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僕は思い切り鼻をすすった。鼻水はものすごい勢いで元きた道を逆流していった。止めていた息を吐くと、白い塊がふわふわ漂って消えた。

「おはよう瀬川君」

引き戸を開けると、顔を上げていた荒木さんが挨拶をした。僕はそれに答えて、壁の時計を見る。午後六時五分だった。

「瀬川君がこんなに遅いの珍しいね。店長には文化祭の準備って聞いたけど」

「うん。二週間はずっとこの時間になりそう」

荒木さんはほんの少しだけ微笑むと「そっか」と言った。早く仕事に行けないイライラが顔に出ていたかもしれない。

店長がいるかを尋ねると、荒木さんは二階にいると答えた。僕は礼を言って店の奥へ向かった。




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