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暑い。
口からは出さないものの、もう何度そう思ったかはわからない。九月の照りつける陽射しの下、サッカーボールが右から左へ転がった。
何故こんな暑い日にサッカーなどしなければならないのだ。体育教師は日陰で名簿を捲っていた。僕は四、五分動かしていないままだった足をようやっと持ち上げた。この近くでボールの奪い合いが勃発しそうなのだ。
「瀬川!」
突然背中を叩かれる。ちょうど右足を上げたところの僕は、危うく顔面から地面に転げるところだった。
「ほら、走れ走れ!」
僕の背中を叩いた冨永は、汗を撒き散らしながら笑顔でボールの方へ走って行った。
僕はその場で靴を脱ぎそれを逆さにする。靴の中に忍び込んでいた砂を綺麗さっぱり取り除き、また足にはめた。僕はため息をつく。躍起になってボールに足を延ばす集団がすぐそこまで迫っていた。




