30.そして伝説へ
「ここに、今回の功績をたたえ、騎士ダイヤ十字章を授ける」
国王陛下から、勲章を授与されております。
こんにちは、エリーカ・フローレンスです。
快晴の青空の下、大変上空が綺麗になった謁見の間で行われた叙勲式で、ノエール様、セラーナ様、私の3人が特別な十字章をもらいました。
元宰相の首もとい、頭につけていたリングに大量の浄化魔法を叩き込んだ結果、3人の魔力が尽きる寸前で、やっとリングが破損してくれました。
現在は、ハスラー先生が、リングが何だったのか解析中。
本来の魔物であれば倒せば光の粒子になるところ、今回の魔物は消えなかった。
某ヒロインアニメのように敵を倒したら元に戻るなんてことがなかったのだ。
お城がかなーりスプラッターなことになってお掃除が大変だったとか。
ごめん、後先考えないでぶっ飛ばして。
そして、ここ謁見の間からは綺麗な青空が見えるようになりました。
うん、天井がないんだ。全部消し飛ばしてしまった。
最大出力で叩き込みまくったエクスキューショナーは本当に聖属性魔法なのか?という威力でした。ハイ。
「ありがたきお言葉、まことに恐悦至極にございます」
私はそういって、胸元に勲章をつけてもらい騎士の礼をする。
一応騎士団に入ってはいるけれど、私騎士でいいんだろうか?と思いながら。
現在私は、いつものメイド版光の戦士服で出席している。
もう騎士団でも見慣れられた服装ではあるが、一部の兵士の笑顔が若干ひきつっているのが解せぬ。
お父様に頼まれた訓練でぶっ飛ばしすぎただろうか?
授賞式も終わり、私とノエール様は学校へ戻ってきた。
「はぁ疲れたわ。エリーカ今日は軽いもので」
「スープにでもします?」
「えぇ」
私ももう魔力はすっからかんだし動きたくないけど、ノエール様の晩御飯ぐらい用意しないとメイドの名折れなので、がんばる。
「エリーカも疲れてるでしょうけどよろしくね」
ノエール様が優しい声をかけてくれる。
これだから好きなんだよノエール様!
あんたは本当に公爵令嬢かちくしょう!
「そういってもらえるだけで頑張れます。少々お待ちくださいね」
そういって、私は部屋にあるキッチンで簡単なスープを作り始める。
部屋にある食材なんて限られているので、ベーコンやウィンナーを出汁にしておいてある野菜を叩き込むだけの本当に簡単なものだ。
公爵令嬢相手に出すようなものではないが、ノエール様は私が作った料理なら何でも喜んで食べてくれる。
日頃高級なものを食べすぎているせいか、こういう質素なものを好む傾向にあると思う。
ほんと、この人騎士として前線でもやっていけるんじゃないだろうか?
「はぁ温まるわね」
「おいしいですか?」
「えぇ、さすがエリーカね」
「ふふ、おほめにあずかり光栄です」
「ねぇエリーカ。あなたずっと私についてきてくれる?」
「どういう意味でしょう?」
なんだか嫌な予感がしたので身構える。
私への結婚話とかじゃないだろうな…
「私、王家へ嫁ぐことになりましたわ」
ぶほっ、思わず吹き出してしまった。
なんとそっちに転んだのか!
「エリーカ汚いわよ!?」
「ゴホゴホ、お、おめでとうございます」
「まぁパトリック殿下もかなりしっかりしたし、私への負担はそれほどないだろうし、受けることにしたわ」
「そうですかーノエール様が将来王妃ねぇ」
「なによ」
「王子尻に敷きそうですよね」
「否定できないわ」
「で、私にメイドとしてついて来いと」
「いいえ、私の補佐としてついてきなさい」
「は?」
「は?じゃないわよ、私の面倒を見れるのなんて、もうあなたしかいないでしょうが」
「いや、別に私じゃなくても王城ならもっと人もいるでしょ?」
「だめよ、何かあったら前線についてこれるのなんて貴女だけじゃない」
え、なに、私に何をさせようというの。
というか王妃になることになるのに何を考えてるの?
「何を考えてるんだって顔ね、なんかあれば私たちが前線に立つのよ国を守るために」
「うへ」
「なによ」
「魔王が片付いたら世界を見て回ろうかと思っていたので」
「ふーん、まぁそれもいいんじゃない?」
「いいんですか?」
「戻ってくるんでしょ?」
「あぁ戻って来いと」
「当たり前でしょ」
「はーい」
どうやら、しばらくは好きにさせてくれるようだ。
せっかくゲームの世界に転生して魔王も倒して平和になったんだから、いろんな世界を見てみたいと思っていたのだ。
「どうせ、あなたなら一人でどこへ行っても、問題ないでしょう」
「ありがとうございます」
「あ、でも3年以内に戻ってきてね。結婚式するから」
私はずっこけそうになった。
もうきっとノエール様は私を離してくれないだろう。
帰ってこなかったら追ってきそうだ…
まぁそれまでは自由にしてもらえるというのだから、国を出ていろいろなところを見て回ろう。
本の知識だけではない、この世界を見に。
3年後、戻ってきた私は、結果的に王妃付きのメイドという形になった。
まぁその間散々光の戦士として遊べたので良しとしよう。
私もすでに15歳、この国では成人だし、落ち着かねばなるまい。
「は?戦争?」
「そう、隣国にあるガントレイ帝国が先日宣戦布告をしてきたのよ」
「あーあそこかぁ情勢不安だったもんなぁ」
「そうなの?」
「情報入ってません?一昨年から不作続きで、他国の領地を狙ってたんですよあそこ」
「景気が悪いのはしっていたけれど、そんなことになっていたのね」
「情報を意図的に隠しているようでしたからね。で、どうします?」
「いけ!エリーカ」
「わたしは犬じゃないんですよ?!」
帝国戦役と呼ばれたブロッサム王国とガントレイ帝国の戦いは、わずか3日で終わった。
そこには光の戦士と呼ばれる少女がいたという。
ブロッサム王国に現れた光の戦士の伝説は、その後数百年語り継がれた。
なにせ、帝国戦役後も王国が危機に瀕するとき、光の戦士が現れたからだ。
聖属性魔法が使える少女たちへ脈々と受け継がれた秘儀があったといわれている。
それら光の戦士の祖と言われる、エリーカ・フローレンスは、今や聖女と並ぶ人気を誇っている。
だが、戦役後の彼女の行方は不明確な記録しかない。
ノエール王妃の筆頭侍女だったという記録もあれば、戦争の際に死んだとも言われており、なにが正しいのかまともな記録が残っていないのだ。
ただ、彼女が間違いないく実在したことは、光の戦士辞典を見れば明らかである。
王家で保管されている辞典には、新たに生まれる光の戦士たちの記録が続けられており、すでに100名を超えようとしているという。
「なんですかこれ?」
「あんたがいつまでも死なないからでしょ」
「それ、ノエール様もですよね」
私とノエール様は王宮の奥にある離宮でお茶をしている。
すでに、あの戦争から50年は立っているのだが、私の見た目はほとんど変わっていない。
「はぁ、まさか光の戦士としての魔法が、不老だとは思わなかったわ」
「イヤー自分も、いつまでも小さいなぁとは思ってたんですけどね」
「まぁいいわよ、こうしてエリーカと一緒に老後を過ごせてるから」
「これ、老後なんですかねぇ?」
「老後でいいでしょうよ。今じゃ孫までいるのよ私は」
「美魔女の領域じゃないですね」
「私の娘も結果的に光の戦士になったし…いいのかしらうちの軍事力が光の戦士で」
「抑止力にはなっているので、良いのではないでしょうか」
「はぁ貴方と知り合ったのが運の尽きね」
ノエール様はすでに息子さん夫婦に王位を譲っており、この離宮で過ごしておられます。
あまりに見た目が若すぎて、今じゃ母と娘が逆転したといわれる程度には見た目が若いままだ。
で、私は13歳ぐらいから見た目が変わっていない。
そのせいで死んだと思われている程度には、社交界にも顔を出さなくなっている。
いまは、こうしてノエール様と二人、ゆったりと過ごしている。
まさかシナリオを外れた結果、こんなことになるとは思わなかったが、結果的に今が幸せだからまぁいいのかな?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今度はもう少し、ダークな作品を買いたいなぁと思っております。
また次回作が始まりましたらお楽しみいただければと思います。
今度は剣も魔法もない世界を書きたいなぁ~




