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「店長なら今いませんよ」
そう声をかけると、その背中は振り返った。引き戸を半分だけ開けて店の中を覗いていた陸男さんは、僕の姿を認めて表情を柔らかくする。
「どこ行ったかわかるか?」
「たぶん大阪です。常連さんのところ」
「ああ、そういやそんなこと言ってたような気もする」
陸男さんは「しまったなぁ」と呟きながら頭を掻いた。
「まぁいいや。どうせ帰ってくるの夜なんだろ」
僕が頷くと、陸男さんは手にしていたA4サイズの封筒を差し出した。とりあえず受け取ることにする。
「それ蓮太郎に渡しといてくれ。で、帰ったら俺に電話かけるように言っといてくれねーか?」
「わかりました」
陸男さんは僕に礼を言うと、店先に停めていたバイクへ向かった。彼はヘルメットを被ると僕に向けて軽く片手を上げ、走り去って行った。
僕は店に入り、店内を突っ切り裏の自室へ向かった。陸男さんから預かった封筒を資料の山のてっぺんに放り投げる。店長が帰って来たら忘れずに渡さなければならない。




