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界律師と神殺し  作者: 桐ケ谷漣
第二章「王都学院編」
16/20

職員会議

改行……

《教職員会議室》

 そこの空間は異様であった。

 普通では考えられないほどの魔子を内包した魔工製品の数々が並べられ、世界最高峰とも言われる魔術資格「大魔導士」の資格を持つ者が百名余り、それに加え世界最強の称号「真理の裁定者」の一人もそこにいた。

「では、職員会議を始めましょう」

 しかし、その状況とは裏腹に今から始まるのは単なる職員会議、学校運営の一環である。

「まず、一年一組から順に入学前成果の有無についての報告を」

 理事長である真理の裁定者の一人アエデスが司会進行を務める。

「はい」

 そう言って立ち上がるのは一年一組の担任教員。

「今年の入学前成果の結果ですが、魔獣討伐を行ったものはおらず、凶獣討伐を行ったものが二人、それぞれ一体ずつとなっていました」

「では二組」

 アエデスは大した反応を示さない。彼女からすれば凶獣一体など空中にあるホコリ程度でしかないからだ。

「はい。二組には入学前成果を持つものはおりませんでした」

「では三組」

 アエデスは淡々と続ける。毎年これは行っていることだが、例年二クラスに一人入学前に成果を上げられたものがいれば上々という程度だ。そもそもとして十五六歳程度の青二才が討伐できるということ自体が異例なのだ。アエデスは期待など始めからしていないのだ。ヒルベルトが席を立ち、話し始める。

「三組からは魔獣討伐が三人、それぞれ一体ずつ」

 その時点で周りの教員が「おぉ」と感嘆の声を上げる。討伐できないのが当たり前と言っても何年かに一回秀才が現れるものである。ヒルベルトは続ける。

「そして、魔人討伐が一名、一体です」

 それを聞いてあたりがざわつき始める。

「偽装ではないのか?」

 職員の一人が問う。

「この紙に薄く展開された魔法陣の効果を知らない訳ではないでしょう?」

 ヒルベルトのその言葉に教員は唸る。

「看破の魔法陣だからな、偽装、虚偽があればわかるようになっている。それゆえに皆困惑しているのだよ」

 またほかの誰かが言う。ここにいる大魔導士からすれば魔人もまた脅威たり得ない。しかし、それでも十五六歳の子供が魔人を倒したというのは信じがたいことだ。

「その話はホントよ」

 突如出現した霧の中からそう言って現れた魔女が一人。普段は森に引きこもり穏やかに暮らすと聞いているが。その女を見てアエデスは尋ねる。

「何しに来たのよ。東の魔女」

「あら、いつもみたいにダイアナ先輩っては呼んでくれないの?」

「いつ呼んだかしら」

「千年くらい前かな?」

「フン、石の中でどうやって確認したのか」

 人外。そう形容するのがふさわしい二人がこの場で対面している。それだけで周囲の人は圧倒される。大魔導士といえども所詮は人の枠なのだ。

「まぁいいわ。その子はホントに魔人を倒したよ。この目で見たんだから。私の森に、なんでか現れた魔獣の長の魔人をね」

 その言葉にますます周囲は唸る。これが事実ならば、これは八年ぶりの逸材ということになるからだ。

「レナ・アレストライ以来の天才か?」

 アエデスがダイアナに尋ねる。

「いいや、あの小娘と一緒にするには少し区分が違うかな」

 ダイアナは答える。彼はディゴスシリーズを持っているということ、ヴァディゴス本人の転生体である可能性が高いこと。そして魔術の技能は大して高くないこと。

「神匠の再来か」

 アエデスがつぶやく。

「まぁ、実際にヴァディゴスの転生体かどうかは記憶を覗いたり魔子の解析してみないと分からないかなぁ。私に会いに来ないあたりヴァディゴスとしての記憶は無いのかもね」

 ダイアナはそう答える。自信過剰な女だ。

「レティシア、実際に戦った感想を教えろ」

 アエデスはレティシアを指名する。

「はーい♡ 直接戦った感想としては魔術師と言うよりも戦士って感じだったです♡ 不思議な魔術を使ってきたり、ディゴスシリーズも厄介でしたね♡ でも、まだ武器に振り回されてる感じがあるからまだまだ全然レナ・アレストライの方が強いと思いますよ♡ これからの伸びしろに期待って感じですね♡」

 それを聞いてアエデスは考える。

(ディゴスシリーズを持ってること自体は神々が与え給うたのだろうから問題はない、それほどまでに素質を見込まれたのだろう。それよりもここにダイアナが現れた目的は何だ……まぁどうせディゴス絡みなんだろうな。全く、君は死んでも転生しても厄介事ばかりだな)

 かつての弟弟子であり、横恋慕を寄せていた男を思い出しながらアエデスはダイアナを見つめる。

「ダイアナ、まだ、彼を愛しているのか」

 アエデスはダイアナにそう問いかけた。その言葉に一瞬ダイアナは目を見開いた。

「どういう意味?」

「ヴァディゴス……いいや違うな。ディゴスは私の弟弟子で、そしてお前の夫だ。そこは理解している。だが、ディゴスが死んでから、お前の様子はおかしくなった。狂愛、狂恋というのがふさわしいほどにな……もしお前が転生体とは言えディゴスに、弟弟子に不利益を与える結果を生むのなら、あいつの姉弟子として私はお前を止める」

 ダイアナはそれを聞いてため息をついた。

「そんなことね。大丈夫だよ、確証が取れるまでは何もしないから。あと危害なんて与えない。私の願いは七百五十年前から変わらないよ。ヴァディゴスと平穏に暮らしたいの」

 それを聞いてアエデスは頷いた。

「では、その子供はリーヤシュヴァレン魔術学院の方で教育する。それでいいな、ダイアナ」

「もちろんだよ。そもそもここに来たのも上院の方に取られないように告げ口するためだしね。《来なさい》」

 そう言ってダイアナは杖を取り出す。

「それじゃあ帰るねぇー。《第三形・虚空の道》」

 ダイアナの体を霧がつつみ込み、晴れたときには既にダイアナは居なくなっていた。真理の裁定者二人の重圧が軽くなり、教員は皆、安堵のため息をつく。

(上院か……師匠、レ・リアールカ様はとっくに見抜いておられると思うのだがな)

「兄弟子、あなたがいたら……なんてな」

 一瞬、ほんの一瞬昔を懐かしんだ。

「無駄に時間を取られた。会議を続けるぞ」

 アエデスはそう言い、会議を続行した。

用語『アエデス』


本名:アエデス・リアティウス

王国の没落貴族の生まれ。家督を引き継いだ際に爵位を売却し、平民となる。人生の大半を魔術鍛錬に費やし、三十二歳のとき最古参の真理の裁定者レ・リアールカの弟子になる。その後真理の領域に偶然足を踏み入れ、偶然にも生還。当時三十八歳。苛烈だった人格が穏やかになるほど過酷な時を過ごしてきたという。今は二千歳を超えた真理の裁定者の中では五番目に若い。見た目は三十八歳の時から固定されており、意外にも若く見える。老いないとは言え日々スキンケアと化粧を頑張ってる。真理の裁定者のなかでは一番の乙女。



《火球》

魔術区分:攻撃魔術・体系化魔術・コード0001

詠唱文

『光れ、照らせ、燃え上がれ

 《火球》』


炎の玉を生成しそれを操作することができる。魔力回路の生成次第で着弾で爆発するのか途中で爆発させるのか着弾地点に燃え広がるのかを選べる

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