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背後のドアが開く音に、僕は顔を上げた。振り返ると、店長が手を離したドアが独りでに閉まっているところだった。
「ノックしてくださいっていつも言ってるじゃないですか」
「ごめん忘れてた」
全く悪びれていない表情で謝罪しながら、店長は僕の真横に積んであった資料の山に腰掛けた。山は少しぐらついたが、思いの外立派に店長の体重を支えた。
「何か用ですか」
「花音がすぐそこまで来てる」
「またですか」
僕はいったん視線をディスプレイに戻し、再び店長に向けてから口を開いた。
「店番するの嫌ですよ」
「そこをなんとか」
「僕には関係ないことですし」
「リッ君がいればすぐ帰るじゃん」
僕がその言葉を無視すると、店長は続けて口を開いた。
「わかった、今度の黄龍行きリッ君に任せるから」
「十秒で追い払ってきます」
僕が椅子から立ち上がったのと同時に、凄まじいまでの引き戸を開ける騒音と、甲高い「蓮太郎さぁああん」という声が聞こえてきた。僕は肩でため息をつくと、早足で店へ向かった。




