12
毎日更新頑張ります!
旅に出た当初、勇者一行は奇妙な集まりだった。
勇者レオンは母に愛されて育ったが故に、真っ直ぐで人当たりが良く、誰にでも分け隔てなく接する青年だった。
魔法使いのリュシーは頭脳明晰だが負けず嫌いで、最初は無口な戦士を「野蛮な男」としか思っていなかった。
シーフのアナは人の心の機微に聡く、それとなくみんなをまとめる潤滑油のような存在であった。
そして聖女ディアは、仲間達に毎日笑いかけ、体調を気遣う言葉をかけていた。
その言葉だけで、戦士は救われていた。
だが、旅が長引くにつれて、少しづつではあるが確かにパーティーには亀裂が走っていく。
ディアは、アナがレオンと一緒にいるところを見ると、その後影で必ず
「レオンはあんたみたいな淫売が気安く話しかけていい相手じゃないのよ!」
等と平気で言うのだ。
アナはビスクドールのような美しさを持つので、レオンがアナを好きになってしまわないか心配で引き離そうとしているのだ。
その言葉は、今まで性のはけ口にされて生きてきた戦士の心をも削って行った。
俺なんかがディアのことを好きでいること自体、ディアのことを穢してしまっているのではないか...
そんな風に悩み眠れない夜も増えていった。
戦士は一途にディアを想い続けるが、ディアの視線の先にはいつだって勇者がいる。
穢れた自分ではディアには釣り合わない...。
せめて討伐の際に少しでもディアを危険に合わせないために守ろうと決意した。
レオンは体力もあり、強さだけで言うのならばこのパーティーで1番であった。
しかし、幽閉されて育ったため、あまりにも世間知らずであった。
初めての宿場町で、その町一番の宿のスイートルームを取ろうとしたレオンを、アナは叱責した。
旅がどれだけ長くなるかも分からないのだ。
あまりの世間知らずっぷりに半ば呆れるアナであったが、レオンは怒るでもなく、
「アナは頼りになるなぁ!」
と笑っていた。
またある時は、物乞いの孤児に金貨を差し出そうとしているレオンを見て仰天したアナは、それを止めた後でお説教をした。
金貨なんて孤児が持っていたら、一体どんな目にあうかわかったものでは無いことを伝える。
レオンは初めて触れる市井の無情さと悪意に、暫く立ち直れないでいるようだった。
変な人。それがアナのレオンに対する第一印象であった。
アナの知る人間は、己の利益を一番に考え、プライドを傷つけられることを嫌い、自身の行いを省みることなどしない者がほとんどだったのだ。
アナは、この世間知らずの王子様を悪意から守らなければとひっそり決意した。




