181.恒久的な平和
ようやくここまで来ました……
(??視点)
……あア……にクイ……
にクイにくイ二くいにくい憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!
『ああ、憎い……憎き勇者共……次こそは……必ず余が貴様等を討ち滅ぼして……』
「あっ……や~っぱり残留思念が怨霊化しそうになってるでござるよ!」
……む?
何だ?
誰だ?
いや、そもそも今の余はどうなって……
『……貴様は……誰だ?……余は……何だ?』
何も分からん……
余は……どうなった?
今の余は……何なのだ?
「ふぅ……さっきの質問でござるが、拙者の名は教えるつもりもないでござるから割愛して……貴殿の名は凶龍魔王 ドラグ……暴虐の限りを尽くしたズンダルク王国最後の魔王、その残留思念でござるよ」
『余が……残留……思念?』
何……だと?
「そうでござる。……というか、記憶が朧気な感じでござるか?」
『……知らぬ……余は……まだ……』
「ハァ……いい加減諦めるでござるよ」
『諦めて……たまるか……』
余は……まだやれる……
まだ……この世を蹂躙し切れておらぬ……
だから……
「……そうやってやる気満々なところ悪いでござるが、拙者としては貴殿をサタゴーラの二の舞にする訳にも行かないんでござる」
『は?……お主……何を言っ』
「要約すると成仏しろ、でござる。……【悪霊浄散】でござる!」
ーシュッ!シュシュシュッ!
『て……』
ーパンッ!
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(狐塚 穂魂視点)
「……ふぅ、無事に成仏したでござるか……」
……凶龍魔王 ドラグの骸、その傍らにて。
拙者は、ドラグの残留思念を成仏させていたでござる。
と、そんなタイミングで……
「いや~、最後の最後まで負担をかけさせて申し訳ないでヤンスね~!」
……現在進行形で諸々の後処理に奔走してる筈の死神長様がやって来たんでござる。
「良いって事でござる。……寧ろ、拙者程度でどうにか出来るレベルの残留思念で助かったでござるよ」
「いやいや、それを差し引いても充分過ぎる働きでヤンスよ~!」
「も~、調子良いでござるな~」
「事実でヤンスからね」
どんなに褒められても、拙者に関するアレコレが今回の魔王討伐における歴史に刻まれる事がないのは事実でござろう。
……けどまぁ、こういう生き方は故郷の"忍"らしくて良いんでござるよ!
「……にしても、ドラグは最期まで納得してなかったでござるな」
「ま、外道が本懐を達成して死ねる事なんて滅多にないでヤンスからね~」
「それはそうでござるが……下手すると怨霊化してたとか洒落にならないでござるよ……」
「同感でヤンス」
結局、外道だったドラグが本懐を達せられる事もなく孤独に死んでいったのは、ある意味では因果応報であったんでござろうが……
……それで残留思念が怨霊化しそうになるとか嫌な最後っ屁でござるな。
「……とはいえ、これで拙者の仕事は今度こそ終わりでござるよな?」
「そうでヤンスね~。……ところで、そっちはこれからどうするんでヤンス?」
「う~ん……そうでござるな~。……取り敢えず、拙者は暇潰しに旅でも続けるでござるよ」
「そうでヤンスか。……じゃ、今後も何かあったら宜しく頼むでヤンス」
「えぇ~、嫌でござるよ~」
そうして、拙者達は駄弁りながらもその場を離れたでござる。
……残留思念すら霧散したドラグの事など、既に記憶の隅に追いやって……
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(俯瞰視点)
式典の日の夜、裏でドラグの残留思念が完全に消滅した事など全く知らない民衆達は、未だに魔王と邪神を討ち倒した熱狂に浮かれていた。
「……ナンドレア叔父様、本気で戦士とか興味ないんですニャンか?」
「ナフリー、小生が商人一筋でやってるのは知ってるでしょうニャン……」
「いやでも、明らかに戦闘力が商人って実力でないのはあたしの目から見ても一目瞭然ですニャン!」
「それはそれ、これはこれですニャン。……ただまあ、小生はちゃんとナフリーを姪として認知しましたニャンから、正式に稽古をつけるぐらいならやっても良いですニャンよ?」
「うぅ……」
紆余曲折あった末に和解したナンドレアとナフリーは、これからの平和な世界における人生での身の振り方へと思いを馳せていた。
「ハァ……何とか臣籍降下を認めさせたとはいえ、今後も何かあったら呼び出されそうですわね……」
「まあ、そこは仕方ないと割り切るしかありませぬな!」
「もう……ロウルの言う事にも一理あるとは思いますが、こちらとしてはもう政治的なゴタゴタには巻き込まれたくありませんの!」
「そう言われましてもなぁ……」
『……まあまあ、魔王が居なくなった以上は以前程のゴタゴタもそうありませんわよ。……少なくとも、大半の問題ならお姉様が何とかしてしまうでしょうし』
「そ、それもそうですわね……」
メアリーとロウル、そして異なる未来のメアリーことメアもまた、平和な世界での自分達の立ち位置について話し合っていた。
「……あんま実感湧かへんな~」
「そうじゃのう……妾も同感じゃよ」
「せやけど、国としてはこっからが正念場や。……これまでは小国の割に100年ごとに魔王が誕生するっちゅう旨味のない土地やったさかい侵略なんてされへんかったけど、今後はそうもいかへんやろうし……それこそ、100年後になって魔王が誕生せぇへんかったらその時こそ侵略されかねへん」
「じゃからこそ、これからの100年で国力の増強が最優先になるじゃろうよ。……長く現世に残るであろう妾達にとっての、次の大仕事じゃな」
「せやな~……今から色々考えんと……」
長く現世に残る予定のエルリスとメサイアは、これからズンダルク王国が直面する問題への対策を講じ始めていた。
「プルスレゼス様、あの邪神を倒した兵器について解析させて欲しいっす~!」
「……マスター、今ぐらいはそういうの考えない方向で行けないんデスか?」
「行けないっすよ!……で、どうっすか?」
「う~ん……下手に触らせて暴発しても危ないであ~るから、吾輩の付き添いありきであ~るぞ?」
「それでも良いっすから、早く解析させて欲しいっす~!」
「ハァ……これだからマスターは……」
ダレスはプルスレゼスに兵器を解析許可を懇願し、ダルクはそんなダレスに呆れ、プルスレゼスは条件付きで解析に許可を出していた。
「ガルゥ……」
「ん?……どうかしたピョンか?」
「いや、オレって本当に無罪放免同然で良いんガルかと改めて思ったんガルよ……」
「そりゃあ1国の第一王女がそういう決定を下したんだから、そう認識して良いんだピョンよ!」
「……頭では分かってるんガルけどな……」
「面倒臭いピョンな……」
シトラスは改めて自責の念に苛まれ、ラビィネルはそんなシトラスを面倒臭く思っていた。
「例え平和が訪れても、私達の仕事は変わらないのねん!」
「それよねぇ~♥️。……何だかんだ言っても、アタシ達は今後も通常営業で平和な世を支えるだけなのよねぇ~♥️」
「……それでも、今後は奴隷落ちする人も減ってくれるとありがたいのねん」
「アタシも同感よぉ~♥️」
ルルネンとシュラメルクは、今後もこれまで通りの仕事を貫く覚悟を決めていた。
とまあ、ズンダルク王国の民達は見事なまでに魔王と邪神の討伐に喜び、今後の未来に希望を抱えていた。
……勿論、全員が全員そうだとはいかないし、中には他国との衝突や内紛を心配する者も居た。
それでも殆んどの者達がこの恒久的な平和に歓喜し、その熱狂の中で夜は更けていくのだった……
ご読了ありがとうございます。
次回、本編エピローグです。
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