表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【二度目の政治は、恋に厳しい】〜宰相令嬢リディアの奮闘録〜  作者: 春野 清花
第七章 才覚証明編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

185/198

第百五十四話:空気の逃がし方


 均衡は、保たれている。


 だが。


 ほんの僅かでも触れれば、崩れる。


 そんな張り詰めた状態だった。


「……っ!!」


 アランが、一歩踏み出す。


 視線は、ヴァルへ。


「お前が……!!」


 言葉が、続きかける。


 その瞬間。


「待て、殿下」


 ルカの声が、割り込む。


 低く、しかし軽い調子で。


「……何だ!!」


 苛立ちを隠さず、振り向く。


「俺にも殴らせ――」


「まぁ、待てって」


 あっさりと遮る。


 まるで、大したことではないように。


「それとも」


 一拍。


「殿下は男色の趣味でもあんのか?」


「……は?」


 空気が、一瞬でずれる。


 アランの思考が、止まる。


「よく考えてみろ」


 ルカは続ける。


「レオナールが死ななかったら」


「アイツは顔は良くても、四十過ぎた子持ちのオッサンだ」


 一歩、踏み込むように。


「つまり殿下は」


 一拍。


「そのレオナールに告――」


「やめろ!!!」


 即座に、遮る。


 顔が、引きつる。


「分かった!!」


 勢いのままに。


「俺からは何も言わないから」


 さらに一歩、下がる。


「それ以上、深掘らないでくれ!!!」


 完全に、別の意味で止まる。


 沈黙が、落ちる。


 だが。


 先ほどとは違う。


 わずかに。


 空気が、緩む。


「……」


 ユリウスが、目を伏せる。


 小さく、息を吐く。


 怒りは消えていない。


 だが。


 先ほどほどの鋭さは、ない。


 受け止める余地が、戻っている。


「……はぁ」


 ルカが、肩をすくめる。


「だから言っただろ」


 軽く、言う。


 それ以上は、続けない。


 必要がないからだ。


 張り詰めていた空気が。


 ほんの僅かだけ。


 緩んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ