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謎の暗号

風呂を目指し廊下を歩いていると、誰かの部屋のふすまの前に何か落ちている。

挿絵(By みてみん)

奇麗なカード。一見何かの暗号文で警告をしているようにも見えるが……詳しくは分からない。


「あれ? 何か落ちてる? なんだろ」(なんだこの違和感……この感覚、前にもあったような……)

嫌な予感がするアリサ。これは何度かこんなことがあったはず。


「うーん分からない。でもこのふすまの奥は兄さんの部屋よ。何でこんな物が? 一応撮影しておくか。兄の部屋の前に謎のカード置かれるナウっと」

撮影し、ツイートする。そして一応元あった場所にカードを戻す。


「あ、ツイートできてるじゃん!」


「そういえば……どうしてかしら? もしかして昔の勘が戻ったのかも。それとも毒殺されかけた過去の恐怖から解き放たれたのぉ? 又はちょっと成長した?」


「それのどれかかも知れないわね。じゃあこんな所でくすぶってる場合じゃないわ。現役復帰しちゃえ。迷新聞記者だっけ? それに戻ればいいんだよ」


「あのね、一応涙の送別会を経てここにいるのよ? 今更戻れないわ。後、漢字が違うわ。名新聞記者よ!」


「黙っとけ。でも意外と何も言わず出社したら普通に仕事できちゃうかもねw」


「いやよwそれって悲しすぎるでござるwあの涙の別れで終わった送別会参加者全員が全て忘却したってことじゃない……」


「そうだよ」


「いやなこと想像させないでよ! で、アリサはここに興味があるの? ここは兄さんの部屋よ?」


「あの高速忍びか。何でこんなものがここに?」


「そこまでは分からないよ。で、どうするの?」


「あの人、一応消えることは出来るけど近くに来れば音で分かるし、ちょっと話し掛けただけで鼻血まで出しちゃうってのは分かっている。他に特徴はある? どんな人なの?」


「庭でも話したかも知れないけど、とにかくスピードの鬼よ。そして家中を走り回るのが好きなの。多分悪い奴が居ないか常に見回っているのかしら? それか、少しでも休むと衰えると考えて必死に動き回っているんじゃない? 兄の座右の銘は、


『走れねえ豚はただの豚だ』


なのよ」


「それ、スタジオザブリの名作、


『食えないの豚』


のポノレコの名ゼリフのパクリじゃない。何かださいわ」


「そうよね、私もこの前ホテルで、少年ジャソペのキャラの名ゼリフをパクるだけで


『自分』


を持っていない鑑識の女を知っているわ。しかも今日もダイレクトメッセージで、事件で発見された死体とのツーショット写真を送ってきたのよ。気味悪い趣味してるでしょ」 

と自分のツイッターを見せる。ここでは絶対に映せないような画像だ。そんなものを11歳のアリサに平然と見せてしまう。空気を読んで欲しいものである。


「ちょっと! 何を見せてるのよ! 止めてよ! うわ、あいつ満面の笑みじゃん」 (でも地獄から無事に帰って来たんだね。取り合えず良かったわ……)


「あ、ごめんごめん。じゃあこれを隠して」

死体の方を指で隠し、再び見せる。


「あーこんな人いたねー。誰っ? て思った人、詳しくは5話以外全話に登場しているので1~4話のどれかを見てね♡」

ご存じの方もいるかもしれないが鑑識の美薬虎音である。語尾にガルを付ける珍しい女ガル。


「宣伝乙って、アリサ? 誰に言っているのよ!? それに5話って何? ここには私とアリサしかいないでしょ?」


「こういう時にしっかり宣伝しとかないとヤバいのよ。じゃあお風呂行こうよ。どこ? 早く案内して」


「よく覚えてるわね……あっ、そういえば思い出したわ。ホテルでの推理もすごかったもんね。こんなに記憶力がすごいとあんな推理が出来っちゃうんだね。追い詰められてた八郎って奴が可哀想に思えちゃったもん」


「何度褒めたって私の笑顔しか出ないぜ? てか呼び捨てかい」


「そりゃ嫌いだし……こんなの当り前」


「まあ、殺されかけたもんね……」(八郎さんか……今何してるんだろ……え? ま、また?)

アリサは照代の言葉で突如八郎の笑顔を思い出す。すると、急に頭痛が走り、視界が白く歪んだ。


「おっと、またでござるね」

照代の前で倒れるのはもう3回目となる。熟練の手つきでアリサを支える。


意識が、遠のく……


ーーーーーーーーーAnother Story Hachiro Nanaseーーーーーーーーーー


突然、冷たいコンクリートの壁と、規則正しい機械が動いているシーンがアリサの目の前に広がる。そう、忍者屋敷に居た筈のアリサがだ。

相変わらず唐突で意味不明な現象だが、こういうものがあるということで諦めて見て頂きたい。そして、何かの機械音もリアルタイムで聞こえる。そしてその前に立つのは当然、先程話題に上がった七瀬八郎。

第一話で、照代を毒殺しようとした犯人その人である。今は捕まり淡い青の作業着姿で、木工用のやすりを手にして何かを磨く作業をしている。彼の表情は無機質で、その動きはまるで歯車の一部のように単調だ。隣の顎鬚の男が、低い声で話しかける。


「なあ、七瀬だっけか? お前は何をやってここに来たんだ?」

八郎は視線を上げず、ただ淡々と作業を続けながら……


「私語は禁止ですよね」


「今は見張りもいねえだろ? 堅いこと言うな。俺は銀行強盗だ。本物のピストルが用意できなくておもちゃのやつで脅したけどばれちまった。まさかまさかの脅した相手がめちゃくちゃ銃に詳しい銀行員だったらしくてなwwお前は?」


「僕ですか? 何だろう……法的に定義するなら、殺人未遂……ってことになるんじゃないですかね」


「マジか? だけどなんかHIROYUKIみたいな喋り方だな。若いのに達観した感じだ……で、でもお前みたいな優男が殺人未遂? ……いつの話だ? つい最近か?」


「ええ、今日は確か7月25日ですよね? 一昨日の話ですよ。でもそのトリックは自分の力で考えたものじゃなかったんです。とても有名な……だけどその人の考えたトリックを、あっさり破られてしまったんです」


「もしかして謎老子ってやつか?」


「ご存じですか?」


「まあこの界隈では超有名人だからな。まあ俺は殺人はするつもりもなかったし、登竜門にはアクセスしなかったぜ」


「普通は殺人なんてしませんよね……僕が弱かったからこんなこと……」


「そうだな。まあまだ若けえんだ。いくらでも取り返せるだろ」


「そうです。僕、アリサちゃんのお陰で、これで済んだんだ……僕は、人殺しにはならずに済んだ。それが救いです。今頃、悲しんでいるでしょうね。彼女、僕なんかの為に泣いてくれていました……」


「お前を犯人と言った時にか?」


「そうです……ぐっす……うわおんおーん」


「な、泣くなよ」(変な泣き方……世界広しと言えど、この泣き方をする人は彼しかいないのでは?)

彼は、アリサに犯人と暴かれたことを恨んでいない。むしろ、自分の運命を救ってくれた友人に感謝すらしている。


「アリサちゃんか……お前の彼女か?」


「違います。でも彼女と同じくらい大事な子です」


「子? 子供なのか?」


「ええ、ですが物凄い推理力でした。刑事よりもすごい洞察力と記憶力……あれは誰も勝てませんって」


「やばいやつがいるんだな……」


「そんな……ただ歌の上手で素敵な子ですよ……」 


ーーーーーーーーーーーーーThe Mirror Never Liesーーーーーーーーーーーーー


ビジョンが途切れ、視界が一瞬で屋敷の廊下に戻る。アリサは、額に冷たい汗をかいていた)


「グッ……はあはあ……は、八郎さん……早く戻ってきてよ……」


「な、どうしたの? 涙目じゃない?」


「お腹が減ってきたからよだれが出ただけでしょ」


「そう? また食べる?」


「冗談に決まってるでしょ? 食べたばっかりよ! 今ね、また変な映像が見えたのよ」


「確かに。何度かあったよね? でもそれって何が原因なの? 今まで見たやつをまとめて見ましょう?」


「原因は分からない。でも、今まで見た映像は……順番に話すと……ホテルのオーナーと、白川さんと木林製作所の社長夫人とその彼氏? の映像かしら?」


「白川さん? と社長夫人は知らないけどオーナーも見たのね?」


「白川さんはボケ人間コンテストで起こった、司会落とし事件の真犯人だと思うんだけど、決定的な証拠がなくて逃げられちゃったのよね。後、あのオーナーの母親に会って来たんだよ。鬼と人間のハーフってことは聞いた。そしてその相方の鈴木2号さんと盗賊団をやっていて、その盗んだ宝石や金品を使ってホテルを作った? いやロウ・ガイの言っていたことと合わせると買い取ったのかな? 昔のオーナーはあいつじゃなくてプールサイドで銅像になっていた人? だと思うし。でも、今まで登場した人物の関係性が分からないのよね。でもなんかその三人が繋がっている様な……いいえ、繋がろうとしている様子が映されていて怖かった」


「情報量が多いわ! どんだけ濃密な夏休みをエンジョイしてるの!」


「濃密なのは認める。だけど今聞いた中で、エンジョイ出来ていそうな内容は何? 教えてよ」


「そう言えば一つもなかったわ。で? 今は八郎が出てきたってことなのね?」


「そうね」


「じゃあその社長夫人も犯罪者なんじゃない? 八郎は私を狙った悪魔だし、彼女だけ何もしていないってのはちょっと変だと思う。アリサが知らないだけで、社長夫人も何か悪いことをしていたんじゃない?」

ほう、なかなか鋭いな。だが、アリサは直美姉さんが鈴木殺害の直接の実行犯ということは知らない。


「うーん、そんな悪い人には見えなかったけどなあ。でもオーナーと白川さんと八郎さんの共通点は、犯罪をした、もしくはして償っている人間で、今の私が誰かからその人についての話を聞いて思い出すと気絶する流れなのよね。今まで全部そうだった」


「そうなんだ。一人で思い出してもそうならないってことなのね」


「そうね」


「で、今までの人がみんなそう言うことをしているんだとしたら、その社長夫人も何か悪さをしたと考えるのが普通なのよ」


「そうなのかしら? でも何で急に……あ、そうだ! 私、地獄に落ちてたんだっけ」


「ああ、そう言えば昨日の昼ご飯の時に見せてもらった本に書いてあったわ。あれって実話だったんだ」


「そうそう、あれは4話の話になるんだけどね、3話の最後に、フンガーのアルヴァデカ・ダーヴァっていう死の呪文で地獄に落とされちゃったの」


「4話の話なのに3話ってなあに?」


「うるせえ。それで地獄で起こった事件を解決して、ちょっと一つの工場をぶっ壊した後戻ってきたのよ」


「そうよね。あのシーンカッコ良かったわ。私もすごい知り合いを持ったものだわ……」


「え? 読むの早くない?」


「一応名新聞記者だし、ささっと読んだのよ。後は残り3話ね」

むう、あの3話か……全てがひっくり返ったおぞましき内容である。


「速読は危険よ……あの内容を一気に脳に詰め込んだらどうなるか分からないわ。少し休みなさい」


「今更遅いよ……もう読み終えちゃうよ……でも考えて見ればアリサが地獄で活躍している間、私なんかいつまた誰かが命を狙いに来るか子猫のようにびくびく怯えていたわ……」


「まあまあ、人それぞれだから。それにその辺はちゃんと記録として残っている。もしその繋がりを知りたければ、3話と4話合わせて読むのも手よ? じゃあはいこれ」 

しっかりと手渡しで渡す。


「結構重いでござるね。……てか、4話もまた読むでござるか?」


「ええ、何度読んでも面白いし、有り難いんだから何度でもオッケーよ! 復讐の意味でも……復習の意味でもすぐに読みなさい。二回読むと脳への定着も出来るからね。暇な時に10週くらいしてもいい。それに続けて読まないと分からない


『繋がり』


もその目と心で感じて欲しいし……ま、たったの70万文字くらいのコンパクトな文字数で収まっているから好きな時に読みなさい」

あの内容を10週も読んでしまったら現世に戻ってこれるのであろうか?


「分かったわ。じゃあ今から読んでくるね」


「いい返事よ。でも寝る前のちょっとした時間に読み終えればいいからね? 今は行くな。とんでもない時間になる!」


「わかったわ」

ごそごそ

ほう、何でもしまえちゃう


『照代ポッケ』


にしっかりとしまって、後で読もうとしてくれているな。殊勝な心掛けである。


「で、その木林製作所から戻ってきて至福のごろごろタイムを満喫していた直後にあんたからDMが来たのよ? やっと休めると思った矢先にさ」


「なんかごめん。でもなんとなくわかったわ」

ごそごそ キラーン

ぬ? まるで名探偵のように目を光らせ、どこから持ってきたかわからぬが虫眼鏡などを構えておる。


「何してんの? 虫眼鏡なんか構えて……目が悪くなっちゃったの? 三十路女が?」


「そのアリサが気絶してその間に見たっていう映像……つまりその


『ビジョン』


は、アリサが地獄から持ち帰ってしまった


『罪を映す能力』


なのかもしれないわ」

虫眼鏡をのぞき込むと、少しずつ離し、片目だけを大きくする謎の演出をしながら推理を展開する照代。


「なに?」


「ほら、閻魔様が地獄に落ちた魂に質問するじゃない? その時に使う鏡よ。あれってその人の生まれた時から死ぬまでに行った善行や悪行を映し出す鏡の筈よ。その鏡の力がアリサにも宿ったのかもしれないわ!!」


「ええ? てかなんで地獄にそんなに詳しいの?」


「あんたも地獄に行ったって言ってるけどね、私だって死の世界をさまよった時にそんな話が脳内に流れ込んできたのよ。それに4話は途中まで読んだんだし」


「そう言えばそうよね。でもおばさんも死にかけてよく戻ってこれたね。偉いよ」


「まあね。でね? 八郎のことを考えた時に、アリサはその映像を見たんでしょ? だから、犯罪をしたことがある人間を思い出した時、その人物が今何してるのかを見ることの出来る能力を身に付けたんじゃないかしら?」


「……」


「どうしたのでござる?」


「あのさ、ちょっと気になったんだけど、さっきから八郎さんのことをずうっと呼び捨てしてない? そろそろさん付けしなさい」


「でも、私の大切な命を狙った悪魔よ? 呼び捨てくらいいいじゃない? もちろんこれからもずうっと呼び捨てよ?」


「うーん、それは分かるんだけど、彼も反省しているし、さん付けしてよ。捕まって多分彼女にも見捨てられちゃったと思うし、可哀想じゃない?」


「確かその彼女も共犯でしょ? 見捨てるも何も一緒に捕まってるでしょ! アリサはあいつに思い入れがあるみたいだけどね……こればかりは譲れないわ」


「そうだ! じゃあさ、お勤めから出てきたら付き合っちゃえば? いや、結婚しなよ。彼は28歳よ! 丁度いいよ!」

なんで?


「なんで?」 


「なんで?」


「アリサだけはそのセリフを吐いちゃ駄目でしょ!」


「だって面白そうだもん」


「結婚ってのはね、面白いか面白くないかで決めるもんじゃないのよ? それならまだ4人の先生の中からの方がいいわ」


「呼び捨てするってことはそう言う仲ってことじゃない? そうねえ……じゃあ、出産しちゃえ」


「嫌いだから呼び捨てしてるだけなのよ! それなのに


『じゃあ』


には繋がらないし、結婚の先に起こるかもしれない


『出産』


が起こり得る訳はないのね? それに私を狙った悪魔的犯罪者よ? そいつとの間に子供をはらむわけにはいかないでしょ? 絶対にいやよw」


「そこを何とか! いいじゃない? 私と八郎さんは友達なの。で、友達ともう一人の友達が一緒になってくれたらすっごく嬉しいし」


「え? それって私を友達扱いしてくれるのね? それは嬉しい。でも私本人に殺人未遂の罪を犯した男を婿にするなんて……周りから見たらただの変態じゃない。それ以前にそんな危険な奴をこの家に入れる訳にはいかないわ。末代までの恥になるわ」


「ちぇっ」


「何でそんなに必死なのよ!」 


「八郎さんは友達なの。で、友達ともう一人の友達が一緒になってくれたらなんかうれしいし」


「同じこと2回言ってるわ。それに、話が逸れてるわ」


「結婚の話だっけ?」


「違うよ、八郎……君が……あいつは犯罪をしたことがある人間でしょ? そういう人物を思い出した時、今何してるのかを見ることが出来る能力を身に付けたんじゃないかしら? ホテルのオーナーとか白川って人だって犯罪をしていたんでしょ?」


「あ、多分その推理いい線行ってる! いえ! 多分そうだと思う!」 


「まるで閻魔様が地獄で魂を選別する時に使う鏡って感じ? じゃあそうね、そのスキル名


『煉獄写し』


なんてどう?」


「煉獄写し……なかなかのセンスね。そうね。罪を映す鏡。言い得て妙だわ。


『ニンジャ・リバイバル・デリート』


を言った人間とは思えないほどのセンスじゃない!」


「もう忘れて……」


「一生覚えとくわwなんか粋がった瞬間にこれを言ってへこませてやるんだからねw」


「口は禍の門でござる……」


「因みにあの意味とかって考えてあったの? ニンジャ・リバイバル・デリートのさあ」


「秘密でござる」


「やっぱり適当に出てしまった事故だったのねwでも、煉獄写し? 閻魔と長いこと話したからこんな技能が付いたのかなあ?」


「そうよ。さっきちらっと4話の閻魔が自作自演で死んだふりをしているところをズバッとアリサが暴いたところを読んだんだけどその時、アリサを認めていた描写があった気がしたの。その時にアリサに一部力を託したようにも見えたのね?」 


「そこまで分かるの?」


「なめないでよ? 私は数日前までは


『名新聞記者』


だったのよ? 雉を早く書くには読み解く力も強くないとね。これ位当然の技術よ!」

そんな職業はどこさがしてもないんだよ。


「意外とすごいのね。名新聞記者って。でも雉を早く書くって表現はどうなのよ」


「そこは察してよ。同音異義語だし、記事ね」


「大切なあんたの作品を鳥名に変換なんかしちゃ駄目よ」


「ええ、でもまとめて見て思ったけど、やっぱり閻魔大王の浄玻璃鏡みたいじゃない。だからアリサは、浄玻璃鏡の道具の力を……そう、地獄の裁判の鏡の力を、現世で使う術を身につけてしまったのかもね」

やっべえー。このアリサやっべえーよ。


「全く気付かなかったわ。やるわねおばさん! でも今回変だったんだよね」


「ん?」


「あのね、今まではリアルタイムに起こっている様な映像だったんだ。でも八郎さんは日付を言っていたんだけど、事件の直後の日を言っていたんだよね。7月25日って」 


「変ね」


「もしその煉獄写しがあるとするなら、私に見せるべきは最近の八郎さんじゃない?」


「確かに」


「変よね」


「何も大きな出来事が起きていない場合、一番印象的な出来事が起こった中で直近の場面を映し出すんじゃないかしら?」


「え?」


「どうせ最近のシーンだって同じお勤めシーンの繰り返しでしょ? そういう部分は鏡も見せようとはしないみたいね。結論は印象的のシーンの中で最も近い時間の映像を、誰かとの会話の流れでアリサが思い出した瞬間に流すって感じなのよ。気絶させてね」


「そうなのね、大きな動きね。なんとなく納得したわ。でもいちいち気絶させんなよ……面倒ねえ……でも確かに今まで見てきた中で平凡な動きはなかった。全て大きなことをしようとしているシーン


『だけ』


を見せられたような気がする」


「そう? じゃあこの推理も当たらずとも遠からずかもね。でも煉獄写しで見たからあなたが犯人ね? とはならないわねえ」


「そうよね。言いがかりにしか聞こえないよ」


「そろそろお風呂にいこうか」


「あ、そうだった。結構廊下で話し込んじゃったね。じゃあ行こう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アリサは相手のステータスだけでなく、過去の罪を見る力まで身に付けてしまいました。

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