今夜の月は君と。
おつきみ!!!!
夏休み明け、先生の課題効果は抜群だった。
もう恋は、始まっていた。
わかりやすいのは、アリーナ席の3人。
中には私の友達もいる。
スズ、リョウ、アミ。
横見て、横見て、アミはただ前を向いていた。
スズはリョウが気になっていて、リョウはアミが気になっているのか。
一番後ろの窓側の席の私は、静かに3人を見守っていた。
やっぱり私は、恋をする側よりも、恋を応援する側の方が向いてるな。
そう思いながら、授業を受けた。
「ヒナノ、行こう」
「あっ、うん」
2時間目は理科室で行われる。
重い足をひきずりながら、理科室へ向かった。
くじ引きで決められた理科の班メンバーは、私、スズ、ハス君、モミジ君の計4人。
「よろしくな、ヒナノ」
「モミジ君、よろしくね」
クラスナンバーワンの陽キャが私の隣になりました。
ぎょぎょっとしてしまったけれど。
普段はお調子者だけれど。
授業は真面目に受ける人だとわかった。
今日の授業内容は「月」。
モミジ君はなぜか月にめちゃめちゃ詳しい。
先生よりも私に月を語ってきた。
昼間に月を探してしまう私にも興味深い話だった。
そんな私を見て___
「月、好きなの?」
「え?あっ、まぁ。好きかな」
「知ってる?めっちゃ良い場所があるんだ。今日の帰り、一緒に見に行こうよ」
「そんなところあるの?」
「まあな。どうする?来るか?」
「行きたい!」
「おっしゃー!じゃ、約束な」
「うん」
ちょっとルンルン♪
行きとは反対に、半分スキップしながら、教室に戻った。
今日は、委員会のお仕事がないけれど。
でも、一緒に帰る約束したから、どうしよう。図書室で勉強して待ってようかな。
彼はバスケ部。私は帰宅部。
委員会のお仕事があったら、ちょうど良い時間になるんだけどな。
って困っていたその時。
「わっ?!?」
「あっ、ごめん、びっくりさせちゃった?」
急に背後から肩をつかまれた私はびっくり仰天!
言葉がでない私に彼は、
「そういえば、今日は委員会のお仕事なかったんだよな。俺待ってると遅くなっちゃうから、先帰って良いよ。だから、待ち合わせしよう。今夜の8時に近くの公園で」
「わかった。ありがとう。部活がんばってね」
「ん。さんきゅー!」
何で知っているんだろう……。
でも、ありがとう。
気づいてくれたの、ちょっとうれしいかも。
そして放課後。
「じゃあ、先帰るね。ばいばい」
「じゃあな。忘れんなよ」
「忘れるわけないって!笑」
「言ったなー!」
「うん!言った!」
「じゃあねー」
手を振ってモミジ君と一旦お別れした。
空を見ながら、前へ進む。
冬の一歩手前のこの空に、夜には月や星が輝いているんだよね。
ずるいよ、ずるすぎるよ。
綺麗すぎるんだもの、
空にほほえんで、
一旦さよならをした。
また、数時間後ね。
あたりはとても暗くなっていた。
急に日が沈むのが早くなった気がする。
「行ってきます」
「気をつけてね。本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「そう……。何かあったらすぐに連絡するのよ」
「わかった。ありがとう、ママ」
「気をつけてね。行ってらっしゃい」
「行ってきます」
ママに心配されながらも、私は一人、家を出た。
夏はまだこの時間は暑かったのに。
私が知らないうちに、こんなにも冷えていて。
でも、このまま上着を取りに引き返したら、
遅れちゃうかもだから。
心配かけちゃうだろうから。
街灯をたよりに、そのまま足を進めた。
そんな中、突然背後から声をかけられた。
「あれ?もしかして、ヒナノ?」
「え?
えっと……あなたは……?」
「覚えてない?」
「……ごめんなさい」
「いいよいいよ。俺は、保育園一緒だったアザクだよ」
アザク・・・?
・・・ピカーーーーン!
「え?!!あのアザク?!ごめん、気づかなかった」
「えへへ、大人っぽくなったでしょ?」
「なったなった!」
「ところで……。こんな時間にどうしたの?」
「月を見ようって誘われて、私も見たかったから」
「家でも見れるのに?」
「一番綺麗に見れるところなんだって」
「そうなの?俺もついてくよ。だって危ないじゃん」
「……え?」
「だめ?」
「いや、だめじゃないけど、誘ってくれた人とアザクは会ったことないだろうから」
「あぁー!!それは大丈夫!俺、コミュ力の塊だからさ!任せて任せて!」
「わかった。任せる!」
夜なのに、相変わらず元気だな。
こういうところはあまり変わっていないみたい。
そう思いながら、私とアザクは、待ち合わせの公園に向かった。
___________
学校帰り、そのまま公園に向かった俺は、公園に早くついてしまっていた。
本当は、一度家に帰っても良かったが、一人公園で待たせてしまうのは……と思い、そのまま公園に向かう方を選んだ。
何かあったのだろうか、大丈夫なのだろうか。
そう思っていたら___
「ごめん、お待たせしました」
「全然、今来たところだから」
「……嘘つき」
「え……?」
そう言って、彼女は俺のポケットにカイロをいれてくれた。
彼女にはすべてお見通しなのかもしれない。
彼女の優しさに浸っていたからなのか、気づかなかったが、よく見れば、男が一人、隣にいるじゃないか。
・・・え。誰?
「あなたは……?」
「あっ、ごめん。連れてきちゃった、こちら__」
「ヒナノと保育園からの仲ってことで来ちゃいました〜〜!俺はアザク!君は?」
「俺は……。俺は、モミジ!よろしくな」
「よろしく」
差し出された手をとって、握手した。
「それじゃあ、行こうか」
内心、それどころじゃない。
月とか見てる場合じゃない。
一体、二人はどういう関係性なんだ?
保育園からの仲?それはどういう仲なんだ?
あぁー、気になる、気になる……。
気になりすぎて、今日は眠れないかもしれない。
「で、二人はどういう仲なの?」
「「え?!」」
やばい、声が裏返った。
「もしかして〜〜?」
「クラスメイトだよ」
と、ヒナノ、即答。
「本当にそれだけ?」
「それだけ」
「なーんだ、よかった」
よかった・・・?
それは一体どういう意味なのか、詳しく教えてもらっても?
なんて、どれもこれもで聞けるわけがない。
そもそもアザクがいなければ。
今ごろ俺はヒナノと二人で……。
いや、やっぱりなんでもない。
どうしようもない現実に、あーだこーだ言っても変わらないから、受け入れるしかないから。
結局三人で向かった。
「着いたぞ」
「え!」
ヒナノは目を輝かせて、走ってきた。
そんな姿を見て、ついうっかり、笑みをこぼしてしまった。
「めっちゃいい場所じゃん!」
「だろ!」
三人並んで、この世界でたった一つの月を眺める。
「月、綺麗だね」
「「……え?」」
二人揃ってヒナノを見つめた。
そして、月を眺め続けるヒナノの背後で、
「今の、俺にだから」
「いや、俺にだから」
「いやいやいや、俺にだから」
「違うから。絶対に俺」
と、小声バトルをしていた。
「何してるの?二人とも」
「「え?あっ。いやいやいやいや」」
「なんでもないよ」
「気にしないで」
「えー、それが一番怖いんですけど……。まあいいや。最後に写真撮ろう!
せーの!はい、ピース!」
「ありがとう。見れてよかったし、来てよかった」
「こちらこそ、来てくれてありがとう」
「どういたしまして〜〜!」
「今のは、ヒナノに言ったんだけど」
「あれ?」
「あれ?じゃないから」
「ヒナノ、送ってくよ」
「いや、俺が送る。誘ったのは俺だから」
「でも、モミジ君逆方向だよね。遠くなっちゃうし、帰り遅くなっちゃうからいいよ」
チーーーーン
「あの、えっと、モミジ君、大丈夫?」
「風に凍らされたみたいになってるけど……」
「……あぁ、大丈夫だ。
じゃあな、気をつけて帰れよ」
「バイバーイ!ありがとねー!」
大きく振られたその手に向かって、大きく振り返した。
その背中が見えなくなるまで、ずっと。
君を見守っていた。
できれば、本当は。
俺が君の家まで、送りたかったけど……。
今、月の明かりのように、はっきり光ったものがあった。
そんな気がする。
_________
ある日の委員会でのお仕事。
「ねぇねぇ、聞いてよ」
「ん?」
「この前のお月見で、めっちゃ綺麗に月が見える場所に行ったの。ほら、見て」
その時に撮った写真なのだろうか。
「めっちゃ綺麗じゃない?」
今日上機嫌の理由は、これなのだろうか。
月が好きなのだろうか。
「ねぇ、トア君、聞いてる?
おーーい、おーーい」
「ん?あっ。ごめん。
この男2人と行ったのか?夜に……」
「そうそう」
「……あっそう」
「ちょっと、もうちょっと興味持ってくれてもよくない?」
「じゃあ、こうでもすれば良いってこと?
えー。なにそれすごーい。なになに。どこどこ。だれだれ」
「そういうことじゃないし。あと、ちょーーー棒読み!!!
でも、楽しかったなぁ」
ずっと、浮かれてるし……。
そっちはちょーーーー上機嫌でも、こっちはちょーーーーー不機嫌だ。
何で男二人と夜に出かけてんだよ。
誰なんだこの二人……。
__ん?
待てよ。何で俺、こんなにイライラしてんだ?
こんなの俺らしくない。
・・・。
まさか……。
……いや、そんなわけないか。
じゃあ、どうして……。
「じゃあ、私、本の整理してくるから、受付よろしくね」
その笑顔……。
グサッ。
この感覚。
何年か前にあったものと一緒……。
じゃあ、俺は……。
いや、でもそんなわけ……。
いや、そんなわけ………。
そんなわけ……、ある……かも……。
こんにちは!はづきですദ്ദി ˃ ᵕ ˂ )!!
お読みいただき、ほんとうにありがとうございました!めちゃめちゃ久々になってしまい、ほんとうに申し訳ないです。ごめんなさい、。!!!
今回「おつきみ」をテーマにかきました!また、途中からモミジ君視点、トア君視点で書かせていただいました!
色々人物登場させすぎて、ごちゃごちゃさせてしまってるかもしれませんが(ごめんなさい……)、安心してください!私もごちゃごちゃしてて、混乱してます!笑
今回ちょっと長くなってしまいました。ごめんなさい。最後まで読んでくださりありがとうございます!!
第3話もお読みいただけるとうれしいです(*˘︶˘*)!!よろしくお願いします!




