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風が強かった。天気予報によると、台風が上陸しているらしい。雨はもうほとんど降ってはいないのだが、とにかく風が強い。
僕はほとんど進んでいなかった自転車から降りて、それを押し始めた。そちらの方がペダルを漕ぐより遥かに速い。
ビュウビュウと強い風が、アスファルトの上のビニール袋やチラシを煽っている。それらのゴミは一度着地したと思ったら、再び大きく舞い上がった。街路樹が今にも倒れそうにギシギシという悲鳴を上げている。
スマートフォンで時刻を確認したかったが、この風の中片手で自転車を押すのは酷く難しかった。まぁ、学校自体はいつもの時刻に出たのである。おそらく現在は四時前だろう。
僕は駅の方に視線を向けた。電車は辛うじて動いているようだ。荒木さんが帰ってくるまで止まらなければいいが。
轟音と共に一際強い風が吹く。足元に骨が折れたビニール傘が転がってきた。僕は間一髪でそれを躱す。
風が本当に強い。僕は再び駅を見やった。電車はまだ動いていた。




