29.叩きのめさなきゃ!
到着した王城は、混乱でごった返していた。
すでに騎士団の編成作業は終わっているようだけど、どう見ても王城に突入しようとしている。
まさか王城内で復活したのだろうか?
ノエール様の後についていくと、ブロッサム公爵と国王陛下がいらっしゃった。
「よく来てくれた、エリーカ嬢を連れてきてくれたか?」
「はい、こちらにおりますよ」
私はそうして国王陛下へ紹介されてしまう。
「エリーカ・フローレンスと申します」
「君が、フローレンス嬢か。うわさは聞いている」
「早速だが、状況を説明する。エリーカ嬢にはぜひ協力いただきたい」
まぁそのつもりで来たので問題ない。
私が頷くと、公爵様が説明をしてくださった。
一刻前、幽閉されていたブラッドレイ侯爵が脱走。
それと同時に、闇魔法が王城内で展開された。
「私は人間をやめるぞ!!」と叫んでいたらしい。
何処の吸血鬼だ。
そのうち時間を停めたりしないだろうな…
で、どうやら本当に人間をやめてしまったらしく、異形の魔物と化してしまったらしい。
今は王城内の謁見の間で落ち着いているようだが、その間に守備隊にだいぶ犠牲者が出たとのこと。
えぇ、城内スプラッターなのかしら…
で、討伐のための騎士団を編成してはいるが、室内戦闘が苦手な騎士団では倒せないのではないか?ということで、私たちが呼ばれたとのこと。
「というわけで、エリーカ嬢とノエールにも手助けをしてもらいたい。セラーナ嬢!」
なんか懐かしい名前を聞いたぞ。
後ろを振り向くと、騎士服を改造して動きやすくしているセラーナ様がいらっしゃった。
「久しぶりねエリーカ」
「お久しぶりですセラーナ様」
「あなたのおかげで、今では少佐にまで位が上がったのよ」
なんだよ、お父様を越えちゃってるじゃない。
「それは、おめでとうございます」
「全部エリーカのおかげよ。今回の魔王討伐の指揮は私が取るけど良いかしら?」
「「はい、お任せします」」
私とノエール様が同時に返事をする。
今回、大人数で王城内へ突入しても無駄ということから、私たち3人で血路を開いて、騎士団員には王城内に発生している魔物を討伐、私たちが魔王を撃破することになった。
「いやー、セラーナ少佐ですか」
「むしろ、エリーカちゃんがいまだに伍長なのはなんで?」
「仮押さえされてるだけなので、騎士団に入る気はなかったのです」
「なんじゃそりゃ」
「あなたたち、なんでこんな状況で、和やかに会話してるのよ」
ちなみに私たち3人は光の戦士服に着替えてお城へ突入し、魔物をぶっ飛ばしながら進んでいる。
ノエール様とセラーナ様は剣をつかって、私は武器を使わずに殴り飛ばしている。
最初から、倒すことを目的としているので、血しぶき対策もばっちりだ。
原形をとどめることを考慮しないでぶん殴っているので、お城の廊下が大変なことになっているが知らない。
きっと魔王を倒せば消えてくれる。
うん、大丈夫。
最初はそれほど高レベルの魔物は出てこなかったが、階を上がるごとに魔物のレベルが上がってきている気がする。
最初はゴブリンやオークだったのが、今はキングオークあたりも出てきているし、肉体言語が通じないスライムなんかも沸いている。
あと2~3階ほど登らないと謁見の間につかないので、倒すのが面倒くさいスライムは放置の方向で。
アイツら魔法じゃないと倒せないので、私の戦い方と合わない。
別属性として火魔法を使ってもよいが魔力の無駄遣いである。
「結構きつくなってきたわ」
「セラーナ様、魔力残量あります?」
「これ以上、上に行ける気しないわ」
「じゃあ無理せず戻ってください。前線で倒れられると大変です」
「そうは言っても…」
「エリーカ、あなたの魔力回復ドリンク分けてあげなさいよ」
「えー」
「えーじゃない。戦力は多いほうがいいでしょうが」
「でもエクスキューショナーを乱発できなくなっちゃう」
「あなたお城壊す気なの!?」
「魔王倒すのと、お城が壊れるの、どっちが優先ですか!」
そんなじゃれあい?をしながら階をのぼっていく。
目の前には大きな扉。
ついに、謁見の間前についたらしい。
私は勢いよく扉を開ける。
あ、蝶番壊れたかも…
「だれだ、わたしをじゃまするやつは」
そこには、元宰相だった者がいた。
一応喋れるらしいが、見た目的には顔のある黒っぽいナメクジ。
ブクブクにふくれあがっていて、某大昔が題材の宇宙戦争映画にでてくるナメクジのような状態だ。
本当に人間をやめているとは。
「えぇ、気持ち悪い。本当に人間やめたんですね。勘弁してもらえます?」
私はエクスキューショナーを乱発する。
部屋が壊れることなど知ったことか、こいつを倒せば平和になるんだ。
「ぐああああ!!!ちょっとまて、なんか会話とかあるだろう!!」
「知りませんよ!さっさと消えてなくなれ!エクスキューショナー!」
10発ほどエクスキューショナーを叩き込んむと、だんだんと宰相が小さくなって人型に戻ってきた。
私は魔力回復用のポーションを呷る。
これ高いんだ…金貨100枚もするんだもん。討伐任務10回分のお金が飛んでいくが、そうも言ってられない。
さらに5発ほどエクスキューショナーを叩き込んだところで、宰相が完全に人型に戻る。
その頭には、リングが嵌っており、私はそれを見てピンとくる。
あれが魔王復活のためのアイテムだと。
「ノエール様、もう何発かエクスキューショナーを叩き込みますので、宰相の頭のリングを奪い取れませんか?」
「あぁお城が…はっ!あのリングを奪い取ればいいのね?」
「はい、宰相が人間を捨てたアイテムのはずです」
「わかったわ」
「可能なら、全力で浄化の魔法を使ってください。下手をするとノエール様が乗っ取られますよ」
「えぇ…」
そういいながら、私はさらにエクスキューショナーを叩き込む。
ノエール様が全力でダッシュして、宰相の首を狙う。
え、首を狙ってる?!
あっという間の出来事だった。
私のエクスキューショナーの間を抜けて、ノエール様が剣を一振り、目にもとまらぬ速度で振られた剣からはすごい音がした。
そして、ボトリと宰相の首は落ちた。
あふれ出ていた黒い靄もとまり、首が落ちた後に発動していたエクスキューショナーの直撃を受けた宰相の身体は消滅した。
ノエール様が全力で首に浄化の魔法をかけているので、私も駆け寄り、一緒に浄化の魔法をかける。
まさか生首を浄化することになるとは…
「エリーカ、このリングまだ黒い靄が出るわ!」
「でなくなるまで浄化魔法を叩き込むんです!」
「私も手伝うわ!」
セラーナ様も手伝ってくれて、三人で延々と浄化の魔法をかけ続ける。
「状況はどうなった!!」
あ、お父様たちが突入してきた。
城内の魔物も片付いたのだろう。
「今浄化中です!」
「手伝えることは?」
「魔力が切れそうなのでポーションと、他に聖属性魔法が使える人を呼んできてください」
なんか、壊れた蛇口を抑えているような状態だ。
全然止まらないぞこれ。
次回最終回(予定)です




