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僕は唐突にスマートフォンを片付けた。斜め左前に座っていた店長がこちらに顔を向ける。
「どうしたのリッ君」
「充電がなくなりそうなので」
授業中も迷い犬の情報集めをしていたせいか、充電の残りがあと十五パーセントしかない。しかも職場の自室に置いてある充電器は昨日から接触が悪くなくっていて使い物にならない。
「たしか雅美ちゃんもeuじゃなかったっけ」
店長の言葉に、カウンターの荒木さんが「呼びました?」と顔を出した。
「リッ君に充電器貸してあげてくれない?」
「いいですよ。モバイルバッテリーでよければ」
荒木さんはカウンターでごそごそやると、スマホと同じくらいの大きさの重たそうなモバイルバッテリーを持ってきた。古そうな型の割にはきれいなので、あまり使用機会がないのだろうと予想する。
「ありがとう」
「いいよ。いざという時のために持ってるやつだし、たぶん今がそのいざという時だよね」
荒木さんは何でもないように微笑むと、カウンターへ引き返した。僕は借りたバッテリーをさっそくスマートフォンに接続した。




