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180.【図書館】の秘密

ちょっとした余談みたいな話です。

(青谷 兼人視点)


「ふぅ~……俺、元の世界に戻ったら2度とこっちの世界に戻って来ねぇ……いやでも、恋人の皆が俺達の世界で住めるとは思えねぇし……あぁぁぁぁぁぁぁもうどうすりゃ良いんだよぉぉぉぉぉぉぉ!」


……僕たちの前で、現実のアレコレに直面して嘆く藤四郎さん。


まあ、僕も気持ちは分かります。


とはいえ、僕にはどうにも出来ませんが。


だからこそ、僕達に出来るのは微笑みを返す事だけでした。


……とまあ、それはそれとして。


「あ、皆さん。……これ以上ここで駄弁るのもアレなので、僕はそろそろ部屋に戻りたいのですが……」


「ん?……ああ、どうとでも好きにしろ」


「じゃ、また明日ね~!」


「ふむ……ではボク達も行こうか」


「賛成っしょ!」


……おっと、皆さん普通に送り出してくれました。


それはそれで寂しい気もしますが……まあ願ったり叶ったりです。


「では、また明日」


そうして、僕は皆さんが集まっていたこの部屋を退出し、()()()へと向かうのでした。



そして、数分後……


ーコンコン


「……どなたでしょうか?」


「"書物の勇者"、青谷 兼人です」


「カネヒト様ですか。……お入りください」


「承知しました」


僕はとある御方が居る部屋に足を運んでいました。


その御方とは……


「……勇者の皆さんで仲良く談笑されていたでしょうに……秘密裏とはいえ、ここへと呼び出してしまって申し訳ありません」


ースッ


「そう頭を下げないでください。……ミリセリア第一王女殿下」


……ミリセリア第一王女殿下でした。


殿下は僕へと謝罪をする様に頭を下げられましたが、僕としてはちょっと居心地悪いんですよ。


何せ……


『よぉ坊主……お前は魔王との決戦中、ずっと勇者ミツエ様と体を入れ換えてたって聞いてるぜ』


「……ラウルさん、まだ現世(こちら)に居たんですね……」


……ミリセリア第一王女殿下の傍には、霊体と思われる状態のラウル様が立っていたんですから。


『ったく、そんな目で見ないでくれ。……いくら楔としての役割から解放されたつっても、今の俺達は楔化してた影響か普通の幽霊(ゴースト)の範疇から逸脱しちまってるらしいんでなぁ……』


「俺達……という事は、今のラウルさんは……」


『お察しの通り、魔王に特攻した部下全員と文字通りの一心同体だぜ……ったく……あ、意識はその気になりゃ変えれるんで、別の奴を主人格にも出来るぞ?』


「そ、そうですか……」


まあ、気にするだけ無駄って感じですかね。


……ラウルさん自身がどう思おうと、僕にどうこう出来る話ではないでしょうし。


と、そんなタイミングで……


「コホン……無駄話はその辺りにしていただけませんか?……そろそろ、本題に切り込みたいので」


「あ、申し訳ありません……」


『悪ぃ悪ぃ……ちょいと話が弾んでな』


……ミリセリア第一王女殿下から、本題に入りたいとのお言葉を賜ってしまいました。


あ、別に忘れてた訳ではありませんからね?


「それでは、気を取り直して本題ですが……単刀直入に言いますと、此度の勇者召喚で招かれた勇者の中でカネヒト様だけスキルが微妙だという事について意見があればお聞かせ願いたく思い……」


「……やっぱり、気になりますよね……僕も思うところはありましたから……」


ミリセリア第一王女殿下の疑問はもっともです。


まず、この国における勇者とは魔王に対する切り札の様なもの。


なのに、僕のスキルは使いどころがあまり見つからないレベルで微妙……


……何なら勇者召喚に巻き込まれただけの藤四郎さんの方が僕単体より役に立っていた程です。


『おいおい、そこまで言うか……』


「……ただまあ、ドラグを倒した後に僕のその疑問も解消されましたけど……」


「っ!?」


『あぁ?』


まあ、驚かれますよね……


「実はその、魔王を倒した後に幾つか新しい権限が開放され……一応、大半は僕から見て微妙なものでしたが、中には様々な権限の開放条件が書かれた書物の閲覧権限もありまして……」


「な、なるほど……」


『ほぉ~、そういう事か……』


ええ、そういう事です。


……結果的には知りたくありませんでしたが。


「で、その中にあったんですが……どうも僕の役割は追放系(・・・)主人公(・・・)だったらしいんです」


『「ん?」』


……追放系主人公。


多分、これだけでは分からないでしょう。


そもそもこの世界に追放系主人公という概念はなさそうですし……


「……というのも、未開放の権限にはこの様なものが多かったからです。……王国からの冷遇、パーティーからの追放、大切な人からの裏切り……実力不足を理由にそういう扱いをされた場合に開放される権限が山の様にあったんですよ……しかも、そういう権限に限って強かったり役立ったりするもので……ははは……」


「れ、冷遇って……この国をお救いになる勇者様相手にそんな馬鹿はいたしませんよ……」


『パーティーからの追放……いくら実力不足が理由だとしても、そんな裏切りされちゃ立ち直れねぇだろうな……』


元の世界の創作界隈においては手垢が付く程に擦られていた追放系主人公も、下手すれば自分がその立場になっていたかもしれないと考えると絶対に嫌だと断言出来てしまいますね……


「もっとも、現実はそうならずに済みましたけどね。……本当に、皆さんが優しくて助かりましたよ」


「……私としては、勇者様の力がどう覚醒するか未知数だと判断しただけです」


『ま、それが最善の選択だったかは議論の余地があるがな。……本音を言えば、その権限を開放させてた方が良かったんじゃねぇかとも……』


……う~ん、そうとも言えないんですよね……


「いいえ、今の方が最善でしたよ。……往々にして追放系主人公とは自分を冷遇、追放、そして裏切った相手に報復するものですから……」


「そ、そうなのですね……その追放系主人公とやらが何かは分かりませんが、物騒な話です」


『そ、そうだな……つっても、似た様な話自体は俺も見かけた事がある様な気はするが……』


「まあ、どんな世界でも似た様な話はありますか」


まあ、本当にそんな状況になっていたとしても、僕が本当に報復を選んだかは分かりませんが。


……ただまあ、こういう時は少し脅しておくぐらいが丁度良いので否定もしませんけど。


「……しかし、どうしてその様なスキルになったのでしょうか?……冷遇、追放、裏切りを経験しなければ殆んど役に立てないだなんて……」


『ただでさえ勇者召喚が勇者側にとって理不尽の極みだとはいえ、いくら何でもそりゃねぇだろうよ』


「……まあ、ある意味ではセーフティだったのかもしれませんね……今回の僕みたく実力不足な勇者を、不用意に虐げればどうなるかという……」


「ふむ、一理ありますね」


『ほんと、そうならずに済んで良かったぜ』


いやはや。


これだって僕の予想とはいえ、結構良い線は行ってると思いますし。


……それはさておき。


「ふぅ……僕の話はこれぐらいで充分ですかね」


「そうですね。……事実がどうであれ、魔王は既に討伐された訳ですし……」


『下手に突っつかねぇ方が良い事だって、世の中にはごまんとあるしな……』


「同感です。……ところで、ラウルさんはこれからどうふるおつもりですか?」


……さてと、僕としては自分の話よりも気になっていた事を聞いて帰ろうかと思っていたので、最後に質問でもしておきましょう。


ラウルさん、貴方はこれからどうするつもりなのですか?


『ん?……ああ、本当なら成仏するつもりだったんだが、こうなっちまったせいか死神長とか名乗る奴から現世にしばらく残っても良いって言われちまってな……絶賛悩み中だ』


「そ、そうですか……僕からは何も言えませんね」


メサイアさんや光枝さんとはまた違う形で現世に残る事になった訳ですか……


……あの死神長、本当に色んな人に甘くありませんか?


「ふふふ……私としては個人的にも王族としても、ラウル達には私が死ぬまで仕えて欲しいものですが」


『ったく、この姫さんは俺達をいつまでこき使えば気が済むんだか……ま、悪くはねぇがな』


「……では、僕はこの辺で」


「ええ、此度はありがとうございました」


『また何かありゃ、相談ぐらいは乗ってやらぁ』


ミリセリア第一王女殿下とラウルさんがお互いに軽口を交わしている横で、僕は部屋から退出しました。


……もう色々あって疲れましたし、今度こそ本当に寝ましょうかね……

ご読了ありがとうございます。


兼人が追放系主人公になる道筋は、まず色んな要素のせいで最初からなかったも同然でした。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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