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雑談  作者: waterflea
プロローグ
12/19

12

「ここではね」とアリスは言った。リカが外へ出て行った後、ゼロダの幼馴染であるアリスが家に尋ねてきたのである。アリスは細い手足を持つ小柄な少女のような妖精であった。彼女は、今日は防護服の様な灰色の合成樹脂で出来たような服を着ていたが、背中のチャックを開けると、そこから透明な四枚の羽を広げて、空中を自在に飛行できる仕組みになっていた。小柄といっても、ゼロダと10センチも変わらないため、その重量感のある体が、どのようにして薄い羽根で浮かび上がるのか、ゼロダはいつも不思議に思っていた。しかし、実際には、アリスの羽は、特段薄いわけではなかった。

「ここでは、判事は専門の教育を十分に受けられないため、極々控え目に審理を行うの」とアリスは言った。それは、今しがたの新聞を読んだことにより興味を持ったゼロダが良い機会だと、年上で何でも知っているアリスに尋ねたものだった。「判事は、責任を被るのが嫌なので、いつも、和解で終わってくれないかな、と考えているの。なので、和解勧奨を事あるごとに行うんだけど、これもまた、控え目に行うために、凄く小さい声でぼそぼそと言ったりして、勧奨が上手く出来ないことも多々あるわけよ。笑うでしょ。そんなこと故、結局、和解にはなかなか至らず、判決まで何か月も費やすことになることが多いの。それでも、数か月で終わるなら早いほうで、普通に1年2年とかかることもあるわ。それも、判事が控え目だからなの。基本的に、判事は何も行わないわ。ただ壇上に座ってふてくされているだけなのよ。何故ふてくされているかって?それは、控え目にすることを強要されているからよ。自らに非の無い無学によってね。代わりに、書記官はせわしなく動くわ。彼彼女等は手続を円滑迅速に行わしめることが任務なので、判事ほどの勉強は要らないわけよ。だから、原告や被告が行う申立ては満足な態様で処理されるわね。だから、原告被告は文句を言わずに訴訟を続けることが多い。判事の無愛想さにも関わらずね。判事は、では、何をするか、というと、これが可笑しくて、両手に旗を持って座っている。目の前の机には紙が置いてあり、そこには原告の請求が書かれている。そして、判事の掛け声により、順番に、両当事者が、自らの考える事実を言っていく。一致したら、判事はピッと笛を吹く。一致しない事実は次々に紙に書き留められていき、事実の主張が終わったら、その全ての事実を証明する方法を、判事が、事実の主張者に問う。そして、そこで出される証拠の申し出を、また紙に書き留めていく。次の期日で、その証拠の取調が行われる。両手の旗は、証拠調べを経た後に、再度当事者の一致しなかった主張を聞いて、どちらのほうがより正しそうかを通知するためにある。そうやって集めた正しそうな事実を繋げて結論を導き、その事実を先の請求に法的に当て嵌めて判決を下す。そういう審理方式ね」

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