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「あっ!瀬川君!その犬捕まえてー!」

荒木さんに似た声だと思って振り返ったところで、僕の真横を茶色い犬がものすごいスピードで駆け抜けて行った。僕は首をそちらに向け、みるみる豆粒のようなサイズになってゆく犬の背中を見送った。

少し遅れて僕のところまで追い付いた荒木さんは、ぜーぜー呼吸をしながら膝に手をついた。

「あの、あの犬っ、この間の……っ」

「ああ、小森さんの犬が。どおりで見覚えがあると思った」

呼吸の隙間で何とか行われる荒木さんの報告を、僕はかなり正確に受け取った。あの犬は一昨日舞い込んだペット探しの依頼の犬だ。

「もー!いいとこまで追い詰めたのにー!」

荒木さんは虫取り網を握りしめながら悔しそうに唸った。

「店についたら僕も手伝うよ」

「うん……ありがとう。店長相変わらず何もしてくれなくてさ」

荒木さんはそう言ってため息をついた。僕は、店長に見付けられない犬を僕に見つけることが出来るだろうかと、内心でため息をついた。しかし荒木さんにそう言った手前、何としてでもやりきらなければならない。




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