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「おー陸ー。また会ったな」

前から歩いて来ていた闇鴉さんは、お互いの顔が認識できる距離までくると片手を上げてそう言った。彼女の一歩後ろをついている夜雀さんが小さく頭を下げる。

「今から仕事か?」

「はい。寿等華さんもですか」

「おう、これからこいつと今夜の下見だ!」

闇鴉さんは夜雀さんの肩にガッと腕を回すと、ニカッと笑った。相変わらずもったいない笑い方をする。夜雀さんは夜雀さんで、いつもの無表情で大人しく肩を抱かれていた。

「そのうち朱雀店に行くからよ、レンにそう言っといてくれ」

「はい」

「よーし、じゃあ雀、行くか」

闇鴉さんの言葉に夜雀さんは「はい」と淡々と返した。入院中護衛をしてもらっていた時もほとんど全く彼女の声を聞かなかったが、無口なのは元かららしい。師である闇鴉さんに対しても言葉少ないようだ。

「んじゃな、陸。そっちも仕事頑張れよ!」

「ありがとうございます」

闇鴉さんが大きな動きで手を振り、夜雀さんが先程とほとんど同じ動作で頭を下げる。二人はまた微妙に一列になりながら歩いて行った。夜雀さんは師の真横には立たないらしい。

僕は夜雀さんの背中を見ながら思った。あんなに無口で、生活は不便でないのだろうか。




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