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ほうきとちり取りを半ば放り込むように片付けると、スチール製の清掃用具のロッカーがガツンと少し大きめの音をたてた。僕の二歩後ろにいたクラスメイトの女子生徒は、その音に少し目を大きくした。

僕がロッカーの前を譲ると、女子生徒は丁寧にほうきを片付けた。僕は彼女のことなんか気にもせず、机の上に置いておいた鞄を肩にかけると教室の前方のドアを目指した。と、女子生徒が僕を呼び止める。

「待って、瀬川君」

完全に聞こえる距離だったので仕方なく振り返ると、彼女は教室の後方のドアを指差して言った。

「ゴミ、出しに行かないと」

彼女の人差し指の先は、ここからでは見えないが二つのゴミ袋が置いてあるはずだ。教室の掃き掃除をする際邪魔なので廊下に出したのである。

ゴミ出しまでが教室掃除の担当の仕事だ。僕が渋々彼女の方へ近づくと、彼女は一足先に廊下へ出てゴミ袋の口を結わい付けた。僕は燃えるゴミの袋の結び目を持ち、さっさと校舎外のゴミ捨て場へ向かった。その二歩後をビニールゴミを持った彼女がついて来る。

友人でも何でもない僕達の間には当然のように会話はなかった。ゴミ捨て場に二つのゴミ袋を放ると、彼女は呟くように「お疲れ様」と言って校門の方へ去って言った。三年生になってすでに数ヶ月経つが、大名瑞火と言葉を交わすのは初めてかもしれないと思いながら、僕も早足でバイトへ向かった。




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