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界律師と神殺し  作者: 桐ケ谷漣
第二章「王都学院編」
12/20

新生活前夜

改行? ……なにそれ

「ふー、食った食ったぁ」

「そうねぇ」

 アイラとバルが僕の二歩ほど先を歩きながらおなかをさすっている。対して僕とリサさんは項垂れていた。

「ウっ、やべ、めっちゃ吐きそう」

「こ、今月の家賃がぁ」

 そう、僕は残すのも失礼だと思い、限界まで食べ進めたところでギブアップ。結局店主も食べきれた人間はいないと言って持ち帰り用の容器に残りを詰めてくれた。今日の夜ごはんにでもしろよ、と言われたが正直今夜は食べなくても問題ないだろう。一方リサさんは実は金欠だったらしく、結局僕たちにおごった結果いくら安いとはいえ四人分ともなると財布に響いたらしく、自身の財政難を嘆いていた。

「リサさん、やっぱり今からでも出しますよ、ウッ」

「いいえ、大丈夫ですよ。副業しているので…………来月の頭にはお金が口座に入ってくるはずですから今月を乗り切れば勝ちです。なので全然気にしないでください」

 そう言ってくれるリサさんはどれだけ大人で、いい人なのだろうか、と僕は改めてそう思った。

「それに、いつもはお金がないから同僚におごられてばっかりで、いかにもダメダメの使者で、お金もなくて威厳もない、ただいっちょ前に転移魔術が使えて実は魔法陣がいらないなんてことも認知されてないせいで哀れに思われてるので、こういう時くらい見栄を張らせてください」

 前言撤回、何と残念な人なのでしょうか。

 その後も僕はおなかを抱えて、リサさんは頭を抱えて街中を歩いて回った。学院でこれから必須ではないがあったほうがためになる魔工製品、例えば自分で魔力を通さずにお湯を沸かせたり、光をともしたりできるものなんかがいっぱい売ってあるお店に連れて行ってもらった。こういうのは村にはなかったものだから実際に買いたいなぁと思ったが、さすがは王都……高い。他にも、女性向けの装飾品店や、バルや僕には身近な武器屋など、これからお世話になっていくであろうお店の位置を丁寧に案内しながら教えてくれた。そして、何と言っても欠かせないのが仕事先。学生と言えども金がなければ生きていけない。王都のおすすめの働き口までリサさんは教えてくれた。それに、リサさんの話はどれも面白く、いつの間にかすっかり日が傾いていた。

「日が傾いてきましたね、そろそろ寮のほうに戻りましょうか」

「はい」

 僕たちは声を合わせて返事をした。帰り道もリサさんはいろいろと話してくれた。この王都の歴史や学院での生活、王都での文化について、そして王都の都市伝説まで教えてくれた。

「この王都の地下にはとある魔工製品が封印されているそうです。噂によるとそれはかつて王都の八割を壊滅させたことのある物らしく、それ以来厳重に保管されているそうです。くれぐれも夜中にこそっと侵入を企てようとしてはいけませんよ。これも噂ですが、保管場所を調べようとあちこち出歩いていた人が行方不明になったことがあるらしいです。まぁ、今月は終焉の月ですから皆さん出歩かないと思いますけどね」

 そんなことを話していると寮の目の前まで来ていた。今更だが寮は少し高い丘の上にある。そのため門の前の道からは王都の中央区、そして東区、北区が一望できる。

「うわぁ、綺麗」

 アイラが街を見下ろしながらそう呟いた。夕日に照らされてキラキラと輝く東区の小麦畑と、北区の魔術的な怪しげな光、そして中央区の魔工灯の明かり、田舎のカリフィスでは見たことのない景色がそこには広がっていた。

「俺たち、ここで七年間暮らすんだよな」

「そうだね、少し緊張してきたかも」

 僕とバルもその景色を見ながらこれから始まる学院生活に少しの期待ととてつもない興奮、そして故郷への少しの懐かしさを感じていた。

「それでは皆さん、私はここで失礼します」

 リサさんはそう言って深々とお辞儀をしました。それに呼応するように僕たちもお辞儀をする。

「リサさん、今日は本当にありがとうございました」

「いえいえ、こちらも楽しかったです。もしまた送迎の機会などで会うことがございましたらその時には学院の話を聞かせてください」

「もちろんです!」

 僕たちがそう言うと満足してくれたのか「それでは失礼します」と言って胸元から魔法陣を取り出して『《開門》』と唱えて消えていった。

「それじゃあ、僕たちも部屋にいこう」

「そうね」

 僕たちは並んで寮の門をくぐった。これから僕たちはどんな生活を送るのだろうと期待に胸を弾ませながら…………。

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