Phase.5-14
書いていて、章を分けた方がいいのではないかと思いましたが、
どこで切るかを考えましたが、このままで行くことにします。
吉と出るか凶と出るか。
恐らくは凶でしょうが……
スーツ姿の女性は目の前にいる迷彩服を気にする様子さえ感じられない。
むしろ、視界に入っているものの、見て見ぬフリをしているようにも思える。
「これは操られれいると良いのかな?」
操られているのであれば、彼らから生気に溢れて過ぎていることはない。
ただ、操られていないのであれば、彼らは自分の意志で行動を起こしているということになる。
とは言え、そうなるように、唆されたと言えるのかもしれない。
「軍人が、一般人に武力を向けるのは決まってクズだけなんだよね。
だけど、私は一般人じゃないから、武力に関しては同じ事をするだけだ」
懐から取り出したのは明らかに、人を殺すことを目的に作られた得物。
懐から出てきたとは思えない、大きさの大型拳銃。
その見た目が明らかに軍用のものであることを栞は認識していた。
武器型CTであるなら、自分が動けなくなる程の威圧感を覚えることはない。
「何かを勘違いしているけど、これが私のCTよ。
前に使っていたものを流用しているからそう見えるだけで」
瞬きを一つすると、引き金を引いた。
光が走る。
ただ、それだけ。
閃光が収まれば、残るのは一条の焼け焦げたアスファルトの線。
そこに立つ者はいない。
線の先を視線で追っても、人一人転がっていない。
「軍用魔導じゃなくても、人を殺すには一般魔導でも十分なんだよ、君」
そう言い、銃口を下ろし、懐に仕舞う。
栞に向かって歩いてくるが、無意識に足が後ろに下る。
今彼女が行った事は自分を助けてくれたというのに、何故自分は怖がっているのか。
どうして、彼女を怖いと思わなければならないのか。
バランスを崩し、尻餅をついた時には彼女の手は自分自身を立ち上がらせる為に手を差し出している。
とても、人を殺したとは思えない程、綺麗な手のひら。
恐る恐るその手を取ると、同じ女性とは思えない程、豪快に体を持ち上げられる。
確かに、人を殺すのに魔導は十分過ぎる。
むしろ、魔導を使わなくても己の体さえあれば、十分なのだ。
「……あ、あの、その助けてくれれてありがとうございます」
「別にあなたを助けるつもりはなかったわよ。
あくまで自分の命を守る為よ。
つまり、ただの偶然の産物。
まあ、人を殺す覚悟も殺される覚悟も出来ない奴は…」
凛が顔を上げると、視線の先に大陸弾道ミサイルと何ら変わらない大きさの今時珍しい質量兵器。
魔導を伴った世界では徐々に活動の場を失いつつあるそれらの兵器が何故この場所に飛んでくるのか。
「あの場所でも使われなかった骨董品を持ち出してくるとはね。
相当資金に余裕があるんだろうね」
だけど。
その程度でどうにか出来る程彼女の実力は低いものではない。
再度、空に光の柱が立ち昇る。
輝くその光が収まるとやはり、地面に落ちてくる物体は太陽の光とそれに包まれて組み合わされる光の梯子。
「こんなものかな」
今度は経過しして懐にCTを仕舞うことはしない。
「わたしはこれで」
こんなところで呆けている場合ではないと、自分が先程まで行なっていた事を思い出し、彼女の真横を通り抜ける。
魔導の起動。
一度体勢を低く、前に飛び出そうとした瞬間。
待ちなさいという声に驚き、そのまま、地面を転がってしまう。
「この先には行けないわよ。
さっきので人が集まってきてるから。
それに、軍人だって馬鹿じゃない。
二発である程度の防御策を講じていると思うし、覚悟のない小娘はここで逃げるのが、限りなく正しい選択よ」
それでも行かないとならない理由でもあるの?
最後に付け足した彼女の声色は重く、冷たい。
覚悟のない者、覚悟も持てない者、覚悟が出来ない者は先には進ませないという色を含んでいる。
確かに、自分には覚悟のない、持てない、出来ないの三拍子が揃っているのかもしれない。
だけど、今の自分はこの先で闘っているであろう、白銀 鏡介の彼女なのだ。
近付き、隣に並ぶことは出来なくても、彼の立つ場所が自分の見える位置でありたいのだ。
そんな決意に満ちた視線を捉え、凛は無手の左手で頭を掻く。
溜息を吐き、銃口を栞の方へ向け、瞬きを一つしてから引き金を引いた。
誤字脱字がありましたらご連絡下さい。
読んで下さり有り難う御座います。




