表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完】成金悪役家の当て馬令嬢、追放でいいのにシナリオ改変しすぎて愛されまくる  作者: 杓子ねこ
第一部 第二章 たぶん本編(シナリオ逸脱)編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/56

第53話.後日談

 邪竜の被害は王宮の一部と庭園だけであったものの、その巨大な姿は王都民たちの目撃するところとなり、小さくない混乱を各所で巻き起こしたらしい。

 そうした混乱が事故や事件に発展せずにすんだ背景には、ネインやバイロたちの活躍があったそうだ。

 

 邪竜が現れたとき、ネインは騎士団で訓練の最中だった。当然、未曾有の事態に騎士団は出動を求められる。

 しかしここで問題だったのが、起きている事態に対して明らかに騎士の数が足りないということだった。

 

 突然出現した謎のドラゴンは、王宮へと進撃を開始している。倒さねばならない敵だが、同時に王宮にいる国王や貴族たちを守り、安全な場所へ避難させなければならない。

 そのうえ、王都の騒ぎも鎮めなければならないのだ。

 

 さらには、王太子アルフォンスやその婚約者ルクレシア、ルクレシアの妹シュゼットがすでに邪竜との戦いを開始している、どうやら邪竜の召喚は司祭と秘密裏に通じていた宰相ザカリーの仕業らしい、などという情報も飛び込んできて、さすがの騎士団長も言葉を失ったという。

 そんな騎士団長を説得したのがネインだった。

 

「シュゼットは筆頭宮廷魔導師ウィルフォード様の愛弟子で、ウィルフォード様と同格以上の強さを持っています。我々は王宮と王都の守りに徹しましょう。王都の一部も、オルピュール家と分担できるはずです」

 

 この進言が受け入れられたのは、ネインが闇落ちを回避してまっすぐに訓練に励み、騎士団内でも実力を認められていたからだ。

 

(ネインはシュゼットとも張りあっていたし、そのことが修行にもつながったのね。さすがシュゼットだわ)

 

 主人公は皆にいい影響を与えるのだ、とルクレシアは頷いた。そもそもシュゼットとネインが張りあっていたのはルクレシアを巡ってのことであるということを忘れて。

 

 騎士団から応援要請を受けたゴルディは驚いたが、元より息のかかった地域には自警団を組織させていたこともあり、避難誘導はスムーズに進んだ。

 

 こうして分担が整ったことで、邪竜がアルフォンスとシュゼットによって倒されたというニュースもすぐさま伝わり、王都民たちは夜には自宅で眠ることができたのだった。

 

「というわけで、俺にもご褒美をお願いします」

「うん、まあもう何も言わないわよ」

 

 シュゼットに自慢されたのだというネインからも〝ご褒美のなでなで〟をねだられて、ルクレシアはこれに応えた。

 

「お父様、お母様といっしょに落ち着いて避難しました」と笑顔で報告してくれたメイベルも、たっぷり撫でておいた。

 

 

 そのほかの顛末はといえば。

 

 邪竜に取り込まれていたウィルフォードは、部下を守るためとシュゼットに己の位置を伝えるため、率先して魔力を放出していた。

 

 魔力切れに陥ったウィルフォードはしばらく侯爵家で療養をすることになったが、命に別状はない。

 ウィルフォードが彼の魔力をさしだしていなければ、部下の数人が干からびていただろうという。

 

 自分の頼みで聖廟へ行って巻き込まれたことでもあるし、邪竜に勝てるほど強くシュゼットを育ててくれた恩師でもある。

 見舞いの品を持ってルクレシアは公爵家を訪ねた。

 

「俺を呼び捨てにしていただろう、ルクレシア嬢。聞こえていたぞ」

 

 開口一番、低い声でそう告げられ、天井を見上げる。

 

(帰ろうかしら)

 

 たしかに呼び捨てにした。目の前にいなかったのと、メタい思考が重なったせいで。

 でも緊急事態だったのだからそのくらい許してほしい。

 

「それは申し訳ございません。必死でしたから」

 

 言うだけ言って、ルクレシアは頭を下げると一歩引いた。代わりにルクレシアの後ろで待っていたシュゼットが前に出る。

 一応、貴族らしい序列として姉、妹の順でご挨拶……という建前で、こんなふうに面倒くさいシーンにぶつかったらシュゼットに任せようという思惑である。

 

「師匠! 無事でよかったです……顔色もよくなりましたね」

 

 顔を見せたシュゼットに、ウィルフォードは表情をゆるめた。

 

「情けないところを見せたな。心配かけてすまなかった」

 

(弟子の前では丸いのね……)

 

 ちなみに魔導師団の部下たちに聞いたところ、ウィルフォードは意外といい上司なのだという。自分の庇護下の者たちはかわいがり、そうではない者に冷たい。典型的な〝嫌なやつ〟だ。

 

「わたしこそ、師匠の魔力に気づかなくて……修行不足でした。――ところで」

 

 反省の表情を浮かべていたシュゼットは、ぱっと笑顔になってウィルフォードを見上げた。

 その瞳は無垢な煌めきで輝いている。

 

「邪竜の内部って、どんな感じだったんですか……!?」

「ああ、なかなかできない経験だったぞ。魔力が層になって渦を巻いていると言おうか、あれはクリスタルに蓄積された人々の魔力だったのだろうな。あれだけの種類・量の魔力を留め置けるというのがドラゴンの強さで……」

 

(庇護下の者というより、魔法オタクだからかしら?)

 

 楽しそうに語りあう師弟を眺め、ルクレシアは苦笑した。

 

(さて、これであとは王宮ね)

 

 一度屋敷に戻った ルクレシアは、レイに命じて支度をさせた。

 重大な用件のために王宮にあがるのだから、 ウィルフォードに会うのよりももっとかしこまった格好で行かなければならない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ