6月 俺の家
今日は土曜日。雷麦が久しぶりにサッカー部が休みの日らしく、トムも同じくサッカー部なため、俺の家にこないか?と誘ってみた。雷麦は5秒で返信が来た。5秒で返せるかギリギリの文章量を返してきた。早すぎだろ。トムにも送ったのだが、既読は割とすぐについた。だが、返信が5分後にきて、解読不能な文章が返ってきた。頭を悩ませていると、緊張しすぎて誤字ったようで、来るとの返信が来た。
月は本日はバスケ部の練習試合があるらしく、午後に帰って来るとのこと。月は少し残念そうにしながらも、寝坊したせいで8時半になっているのを目をまんまるにして慌てて髪や服を整えて出発した。そのような状態でもしっかりと朝食の時には「いただきます」と言って食べるあたりできた妹である。俺がちゃんとしてねえってだけでもあるがな。
インターホンがなり、ドアを開ける。玄関前には雷麦はトムがいた。2人は一緒に来たようだ。
「り、龍之介サン!オハヨウございエマス!!!」
「ガーッハッハッハ!!そんなに緊張する必要はないぞ!」
トムが噛んだことを軽く受け流し、家へ招き入れる。雷麦の笑い声に反応したのかリビングから足音が聞こえる。
「あらっ!雷麦くん!よく来てくれたわね〜!!龍!新しくお友達を連れてくるなんて!お名前は?」
「ああ、トムだ。一個下なんだよ。雷麦の引退後のエースだ。」
「俺は卒業してもobとしてくるがな!がーはっはっは!!」
「すごい子を友達にしたねぇ龍。トムさん。いつも息子がお世話になってます。」
「イエイエ!!!とんでもナイ!むしろこちらコソいつも助けられてマスヨ!!!」
俺がトムを助けたことなんてあったか?
「トムはすごいぞ!!!!!なんせ10メートルも飛べるんだからな!!!!!!」
「あら!その年で大したものね〜。将来はプロ選手かしら?」
やかましいが、それだけ誇らしいのだろう。友の力をここまで誇れるやつはなかなかいない。雷麦はすごいやつだ。それと、母さんはこの非現実的なことを言われているのに全く動じていない。信じてないというわけじゃないんだ。信じた上で若いからで片付けているんだ。若くてもんなもんトムしかできねえよ。
「大したものはないけれど食べてって!!」
母さんはアルフォートやグミ、ラムネは粉の方と、飲み物の方、両方とも用意されてあった。クッキーやお煎餅なども用意されていた。俺が食わねえからお菓子類は結構家にあるんだ。母さんは「ごゆっくり」と言ってリビングに戻って行った。ラムネだけじゃなくてフルーツ系のジュースなんかも数本置かれている。
「な?龍の母さん優しかったろ?」
「エエ!!エエ!!トテモ素晴らしいかたでした!!」
思いっきり首を痛めそうなほどに首を縦に振って肯定している。
「さてと。お前ら、ちゃんとアレ、持ってきたよな?」
わざと意味深にする。特に意味はないが、強いていうなら、雷麦が面白がるからだ。
「ガッハッハ!例のアレだろう?」
「当然デス!しっかりと家に用意してもら……ン゛ン゛ッ失礼。持ってきまシタよ!」
今こいつ用意してもらったとか言いかけなかったか?まあ聞いていなかったことにしよう。
不良の家に入り込んでやることと言ったらあれしかないだろう?
「Dーーーーーーーーー!!!!!!!Sーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」
「ワタシはマリオカーとを持ってきましタ!」
「おれの家には色々あるぞ?ストレートファイターとか、コンビニエンスストアメリオーとか」
スーパーの類義語がコンビニエンスストアなの?というツッコミはなしにしとけ。不良要素が少な過ぎるって?別にいいだろうが。不良の家でDSしたって。俺の家なんだし。あと急に著作権気になり出したぞ?とかいうのもなしだ。どうせそのひの気分で描いてるんだろうからな。
雷麦はボスガメ、トムは二番手L男、俺は無難にmリ雄を選択した。そして、雷麦がnpcに集団でボッコボッコにされて最下位になったかと思ったら大砲弾で次々に追い抜いていった。トムは最初こそダートに入ったりアイテムの投げ方がわからないということもあったのだが、だんだん慣れていったのか、途中からたまに一位になっていたりもした。俺は無難に数回一位とった。雷麦は結構やりこんでいるらしく、かなり圧勝だった。
ぎゃくにストレートファイターは雷麦はコマンドどうやってやるんだ!!!!!!となっており、トムも善戦こそしたものの俺の圧勝だった。
インターネット通信なんかもやって、日が暮れるまで遊んだ。
「じゃあな!龍!龍のお袋にもありがとうって伝えておいてくれ!!!」
「今日はヒっジョーーにっ!!!楽しかったです!!」
「おう、またこいよ。」
トムと雷麦が去っていく。そして、俺は少し家から出ることにした。
何かあったというわけではない。そう、言うなれば些細な違和感。ここで外にいった方がいいと鈴木の勘が告げていた。「少し出かける」とスマートフォンで母さんにメッセージを送る。その後に、雷麦の言葉も添えた。
スーパーに向かう道中の路地裏、特に意味もなく入っていく。あたりはすでに暗く、道には街灯が付いていた。そんな時間帯に、街灯の壊れた路地裏を歩いた。そして、しばらく歩いて奥で喧騒のような怒鳴り声が聞こえた。
「一体誰に向かって口聞いてんじゃ我ぇ!俺らがなんだと思って……」
「うるせえ。俺をその濁った目で見たという罪、万死に値する行為だ。そうであるのに俺をさらに不快にさせる言葉をよくもまあ言えるものだ。礼儀があるんだったら今頃首をつって死んでいるところだぞ?」
……来なくてもよかったな。
「ざけんなよ!後で言った言葉を引っ込めてももう遅いからな!」
銃を取り出す。違和感の正体はこれか!人が死ぬというのはある意味で重要だ。俺が止められるようなものなのだろう。そうして、少し静観していると、あの傲慢な男は、撃たれた銃弾を最小限の動きで回避した。
「はあっ?!」
撃った方の反応が正しい。
「愚行を犯したことを詫びるどころか愚行を愚行で上塗りするとはな。俺の寛大な心も慈悲が尽きたぞ」
その男は顔に青筋を立ててイラついていた。
「チッ!今日のところは勘弁してやる。背後にはきをつけろよ」
言い終わる前に撃たれた方は撃った方の顔面をぶん殴っていた。
「とりあえず一回には一回だ。それで?そこに隠れているお前もこいつらの仲間なのか?」
下を見ると他にも裏の世界にいそうな野郎どもが数人倒れていた。少しの諦めも込めて出ていった。
「すまん。危なかったら助けようとしていた。」
「俺を誰だと思っている愚者の助けなどいらん」
「……そうか。俺はこの先にいく。まだ違和感が消えねえからよ。」
そう言ったら殴られ、足蹴にされた。顔を執拗に狙う。……こいつ……柔道部のやつみてえに陰湿さはねえくせにやたら殴るな。
「俺の質問の答えになってないだろうが低脳。俺の質問をたりねえ脳みそで答えやがれ馬鹿が。もう一度だけ聞いてやる。こいつらの仲間なのか?」
その返答に拳で返す。いなされ、関節がゴキっと嫌な音がする。見ると、関節が曲がってはいけない方向に曲がっていた。
「違う。こいつらは俺のシマのもんじゃない。」
「フゥン。関節を無理やり外されば泣き喚くと思いきやまさかの無反応とはな。道化なのか愚鈍なのか。どちらにせよ、俺の想像をうわ回った褒美だ。許す。」
「そいつらは殺すなよ。」
「なぜだ?」
「問題になるからな。」
「……チッ、いいだろう。その言葉特別に聞いてやろう。お前名前は?」
「鈴木龍之介だ。お前は?」
「鍵咲輝夜。俺は帰るぞ。久しぶりに面白いものが見れたからな」
なんだったんだあいつ……。




