01-01.異世界転生
もし異世界に転生することがあったなら。
皆は何を一番に望むのかしら?
ハーレム? チート? スローライフ?
それとも敢えての追放? 悪役令嬢なんかも悪くない♪
どれも結構♪ 皆の夢の数だけ物語があるものよね♪
私? 私はもちろん決まっているわ♪
きっと皆も大好きなやつよ♪ そうに決まっているわ♪
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目覚めたら異世界でした。そんな夢を幾度見続けてきたことだろう。私の前世はいつもそんな調子だった。だからなのかもしれない。神様は案外と見ていたのかもしれない。
「しぁーないてんしょー!」
「え?」
遂にこのセリフを口にする機会が訪れた。
これは異世界ものと関係ない?
い~んだよ♪ 細けえことは♪
そんなことよりもだぜ♪
「めいおー♪」
ありゃ?
「まあ! まあまあまあまあまあ! 奥様! 奥様ぁー! お嬢様が! お嬢様がー!!」
あれ? メイドさん行っちゃった。
……うん? 動けない?
まいべいべー?
間違えた。あいあむべいびー?
赤ちゃんからかぁ……良いじゃん♪ 最高じゃだね♪
メイドさんはすぐに戻ってきた。
新キャラの美人さんも一緒だ。ママンかな?
「まぁま!」
「まあ! 本当に喋ってる! ユキノの言う通りだわ♪」
正解♪
「凄いです奥様♪ クー様はまだ二ヶ月なのに♪」
えっへっへ♪ 褒められちった♪
「クーフェリア♪ ああ♪ 賢い子ね♪ きっと私に似たのよね♪」
あはは♪ 愉快なママン♪
「まぁ~ま~♪」
「は~い~♪」
「ゆ~の~♪」
「ユキノって! 奥様! 今ユキノって!」
「言ったわね♪ 本当に賢いわね♪」
「そうですよ! 普通ならもう半年はかかるのに!」
……あら? そうなの? やらかした?
「「クーちゃ~ん♪」」
まいっか♪ 喜んでくれてるし♪
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「待ってくださ~い! クー様ぁ~!」
「あはは~♪ ゆーのー♪ は~あ~く~♪」
一年が経つ頃には屋敷や庭を走り回っていた。
皆クーちゃん様の愛らしさにメロメロだぜぃ♪
最初は訝しむ者たちもいないことはなかったけれど、いつの間にか皆気にしなくなっていた。というかちょっと減ってない? 気の所為?
「捕まえました♪」
「あはは~♪ ちゅかまた~♪」
ユキノは毎日遊んでくれた。この子は私の専属メイドさんだ♪ 私はすっかりユキノのことが大好きになった♪
ママはお仕事で忙しいのか、最近あんまり会えていない。
寂しいけど我慢だ我慢。どうやら私にパパはいないみたいだし。なんでだろ? 気にはなるけど、そこは流石に空気を読んだぜ。赤ちゃんなのに偉いでしょ♪
なんて思ってもいたけれど、ひょんなことで父の情報が明かされた。
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「クーフェリア殿下! クーフェリア殿下!」
苦手なお爺ちゃんがやってきた。私を殿下と呼ぶ面倒なお爺ちゃんだ。
そう。私はお姫様だったのだ♪ つまりパパは王様だ♪
「クーフェリア殿下! やぁっと見つけましたぞ!」
ちっ。捕まった。
もうちょっとユキノみたいに加減してほしいよね。魔力まで使って全力で追いかけてくるんだもんなぁ。
「今日こそ陛下の下へ!」
「なりません!」
やった♪ ユキノが助けに来てくれたぁ♪
「奥様の許可を頂いてから出直してくださいませ!!」
ユキノは私をお爺さんの腕から奪い返し、ピシャリと言い放った。
「しかし!」
「奥様を実家に戻されたのは陛下です! 今更何の用があるというのですか!」
どうやらママは、産んだのが娘だったからという理由で実家に帰されてしまったそうな。前にメイドたちが噂してた。
そのメイドさんたちはいつの間にか姿を消していた。たぶん実家に帰ったのだろう。きっとそうだ。うんうん。
既に陛下には十人くらい伴侶がいたらしい。けれど城の中っていうのは、王子を産んだ者にしか居場所が無いのだそうだ。少なくともこの国ではね。これも噂で聞いた話だ。
そして陛下も噂を聞きつけた。
そう! 天才美幼女クーちゃんの噂を!
王様は今になって私を取り戻すことにしたようだ。自分で捨てたのに勝手だよね。そんな奴はパパなんて呼んでやるものか。ぷんすか! ぷんすか!
「お引き取りを!!」
ユキノの有無を言わさぬ強い口調に、お爺ちゃんはすごすごと引き返していった。いつものように。また明日も来るんだろうなぁ。大変だねぇ。我儘な主を持つとさ。
「あーがと♪ ゆーのー♪」
くらえ♪ スリスリ攻撃だぁ♪
「クー様ぁ~♪」
ふっふっふ♪ ユキノが喜ぶことなんてお見通しだぜ♪
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二歳になった♪
私は相変わらず駆け回っている。
どこへ行くのもユキノが一緒だ♪
「クー様。これから魔術をお教えします」
「やっ~~~~~~たぁ~~~~~!!!」
「落ち着いてください。クー様」
「はい! せんせー!」
「良い子ですね♪ では早速始めて参りましょう♪」
「は~い!!」
一時間後……。
「ね~え~」
「どこかわかりませんでしたか?」
「まじゅちゅ~」
「?」
「ちゅかう~」
「使えませんよ。今のクー様には」
「え~」
「そうですね。先にそちらをご説明しましょう」
ふむふむ。
「先ず前提として、実際に魔術を使用出来るのは十五歳になってからなのです」
なん……だと……。
「洗礼の儀式を経て、魔力を授かる必要があります」
……無いの? 魔力。今の私には。
「な~んで~?」
「神がそのように定めたのです」
ぶーぶー。
「ふふふ♪ そんな顔をしても可愛いですね♪ クー様♪」
気に入った? なら♪ ぷくぅ~♪
「あはは♪ クー様♪ お話を進めますね♪」
「おねが~♪」
「はい♪」
その後も魔術の授業は続いていった。
二歳児にぶっ続けで五時間以上も授業受けさせる辺り、実はユキノってスパルタなのかもしれない。
しかも内容は全部座学。知識だけ詰め込んでも、肝心の魔力を持っていないのだ。なんたる生殺し。
それでもユキノが教えてくれることだから楽しめる。それにユキノは、私に自分の魔力を流してくれた。魔力初体験♪
「素晴らしいです♪ クー様♪ もう魔力を感じ取れているのですね♪ クー様にはいつも驚かされてしまいますね♪」
ふっふ~ん♪ 転生者だからね♪ 天才児だからね♪
なにより、ユキノの教え方が上手なんだぜぃ♪ お陰で文字もすぐ覚えられたもん♪ ユキノ様々だぁ♪
それはそれとして、やっぱり魔術は早く使えるようになりたいなぁ♪ 異世界転生っていったらやっぱり魔術だよね♪
私の一番やりたかったこと。それに魔術は必要不可欠だ♪
クーちゃん様の益々の成長に乞うご期待♪




