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「あっ」

突然吹いた風が荒木さんの麦わら帽子をさらっていった。

「あーもうっ」

荒木さんはぶつぶつ言いながら帽子を追いかけた。僕は再び目の前のキャベツに視線を落とす。

僕らは現在キャベツ収穫の真っ最中だ。今回の依頼はぎっくり腰になった依頼人に代わってのキャベツの収穫。広さは畑二つ分。だがそれより何より、このかんかん照りの太陽が僕らを苦しめている。

「雅美ちゃんちょっとこれ見て」

「何ですか?……ひゃっ!芋虫!」

店長が差し出した一枚のキャベツを覗き込んだ荒木さんは、小さな悲鳴をあげて飛び上がった。彼女は笑う店長をボカボカ殴る。

僕は自分の手の中のキャベツについているモンシロチョウの幼虫を、軍手をはめた指先で弾いた。他に虫がついていないのを確認してカゴに入れる。

今回の依頼に割く人数は二人でいいんじゃないかと予定していたのだが、僕らは結局三人で来ている。メンバーを決めるとき、誰か一人だけ来ないとなると、他の二人がぶーぶー不満を言ったのだ。

「雅美ちゃん絶対虫苦手だと思った」

「そう思ったならわざわざ見せないでくださいよ!」

楽しそうに虫つきの葉を差し出す店長と、そんな店長から逃げ回る荒木さん。元気な二人だなと思った。




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