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Gift  作者: 如月双
Phase.5 Progressed編
72/77

Phase.5-22

最近忙しく、書く時間が取れませんでした。


それはさて置き、おまたせして申し訳ありません。


待っていた人がいるのか、わかりませんが…


いたら嬉しく思います。


「お前は何なんだよ?」


 圧倒的な実力差にそんなつまらないことを呟く。

 何者でもなく、人間の形をした何かだと言うことは理解できているが、それでも口に出さずにはいられなかなった。


「解答はもう出してるぞ。

 お前はサラッと流したみたいだが、オレはお前よりも次元の高い人間と言えば良いのか?

 とは言っても、オレもそこまで頭が良い訳じゃないから確かなことは言えない。

 仮にお前がn次元(n>0)の人間であるとすると、オレは最低でもn+1次元の人間だと言うことだ。

 で、次元の高い存在が、次元の低い存在に干渉することは普通は出来ない。

 だからこそ、最初の方でお前と会話するのに少々手間取った。

 次元を落としてるから、実力そのものはかなり下がっている。

 それでも、今のお前を捻るのは簡単だが」


 鏡介は魔導に関する知識は合っても、そこまで頭が良い訳でなく、男の言っている言葉の意味をきちんと理解していなかった。

 分かっているのはあくまで実力差だけ。

 圧倒的な実力差。

 どんなに努力しても、届くことのない境地に男が立っている。

 それを羨ましくも、届かないと分かりきっている自分がいる。


「何だ?

 まだなにかあるのか?」


 一度だけ自分の死を回避すると言うのは有難いのか、それとも迷惑なのか。


「どうしても、生きたいのあれば、オレの名前を呼べば良い。

 それが出来たら、力を貸してやる。

 だが、結果は最悪なものにしかならない。

 その最悪な方法を取ったが故に、オレはこうなったんだから。

 取り敢えず、一旦ここでの記憶は消させてもらうが」


 で、肝心のオレの名前は…

 

 ◇


「嘘…」


 彼が貫かれる姿が栞の網膜に焼き付き、脳裏で何度も再生される。

 それを否定したくても、焼き付いた光景が離れてくれない。

 隣に立つ女性は、感情のない瞳で銃口を彼を貫いた男に向けて引き金を絞ろうと指に掛けている。


 しかし。












 ◇








 引き金を引く前に、何故だか、嫌なイメージが浮かぶ。

 反射的にその場を離れると、自身を貫くはずだった巨大な光の柱が通り過ぎる。


 ◇


 次の瞬間。


 彼の姿が忽然と消え、その姿が別の場所で現れる。

 瞬間移動したかのような動きに、男は目を丸くする。

 回避するには遅過ぎた行動だった。

 そして確かに、鏡介を貫いたはずの自身の魔導。

 だが、彼は確かに生きている。

 そして傷を負っているものの、生きている。

 先程まで即死状態の姿ではなく、五体満足の彼の姿。


 ◇


「え…」


 どういうことなのか。

 彼の姿が消えたと思ったら、別の場所に現れた。

 凛の知る限り、彼が消えたように動くには、今の状態では無理な話だった。

 恐らく、今の彼はCT間の同期(シンクロ)による、魔導行使のはず。

 その状態でのAccelであっても、あくまで、姿は残像として残ってしまう。

 それに、使えたとしても、CTへの負担が大きい為に、それに切り替えれば魔導の使用に制限時間が生まれてしまう。

 そこまでしなければ倒せない相手でも、ここぞと言う時に使うのが彼だと彼女は思う。


 ◇


 違和感。

 何故自分が生きているのかが分からない。

 自分の中では悪手を取ったことで、死ぬことが当たり前になっていたはず。

 しかし、結果は、生存。

 どうして助かったのか。

 迫り来る光線。

 身体の一部を押し出され、熱量で身体が焼かれていく中、外界の温度が急速に寒く感じられた。

 にもかかわらず、自分は生きている。

 そう、生きているのだ。

 理由は分からない。

 いつ攻撃を避けたのかも分からないのだ。

 正直気味が悪い。


 凛の銃口が下がった。

 彼女の威圧感が下がったことからそう思う。

 自分でやれということだろうか。

 彼は自分を目的としているらしいので、自分がやらなければならない。

 とすれば、もう、手段は選ばない方がいいのかもしれない。

 後ろの二人が死なないようにすれば、いいのだから。

  

誤字脱字がありましたら、ご連絡下さい。


読んでくださり有難う御座います。

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