしている最中なのが見えないのだろうか…。


「リン、元気になったのはいいけど、流石に周りの空気が読めてなさすぎじゃないのか?皆一生懸命に働いている姿が見えないのか?」


「あー、ソラだ!昨日はありがとね、凄く助かったわ!私の出来ることがなくなったからしょうがないじゃない。だったら少し遊んでても問題ないでしょ!」


 頬を膨らませて、ぶーぶーと文句を言ってくる。どういうことだろうか?


 ガイアス達が忙しそうなのでリンから簡潔に聞いてみたところ、外装は残り翼部分だけで残りは内装だけらしい。そして地下二階構造で二階には休憩室とトイレを、一階にはバリスタを設置するみたいだ。


 そして地下二階部分は手伝える部分があったが、完成すると残りは地下一階のバリスタの組み立てと設置である。バリスタが終わらなければ屋根や壁が張れないので、リンに手伝えることがなくなったんだそうだ。


「じゃあ、リンは俺の手伝いをするか?気球の方は職人達じゃなくても手伝えるからな!」


「やるやる~、何すればいいの?」


 俺はリンを連れて、気球の置いてある場所まで移動した。


 気球を確認すると、ゴンドラと気球を繋ぐロープがまだ巻いてないのだ。ロープを通すループが一定間隔で配置されていて、そこにロープを通して、地面にぺグを指して浮いても飛んでいかない様に仮止めしないといけない。


「ここにループっていう輪っかが見えるだろ?ここにロープを通していって欲しいんだ。そして地面にぺグを指してロープを巻き付けて気球が多少浮いても飛んでいかない様にする。分かったか?」


「なにそれ、簡単ですぐ終わっちゃうじゃない!もう少しやりごたえのある仕事が欲しいわ!」


 簡単すぎると文句を言ってくるリンをどうしたら動かせるだろうか…。少し昨日のことを思い出させるか。


「これが終わったら、気球が膨らむまで樹脂を剥がすためにリンが樹属性魔法を使うことになるんだが、それでも足りないかな?ガイアス達はゴンドラに忙しくて手伝ってくれないぞ?」


 樹属性魔法をたくさん使うぞと脅すと、リンがぴくっと一瞬動揺した。少しは効いてくれるといいが…。


「仕方ないわね、手伝ってあげるわ!さっさと終わらせてやるんだから!」


 リンが前方の方からループにロープを通し、地面に刺したペグにロープを巻き付けていく。どうやら効果抜群だったらしい。俺は苦笑しつつ、後方から作業をしていく。


 二人で行ったせいか、作業は直ぐに終わった。後はマリンとノアを返してもらって、ガスを注入していくだけだ。


 俺はリンを残して、ゴンドラの進捗を確かめに向かった。まだまだ、バリスタの搬入途中のようで、マリンとノアは引っ張りだこだ。


「ガイアス、そろそろマリンとノアを返して欲しいだけど、大丈夫かな?まだまだ使いたい感じか?」


 ガイアスは顎を撫でながら、むぅと少し考え事をしてから口を開いた。


「バリスタの部品の搬入を急がせたので、組み立てと設置がまだまだ進んでいないんだ。今からそっちに移行すれば問題なかろう。マリンとノア、助かったぞ!ありがとうな!」


 バシバシとマリンとノアの体を叩いた後、ガイアスはゴンドラの中へと入っていった。今からバリスタの組み立てを行うぞと指示を出している声が聞こえてきた。


 俺はマリンとノアを連れてリンが待っている気球へ戻ると、リンが気球を布団代わりにして寝ていた。この自由人め!


「マリンとノア。悪いんだけど、今からガスを取りに何回か往復してくれないか?気球を膨らませる時にでもリンは起こせばいいから…」


「分かった~。パパ~行ってくるね~」


 マリンとノアは物凄い勢いで森の中へと向かっていく。あの形に慣れたのか俺が乗っていた時よりも全然早い。直ぐにでも戻ってきそうだ。


 その間は仕方なく俺はリンの寝姿を見守ることにした。天使みたいな可愛い寝顔をしている。顔も整っているし、胸も少し膨らみかけていてスタイルも良い。言動と行動で全部台無しにしているのが残念だ。


 日はまだ高くて明るいのに良く寝れるものだなと感心していると、マリンとノアが丸々と太った状態で帰ってきた。臭さはどうなのだろうか?リンを起こして確認してみるか。


 俺はリンの肩を軽く揺さぶってリンを優しく起こしてあげる。


「リン、マリンとノアが戻ってきたぞ。起きろ!」


「ソラ…。おはよう…、うわ!マリンとノアがぶくぶくに膨れてる~なにそれ~可愛い~」


 リンが飛び起き、膨れて太くなったマリンとノアに抱き付いていく。どうやら臭くは無いみたいだ。抱き付く力を弱めたり強くしたりしてマリンとノアの体をボヨンボヨンとさせている。


「リン、あまり臭くないのか?俺達は嗅覚がないから分からないんだが…」


「うーん、少し変な匂いがするけど、そこまで臭くはないと思うよ?それってどんな匂いなの?」


「マリンとノア、少しガスをリンに向けて吐いてみてくれないか?」


 マリンとノアがハァ~とガスをリンに向けて吐くと、リンが後ろに飛び跳ね、距離を取った。


「くさ~い!これがその匂いなのね。吐くかと思ったわ!もうそんな匂いを嗅がせないでよね!」


 頬を膨らませて、ぷんぷんと怒っている。ガスは臭いが体はそこまで臭くないみたいだ。それが分かればいい。


「俺達じゃ分からないから嗅いでもらっただけだよ。もうしないから気球を膨らませる為に、樹属性魔法で樹脂を剥がしてくれないか?」


 リンはぶつくさまだ文句を言いながらだが、樹属性魔法で気球にくっついてる樹脂を剥がしてくれる。その間にマリンとノアは注ぎ口にガスを注入し、ガスが漏れないように注ぎ口をロープで止める。二回目ではまだ少し膨らんだ程度だ。浮くには全然足りないな。


 その後、マリンとノアが五往復して気球にガスを注入する頃には気球が浮き上がり、ぺグに縛っているロープが張りだした。この状態ならもうゴンドラと繋げても問題ない気がする。


 辺りも暗くなり始めた。今日はゴンドラと気球を繋げれば切りも良い。


 気球が浮き上がったのを見て、ガイアス達もこちらへと合流してきた。この人数なら簡単に繋げることが出来そうだ。


「ガイアス、悪いんだけど手伝ってくれないか?気球とゴンドラを繋げたいんだ。それで今日は終わりにしよう」


「そうだな、それがいいだろう。皆でロープを引っ張って気球をゴンドラのところまで移動させて繋げるぞ」


 ガイアスの号令でぺグに巻き付けてあるロープが解かれ、皆でロープを持って気球をゴンドラの上まで移動させる。後はロープを固定する場所に巻き付けてゴンドラと気球を繋げれば完成だ!


「ありがとう、皆!まだ完成じゃないけど、飛行船としての形は整った!あともう少しで酒場解禁になるからよろしくお願いします!」


 俺がその場にいる皆にお礼を述べると、ドワーフ達の雄叫びが暗くなってきた空に響き渡った。


 それはもう村から「うるさい」と苦情が来るほどの雄叫びだった。

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