大人しくしよう
リンがマリンとノアを煽ったせいで、今日は一日大人しくしていろと注意されてしまった。
ドワーフの村へ行く予定もキャンセルになる。
昼食を終えた後、マシロが当時の状況を教えてくれる。
「大きい揺れと凄い音がしたから、地震じゃないなってすぐにわかったの。それで、リンお姉ちゃんとソラがまた何かしたんだなって、エンデがトレント達と連絡を取り合って森にいる妖精やドワーフ、エルフ達と考えた結果、練習場を出禁にするってことになったんだって、どうしたらあんなことになったの?」
「マリンとノアの攻撃方法を色々試してたんだけど、質量を増やしたら凄いことになりそうだなって、ラピスと話をしている最中に、リンがマリンとノアを煽って、地面から土と水をできるだけ吸い上げて大質量の攻撃を地面に叩き込んだんだ。止めようとしたときはもう遅かった。近くにいた俺達は震源地にいたから凄い揺れと衝撃で正直恐ろしかったよ。まあ、マリンとノアが戦力になるってのが分かったのが唯一の収穫だったな」
時間はかかったがあれほどの攻撃を繰り出せる存在は森にはそうはいないだろう。人間達がまた襲って来た時にはマリンとノアはかなりの戦力になる。俺達が人間達に攻め入っている間に戦力が減るだろうから、これほどの戦力は心強い。
「それで、マリンとノアはあんなに小っちゃくなったのね。可愛いけど、リンお姉ちゃんの言うことは聞かないように教えないといけないね」
マリンとノアに視線を移すと、まだ責任を感じているのか手のひらサイズの大きさでプルプルしている。ラピスとレイがクッションの様に乗りながら宥めているが、元の大きさに戻るまでには時間がかかりそうだ。
その原因を作ったリンは居心地が悪いのか、ピナコが作っているお酒の材料を集めに、森へそそくさと行ってしまった。大人しくしていろと言われたばかりなのに。
それに、リンがマリンとノアを諌めないといけないと思うんだけど、リンにそんなことを求めても無駄か…。
急に暇になってしまった。さて、どうしたものか、将棋やオセロで時間を潰すか?でもこの二つだけだと正直飽きてくるな…。他のゲームを作るか。
ラピスにお願いして、トランプを作ることにした。同じ大きさの木の板を用意してもらい、数字と模様を掘っていく。
マシロやラピスは興味津々でその様子をみていたが、「その数字と模様に意味なんてあるの?魔力感知してたら裏にしてても分かるわよ?」と教えてくれた。
実際、裏面にして文字と模様を伏せても魔力感知をしたらもろバレだった…。これじゃ、トランプやUNO、麻雀を作っても意味がない。ゲーム泣かせの能力である。
あとは簡単に作れるとしたら、囲碁かチェスくらいか?でも囲碁とチェスは存在を知っているだけでやったことがないのでルールがわからないから無理だ。
試行錯誤の末、やっと作ったのが長方形の板を積み上げたジェンガだった。これなら二人以上の人数でもできる。
試しに、俺とマシロ、ラピスとレイ、マリンとノアの六人でゲームをしてみる。
体の小さいラピスとレイは四苦八苦していたが、皆、板を上手く抜き取り、上の段に重ねていく。
崩れたときに音で皆ビックリしていたが、すぐに慣れたのか驚かなくなった。音が出るせいで夜中には不向きだが、皆が起きている時間帯なら暇つぶしには持って来いだな。
皆でワイワイとジェンガを楽しんでいると、ふと背後から視線が突き刺さる感覚がした。振り返るとそこには大量の果物を取ってきたリンがいた。
やらかした手前、入っていいかどうか躊躇していたのだろう。
「リンもやってみるか?もう過ぎたことなんだ、果物をピナコに渡して一緒にやろうよ」
誘われたリンの顔がドンドンと笑顔になっていく。「うん、やるーーー!」と喜びを隠せない返事をすると、ピナコに果物を渡し、リンを交えてジェンガをすることになった。
結局、夕食まではジェンガ大会で大盛り上がりだった。マリンとノアが途中で抜けて外に出かけたが、戻ってきたときには俺の膝下くらいまでの大きさまで大きくなっていた。どうやら、気分転換になったようでなによりだ。
夕食が終わると、リンとマシロは直ぐに寝てしまった。今日は行けなかったが、明日はドワーフの村へ行く予定なのだ。
ラピスとレイはお留守番で暇なのか、夜も付き合ってくれた。
夜は俺とラピスとレイ、マリンとノアの五人で、将棋とオセロ大会となった。
結果、一位がラピス、二位がレイ、三位がマリン、四位がノア、俺がビリになった。
あれ?思考を送ったせいでマリンとノアが強くなってる!?レイの成長も著しい。
俺、戦闘能力でも知能の高さでもマリンとノアに抜かれてしまったらしい。
俺、弱くなってないよな?周りが強くなったり賢くなったりしてるだけだよね?
ラピスに相談すると、ラピスが俺の頭を撫でながら、「ソラは良くやってるわよ。ソラはゲームしてないで飛行船作りにかかりっきりなんだから、あたし達と比べてやる機会が減ってるんだから、しょうがないわよ」とマシロが起きるまで慰めてくれた。




