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界律師と神殺し  作者: 桐ケ谷漣
第二章「王都学院編」
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クラスメイトと……

 あれから魔力回路強度測定、身体測定、体力試験など教室の外でしかできないことが済み、僕たちは教室に戻っていていた。


「なぁ、レイ。お前が言ってたハートマーク女教師、ヤバかったな」


「え、もしかしてバルもレティシア先生だった?」


「おうよ、瞬殺されたぜ」


 どうやらバルもレティシア先生にあたったらしく僕と同じで始めは《火球》で攻撃されて一発目は避け二発目、三発目までは避けられたけど僕のときと同じで煙幕を張られて気がついたら目の前に火球があってやられたらしい。


「いや、マジで何もできずに負けたよ」


「まぁしょうがないんじゃない? 相手は大魔導士でしょ? 本来勝てっこないよ。そのかわり体力試験良かったんだからさ」


「そうだけどよー、それはほら俺の恩恵がそういうのだからさ」


 体力試験の内容は単純だった。百メル走、反復横跳び、立ち幅跳び、千五百メル走、上体起こし。そのすべてにおいてバルはクラスで一番だった、しかも圧倒的に。そのせいでクラスメイトから少しだけ視線を集めている。


 色々と話しているとヒルベルト先生が書類を脇に抱えながら教室に入ってきた。教卓にプリントを置いて話し始める。


「全員いるな。あと済ませなきゃいけないことは二つ。入学前成果の有無の確認、そして体術授業の希望調査だが、今からプリントを配る」


 ヒルベルト先生がプリントに指先で触れると、プリントが宙を舞いそれぞれの生徒のもとまで飛んできた。


「今日中に提出してもらわなきゃいけないのが入学前成果の有無の確認のプリントだ。もう一つは明日の朝までに提出してもらえばいい。友達、特に他クラスのやつらと一緒になりたいやつらもいるだろうからな、悩んで決めろ。取り敢えず入学前成果の方は今すぐ書け」


 プリントを見てみると一番上に「入学前成果の有無」と書かれていて三つ、書くところがあった。上から順に「資格記入欄」「受賞履歴」「討伐実績」と分けられている。


「なぁ、レイ。俺たちって討伐実績って所にかけるのか?」


 バルがそう言ってきた。討伐実績についての説明には、「魔獣、魔人を含む討伐実績(集団討討伐非含)」って書かれている。


「まぁ、魔獣と魔人って書かれてるしいいんじゃない? たぶん普通は凶獣討伐とかになるんだろうけどね」


 凶獣とは体内に魔子を多く内包するが故に突然変異を起こしてしまった獣のことだ。魔獣と並んで危険生物とされている。決定的なのは色と形だ、魔獣は身体は真っ黒で皮膚がただれドロドロしている。


「集団討伐は含まないから、じゃあもしかして俺何も書けない?」


「まぁ、バルが倒したわけじゃないもんね魔獣は」


 そう、あれはアイラの魔法によって倒したもの。


「え、じゃあ俺何もないじゃん」


「お労しや」


 バルは白紙の紙を教卓にまで持っていった。というか大抵の人が白紙なのか、すぐに教卓に持っていった。対して僕は魔人を倒したから書くことができる。プリントに「魔人一体」と書いて僕は先生に提出しに行った。



「全員分のプリントを確認した。これで今日の予定は終わりだ。各々寮に帰るなり、自由にしていいぞ。明日のホームルームは八時半からだ。プリントといっしょに遅れずに来るように、以上」


 ヒルベルト先生はそれだけ言うと教室から出ていった。これからどうしようか、夕食にはまだ早いよなと、いろいろ考えていると声をかけられた。


「ねぇねぇ! レイ君だよね!」


「えっ、あ、うん」


 声をかけてきたのは明るい感じの女の子だった。


「あ、そうだ改めて自己紹介ね。私の名前はリファージっていうの! 気軽にリファーって呼んでよ!」


 リファーはそう言うと右手を差し出してきたので僕も右手を出してその手を取る。


「僕はレイって言うんだ。レイって呼び捨てで呼んでもらっていいよ」


「オッケー! それでレイ、今日の夜にある眷属会合には行くの?」


 リファーは意外と食い気味に僕に問いかけてきた。


「あー、俺飯食ってくるわ。じゃあなレイ」


 気まずさに耐えられなかったのかバルはそう言い残し教室から出ていった。


「お友達?」


「うん、幼馴染」


「あちゃ、私悪いことしちゃった?」


「いいや、バルは初対面が苦手なんだよ」


 バルは快活で活発な男ではあるが意外と人見知りなのだ。だがそれは同年代に対してであって年下、あるいは年上となら問題なく話すことのできる大分変な人見知りだ。


「それで何の用かな?」


 かく言う僕も結構な人見知り、アイラと仲良くなるまでに時間がかかったのは今となってはいい思い出だ。それ以来なるべく話しかけられたら頑張って話すようにしている。


「そうそう、さっき眷属判定の時に見たんだけどさレイは愛の眷属でしょ!」


「ちが……あ、うんそうだよ」


 とっさに否定の言葉が出かけたが何とか押し留めた。危なかった。


「今夜の眷属会合には行くの?」


「眷属会合って何?」


「ありゃ、知らない? 各神様ごとの派閥である、入学おめでとうパーティーみたいなやつだよ。このクラスに愛の眷属は私とレイだけだったから行くなら一緒に行きたいなって」


「え、あ、うん、いいよ?」


 取り敢えず了承だけしてその眷属会合について詳しく聞いた。


 眷属会合というのは氷の神の眷属なら氷の派閥で、風の神の眷属なら風の派閥と言ったように各派閥で行われるパーティーだとい う。派閥というのはこの学院の一種の区分みたいなもので学院行事、魔術大会や体育祭なんかでそれぞれ分かれて競い合うらしい。眷属会合は今日の午後八時半からあるらしくドレスコードも特にいらないという。


「それじゃあ八時過ぎくらいに男子寮前集合ね!」


 リファーはそう言うと颯爽と出ていった。それと同時にドタドタと走る足音が廊下から聞こえてきた。聞き覚えのある足音のテンポ。


 ガラッと教室の扉が開き見知った女の子がクラスの中をキョロキョロと見渡し僕と目が合うと表情を明るくして僕のもとまで走ってくる。


「レイ! 一緒に眷属会合いきましょう!」


 そう、アイラだ。相変わらず喧しくてかわいらしい。


「ねぇ、アイラ。なんで僕が愛の眷属だってわかったの?」


「お告げがあったからよ! フレイル様から!」


 あ、なるほど。アイラに直々にお告げとして伝えるなんて、何とも優しい神様のようだ、愛の神様は。でも、取り敢えず先約があることだけは伝えなくては。


「実は先約があって……」


「行くわよね!」


「いや、だからね。先約が……」


「行くわよね!」


「……は、はい」


 僕から言質を取るとアイラは「八時過ぎに第一棟入り口集合ね!」と言って颯爽と消えていった。初日からダブルブッキングとは運がない……。僕はレイラ様になんで愛の神様にお願いしたんですかぁと言いたい気分になった。

用語『凶獣』


魔子を体内に多く持った獣で、突然変異を起こした獣のこと。まれに魔術を扱うものもいるため魔獣に並んで危険生物とされている。

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