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カチャカチャと聞きなれない音に顔を上げた。それは前方を歩く下級生が腰に提げた日本刀が発しているものだった。

滋賀県の都会でも田舎でもないこの市のこの高校の廊下を、刀を提げた女子生徒が歩いている。普通の人なら驚くところだろうが、この高校に通う生徒にとっては常識だ。彼女は二年生の北野玲那だ。この高校のちょっとした有名人である。

しかし、顔を上げた僕は少し意外に思った。北野さんの隣を連れ立って歩く女子生徒がいるのだ。僕の前方三メートルの位置で、二人はお喋りをしながら歩いている。

僕は驚いていた。北野さんのことは噂によく聞くし、それに僕は彼女と一度会話をしたことがある。僕やその他大勢の知識だと、彼女は確か一匹狼だったはずだ。

僕は二人の会話に耳を傾けてみた。なんてことは無い、現在行われている期末考査の話だ。主に隣の女子生徒が話していて、北野さんは聞き役に回っている。

北野さんは相変わらず難しそうな顔で、「うん」や「ああ」と相槌を打つだけだ。それでも何となく感じる。彼女がその会話を楽しんでいることを。

僕は不思議に思った。僕と北野さんは何の関係もない赤の他人であるはずなのに、何故そんな風に感じるのか。何故少し寂しく思っているのか。

僕はそっと手元のスマートフォンに視線を戻した。



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