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マリンとノアの成長2

 既に合体している!!マリンは大丈夫なのか、咄嗟に「マリン大丈夫か!!」と呼びかける。


「パパー、大丈夫だよ~」


 マリンとノアの重なった声が響いてきた。


「え!?大丈夫なの?そんなの聞いたこともないわよ」


 ラピスが驚いた表情を隠せない様子でマリンとノアを注視する。そこに俺も加わる。


 体は泥水の様に土色に濁ったような色合いになっており、触ってみると、張りのある感覚に、ざらつきが混ざっている。ノアの土のせいだろう。


「もしかして、一緒に育った結果かな?それとも同じ餌を与えていた影響かも知れないな」


 予想を口にしてみると、ラピスが「絶対にソラの影響じゃない!!確かに、他の精霊と違うことが起きても仕方ないわね」と軽く溜息を吐きながら、深く考えることをやめて、実際に起きていることを納得することにしたようだ。


「それでソラ、マリンとノアを合体させて何がしたかったの?さっきより危ないことじゃないわよね?」


 じとーと俺に視線を向けながら、距離を徐々にとり警戒している。それを横目にリンは珍しい状況を楽しんでいるようでマリンとノアに抱き付いて全身で感触を確かめている。そのせいで服は泥だらけだ。


「あぁ、もちろん試してみたいことがある。でも威力はさっきより低いと思うよ。攻撃に時間もかかるし、戦闘向けじゃない」


 俺はマリンとノアの合体した体に触れて、思考を送り込む。


「マリンとノアできそうかな?試してみてくれ」


「わかったー、試してみるねー」


 マリンとノアは地面から土を吸い上げ、体の粘度を上げていく。すると、泥ではなく徐々に粘土の様な体になっていく。


 粘土の様な体になった後、体に無数の紐状の帯を伸ばして、ヒュンヒュンと回し始める。危ないのでリンとラピスをできるたけ遠ざけておく。


 そして岩に向かって、攻撃を仕掛ける。スパァンスパァンと風切り音を響かせながら岩にバチンバチンと帯がぶつかると、岩が少しずつ欠けていく。


 まずは鞭の様な攻撃が出来ないかどうか、体を粘土の様にして貰ったのだ。どうやら成功のようだ。正直、帯の先端が早すぎて見えない。確か、実際の鞭も音速を超える速度だったはずなので、見えないのはしょうがない。


「すごい音ね。それにしては威力が低いみたいだけど、これがソラのしたかったことなの?」


「いや、これは予行練習の様なものだよ。これが出来ないと俺が思ったことは再現出来ないと思ったんだよね」


「ねぇねぇ、あれに触ってもいい!掴んだら面白そう!!」


 俺はリンに「絶対ダメ、触ったところの皮が剥けて酷いことになるぞ。目に当たったら失明するかもしれないんだからな!!」と念入りに注意をして釘を刺しておく。


 リンが頬を膨らませて「ぷぅー」と我慢しているが、危ないのには変わりないんだからしょうがない。それを聞いたラピスはリンを盾の様にして背中に隠れている。いや、リンを抑えてて欲しいんだけど…。


「マリンとノア、それが出来たなら次は分かってるよね?試してみてくれ」


 俺は本命の攻撃が出来るかどうか、マリンとノアに指示を出す。


「パパー、わかったー」


 マリンとノアは岩の反対側に向かって、綱引きの紐くらいの帯を伸ばしていく。先端は鉄球の様な拳の形をしている。


 そして、岩に向かって、帯を伸縮させて、岩を殴った。結果、殴られた岩がバラバラに砕け散る。


 よし、成功した!マリンとノアの体を組み合わせたらゴム体質の人間が繰り出す攻撃を再現出来ると思ったんだ。もっと質量を大きく出来たら巨人の様な威力も夢じゃないかも知れない。


「今度は凄い威力になったわね…。これがソラが試したかったことなの?」


「あぁ、良く漫画やアニメ、映画なんかで出てくるゴム体質の人間が行えることをマリンとノアの体を合体させたら出来ると思ったんだ。もっと質量を増やしたら凄いことになると思うぞ!」


「漫画?アニメ?良く分からないけど、あっちの世界の話よね?それを再現しようとよく考えるわね。まあ、洗剤やマヨネーズにドレッシングは有難かったけど…」


「まあね、それと、マリンとノアが合体したときの呼称って合った方がいいと思うか?マリンとノアだからマリアが妥当だと思うんだが…」


「合ってもいいと思うけど、マリンとノアにも聞いてみなさいよね。呼ばれる方は気にすると思うわよ」


 ラピスと話し込んでいると、影が膨らみ、日光を遮っていくのが分かった。何か嫌な予感がする。視線をマリンとノアに向けると、マリンとノアの体がこれでもかというくらいに大きくなり、上空には空を覆うほどの、巨人の拳のような塊が出来上がっていた。


 よく見ると、リンが拳を振り上げて「もっともっと大きくちゃえー」とマリンとノアを唆している。


 もう止めることが出来る状態ではなく、次の瞬間、地面に向かって巨人の様な拳が振り落とされた。


 瞬間、ズドォオオオオオオオンと轟音を鳴らしながら、殴った中心から波紋の様に大きな波の衝撃と揺れが広がり、波が届いた樹々は大きく振れ、バッサバッサと木の葉を盛大に散らしている。


 その衝撃音と揺れで動物や魔物達がギャーギャーと騒ぎながら逃げ惑っているのが容易に想像できた。


 これは俺の時より酷いかも知れない。あの時は音と飛び去った方向に衝撃波だけだったからね。


 流石に予想以上の威力と衝撃だったのか、煽っていたリンは冷や汗を垂らしながらこちらの視線から逃れようとゆっくりこの場から離れようとしている。いや、逃げても意味ないからね?


 マリンとノアはやらかしたことに気づいたのか、手で持てる大きさまで小さくなってシュンと落ち込んでいた。


「マリンとノアは悪くないよ。俺が試してほしいとお願いしたのと、リンが煽ったせいだから気にしないでいいよ。リン逃げても意味ないからな、怒られに戻るぞ!!」


 リンは逃げるのをやめ、足取り重くこちらに向かって来た。


「はぁ…、やっぱり、あんた達がいると何か起こるわね。エンデには先に言ってあるから、このことは森中に広まっているはずよ。もうここにいてもしょうがないわ。帰りましょ」


 荒れに果てた空地を横目に、俺達は帰路に着くことにした。


 家に着くと、エンデから呆れられ、森の総意として、魔法の練習場は出禁となった…。

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