178.魔王城決戦 結末
う~ん、やっぱりラスボス戦としてはなぁ……
いや、ラスボス戦じゃなくてもなぁ……
(浅山 藤四郎視点)
「よっと……ったく、3人とも行っちまったし正義は意識失ってるし……」
「ははは……でも、俺チャンのアレは事前刷り込み型だから距離離れても大丈夫っしょ……」
「うおっ!?……意識戻ったのか!」
「俺チャンおぶってくれてありがとうっしょ……でも同時にごめんっしょ……」
茜達が上空に向かった後、俺は正義をおぶって玉座の間を後にしていた。
「……茜達、大丈夫だと良いんだが……」
「信じるしかないっしょ……俺チャン達に出来るのはそれだけっしょ……」
……正義は強いな……
恋人の司が戦ってるのに、その無事を信じられるんだから……
「……信じる、か……」
「……うん、信じるっしょ……」
そこからお互い無言のまま、正義を背負った俺は魔王城を歩き続けた。
……うん、皆の無事を信じよう……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(シトラス視点)
「ガルァ……あれがドラグなんガルか……」
エルリスから聞いた東洋の"龍"ってのがドラグの元になった生物ガルか……
確かに"竜"とは何か違うと思ってたガルが……違い過ぎるガルァ!
「え~っと、シトラスはん?……そこ乗ってるとカブはんが厳しそうなんやけど……」
「すまんガル!……でも、もう少ししたらあっちに移るガルァ!」
「……よう見たら既にミツエはんがドラグの背に移っとるし、どないせいっちゅうねん……」
ああ、エルリスが遠い目をしてるガル……
これは反省すべきガルな。
「あ、その……悪いとは思ってるガル……」
「ハァ……別に怒っとらんよ……」
「ほ、ほんとガルか?」
「ほんとやほんと!……さ、それはそうとそろそろやで!」
……そうガルな。
もう、ドラグがすぐそこガル。
「ア゛ラ゛デガァァァァァァァァァ!」
「……あ~、生憎今のオレは限界ギリギリだガルから、出せて1発だガル……だから、その1発で沈めガル!」
縦横無尽にうねるドラグを見て、オレはそう叫んだガル。
「グラ゛ウ゛ガァァァァァァァァァ!」
ーボゴォォォォォォォォォォォ!
ドラグはブレスを吐き出したガルが、まだ回避は余裕だガル。
「キュ~!」
ーブブブブブ!
「カブはん、回避ありがとさん!……ほんなら、メアリーはん!ナフリーはん!出番やで!」
ーシュッ!
「ようやくですのね!」
「あたしがカブお爺さんの方を担当しますニャンから、エルリスさんもどうぞ好き勝手やってくださいニャン!」
泣いても笑ってもこれが最後……
ハァ……いっちょ行くガルか!
そうしてオレは、ドラグへと飛び移ったガル……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(俯瞰視点)
「あ、シトラスさん!……背中はあちきが傷付けまくってるでありんす!」
「が、ガル……なら、オレの一撃をお見舞いするのは頭ガルか……」
『おう、ドでかいのかましてやれ!』
「……今の声、誰ガルか!?」
縦横無尽にうねるドラグに振り落とされぬ様にしがみつく光枝とシトラス。
途中シトラスがラウルの声に反応しつつも、シトラスはドラグの頭部へと向かった。
そこから少し離れた場所では……
「燃えるのですわ!」
ーボォォォォォォォォォ!
メアリーが空を浮遊しつつ【地獄の業火】でドラグの肉体を燃やして行く。
「カブお爺さん、お願いしますニャン!」
「キュ~!」
ーバビュン!
ナフリーもカブの魔力弾でドラグへと攻撃を加え、その体力を削り続けた。
更に更に……
「ウチからも大盤振る舞いやで~!」
ーパリン!パリン!パリン!
エルリスもまたドラグに飛び移り、ガラス瓶に入った薬品の類いをドラグに浴びせ続けた。
「グヌ゛ァァァァァァァァァァ!?」
ーボゴォォォォォォォォォ!
対するドラグもブレスを吐き出したが、体力を削られ続けている影響か狙いが上手く定まらず回避されていた。
「ふぅ……生憎、ボク達は皆から君の討伐を託されているんだ……だから、そろそろ倒されてくれないかい?」
司はドラグの正面で飛びながらそう告げた。
「オ゛ノ゛レ゛ェェェェェェェェェェ!」
ドラグは最早、逃亡を選ぶしかなかった。
人型形態の時に自身の血を流し過ぎ、魂の楔によって動きのキレはなくなり、今も少しずつ体力を削られ続けている。
立て直しのための形態変化にも体力を消費している現状では、満足な戦いすら出来ずに居た。
「さて、ボクからは以上だね……ああ、それと最後に1つだけ……頭上注意、だよ?」
「ナ゛ッ!?」
ドラグは頭上注意と言われ、警戒心を上げた。
……が、それはあまりにも遅過ぎた。
「大人しく死にやがれガルァァァァァ!」
ードシィィィィィィィン!
「グボッ!?」
ドラグは自身の背中を走って来たシトラスに対応し切れず、脳天にキングクラッシャーを振り下ろされてしまった。
「……じゃ、後は頼んだガル!」
ーヒュ~……
対するシトラスもドラグから振り落とされ、司に後を託した。
そして司は改めてドラグに言葉を投げかけた。
「ふむ、それじゃあ今度こそトドメと行こうか……」
司の言葉には、呆れの感情が多く含まれていた。
戦闘狂の武人を気取りながら、全力を出せなかった程度で敗走するドラグ……
司にしてみれば、美しくない相手だった。
「オ゛……オ゛ゴル゛ナ゛ァァァァァァァァ!」
それでも、ドラグは抗った。
全身を光枝に斬られ、シトラスによって脳天にドでかい一撃を食らい、ラウルを始めとした魂によって構成された楔で満足に動けない……
……その上、ドラグは失念していた。
『そもそもの話、ドラグは分かってんのか?……俺達が居る限り、お前は魔王城の建ってる場所から離れられねぇって……』
「……ア゛ッ……ア゛ァァァァァァァァァァ!」
結局、魂の楔が有る限りはこの地を離れられない。
逃げようとしていたドラグは、ずっと魔王城の周辺を飛び回っていただけだった事に今更気付いた。
しかし、全てが遅過ぎた。
「せめて、魔王というからには威厳と美しさを保って死んでくれないかい?……自身が劣勢になっても尚、信念を貫き通す程の威厳と美しさを!」
司はドラグを舐めてこう言った訳ではない。
ただ、あまりにも今のドラグがみっともなく感じたのだ。
「ダ……ダマ゛レ゛ェェェェェェェェェェェ!」
「……君にトドメを刺すのがボクで良かったと本当に思うよ。……何せ、今の君は心底美しくないからね……【断罪の流星・一点終極】!」
ーバチバチバチ……ヒュン!
司は普段なら何発かに分けて発射する【断罪の流星】を1発に集約し、それをドラグに向けて発射した。
対するドラグは最後まで喚き続け……
「ミ゛ドメ゛ン゛……ゴン゛ナ゛ゲヅマ゛ヅ……ゼッダイ゛二゛ミ゛ドメ゛ン゛ゾォォォォォォォォォォォ!」
ーバシュン!
司によって放たれた流星が、ドラグの眉間を静かに貫いた。
それは巨悪たる魔王の最期としては信じられない程に呆気なく、何より静かな幕引きだった。
「……何か、ボクに言い遺す事は?」
「オ゛……オ゛ノ゛レ゛……ヨ゛二゛……ゴン゛……ナ゛……グヅジョ……グ……ヲ゛……」
……ドラグの最期の言葉は、たったこれだけに終わった。
これまた巨悪たる魔王の遺言としては小物臭く、威厳の欠片もないものだった。
「……君にとっては純粋な戦闘力こそが"強さ"だったから、全力を出せずに負けるのも屈辱だったんだろうけど……これもまた、"強さ"の1つさ……」
ドラグは侵略要員として毒や呪い、病気使いの配下を生み出す事はあっても、自身は徹底して純粋な戦闘力を重要視していた。
故に、全力を出せずに負けそうになった瞬間に敗走した。
「うわ~、全員急いで回収せな!」
「シトラス様はあたしとカブお爺さんの方で回収してますニャン!」
「……呆気ない最期だったでありんすね……」
「これがドラグ……お姉様の策がなければ今頃どうなっていたんですの?」
『……ん?……そういやドラグ死んだら俺ってどうなるんだ?』
他の面々もドラグの骸から離れようとする中、ドラグの骸は当然ながら落下を始めた。
「ドラグ……君が全力を出せない上での敗北すらも認められる程の漢なら、ボクは君がどうしようもない"悪"でも好ましく思えたのにね……」
落ちるドラグの骸を眺める司の言葉には、哀れみが多く含まれていた。
こうしてズンダルク王国に降臨した巨悪が辿った末路は、ある意味では因果応報で……同時に勝った側が哀れみを感じて素直に喜べないものとなったのだった……
ご読了ありがとうございます。
何かもう、呆気ない決着になってしまいました。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




