Phase.5-15
連日投稿です。
ストックが無くなるのは辛いですが…
無意識に目を閉じてしまう。
剣術の練習中でさえ目を閉じたのは習い始めた当初だけだと言うのに。
それはやはり、自分自身が死ぬという現象を身体が認めてしまい、それを見たくないと起こした行動なのか。
目を瞑っていても突き刺さる激しい閃光。
それでも。
痛みを感じないのは、自分自身が痛みを感じない程速く、先程の軍人の用に消滅してしまったからなのか、では何故今自分はそのようなことを思考出来ているのだろうか?
もしかしたら、ここは死後の世界で死んだということを自覚しろと言うことなのだろうか?
恐る恐る目を開けると、銃口をこちらに向けた女性が立っている。
引き金に手を掛けているが、それを引いたのか引いていないのか、まではここからでは判断出来ない。
視線を真横に動かしてみれば、影が地面に焼き付いていることからこの女性は引き金を引いたのだろう。
立ち位置がズレていれば自分はこの世からチリ一つ残さずに、文字通り消えていたのかもしれない。
運が良かったのか、それとも、目の前の女性が自分を生かす為にそうしたのか、表情のない顔では分からない。
「私の側を離れないと約束するなら付いて来ても良い。
離れたら、その後の事は知らない。
それでいい?」
有無を言わせない確認の言葉にただ頷く事しか出来ず、走りだした女性の後を追いかける。
◇
周囲の確認をしながらの移動の為、点から点へと渡っていく。
元々は敵に進ませない様に周囲を監視して、ネズミ一匹を通さない布陣の中を簡単に進んでいく。
栞は敵を掻い潜って進むゲームをしているような気分さえ感じてしまう。
そう言ったゲームはプレイヤーが先へと進める様に作っている。
だが、今は進ませない為の場所を進んでいる。
軍用のCTに触れて緊張感を作り出している軍人を嘲笑うかのように進むこの女性は一体何者なのだろうか。
近くで見てみればどこかで見たことがあるような気がしてならない。
しかし、このような美人を見ていれば、恐らくは忘れないはず。
ならば、この女性を見た時に、外の人に意識が行っていたということなのか。
とすれば。
「貴女は誰の所に行きたいの?」
しばらく進めないと判断したのか、女性は栞に話しかけてきた。
こちらに顔を向けていないのは、監視する者を観察しているからだと思われる。
「……その、か、彼氏です……」
見ず知らずの他人にそんなことを言うのが物凄く恥ずかしく語尾の方が声のトーンが下がってしまう。
「彼氏ねぇ……
その彼に命を賭ける程の価値はあるのかしら」
「…………」
そう言われると自信を無くしてしまう。
正直言えば、怖い。
自分が死ぬと思うと怖くて怖くてしょうがない。
だけど、何もせずに、ただ彼の帰りを待っているのはもっと嫌だった。
側にいたいのだ。
ただ、それだけだった。
志半ばで死にたくはないが、どうせ死ぬのであれば、彼の姿を確認してから死にたい。
「分からないわね。
価値は無くとも、動かずにはいられないなんて。
死んでしまっては元もこうもないでしょ」
確かにそうだ。
死んでしまえば意味が無い。
彼は死にかけの生徒会長を何故か、自分達の元に連れて来た。
そして、また来た道を戻っていった。
この状況下では自分が死ぬかもしれないのに、彼は行ったのだ。
そして、この女性がいる。
この人の側にいれば、自分が死ぬ確率も大きく下がると思える何かがある。
「それでもわたしは、鏡介君の側に居たい」
女性は彼の名前を聞くと、驚いた顔をしてこちらを振り向いた。
「貴女が鏡介の彼女?」
声が震えている。
それ程までに女性を動揺させる衝撃を与えるものだったのだろうかと、栞は冷静に考えてみると、一つの可能性が生まれた。
「……鏡介君のご家族の方ですか?」
「まぁ、一応そういうことになるのかな?
私は天野 凛。
鏡介の姉の様な関係かな」
誤字脱字がありましたらご連絡下さい。
読んで下さり有り難う御座います。




