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僕が顔を上げた時、目の前の鳥山さんは隣の友人に拳を振り下ろした所だった。突然の出来事に僕は思わずその様子を凝視してしまう。目の前を鳥山さんが歩いていたこと自体驚きだが、それは彼女の方も同じだったようだ。

「暴力はいけない暴力は……って、どうした?麗雷」

殴られた友人は、冗談交じりの泣き顔をキョトンとしたものに変えた。どうやら鳥山さんはたいして仲は良くないが顔見知りの僕に素の自分を見られて動揺しているらしい。確かに鳥山さんとは顔見知りだが、たいして仲は良くないので僕は全く気にしていないのだが。そんなことよりも普段あまり朱雀店の近くに来ない鳥山さんがこんな所に何の用だろう。

「ん?知り合い?」

「いや、違うの!違うっていうか、何ていうか!」

後ろの僕の存在に友人が気付くが、鳥山さんは頭と両手をぶんぶん振りながら友人の言葉を否定した。しかし僕と目が合ってすぐにバツの悪そうな顔をする。

思わず足を止めた彼女らを、足を止めなかった僕が追い越す。すれ違い様、鳥山さんが慌てたように声をかけてきた。

「あの、違うのよ、ちょっと驚いただけで」

「何を気にしてるのかわからないけど大丈夫だよ。仕事の知り合いなだけで別に僕ら友達じゃないし」

鳥山さんは知り合いである僕の事を弾みで知り合いでないと言ってしまったのを気にしてる……のだと思うのだが。僕は百パーセントの本心を返して、そのまま足を進めた。

背後で鳥山さんが何やら捲し立てる声がするが、おそらく仕事のことを聞かれて適当に誤魔化しているのだろう。




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